見出し画像

僕が考える駐夫料理の鉄則 (土台のうまみ+味付け+具材)×調理法

エルサレムに1年7か月住んでいた内藤です。今回は料理の話を。

海外駐在子持ち主夫のお役目のなかで、絶対欠かせないのは、料理、洗濯、子供の送り迎え。掃除は、まあしばらくほっといても文句を言われるぐらいで何とかなる。でも、食べ物がない、着る物がない、送り迎えに行かない、となるとたちまち生活が止まってしまう。


中でも料理は、毎日同じというわけにはいかないので手間がかかる。そして、日本のように、帰りにスーパーで唐揚げやら刺身を買って並べるなんてこともできない。こっちで気軽に買えるファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)や、シュワルマサンド(薄切り肉を削いでパン生地に包んだもの)は、もう飽きてしまい、子供たちは喜ばないから、大変だ。

さらに、僕が住んでいたイスラエルは外食が日本の倍ぐらいするので、必ず自宅で作って食べることになる。ムスメに言わせりゃ、「それがパパのお仕事でしょ。あたしだって毎日学校行ってんだから、パパはパパのお仕事ちゃんとやりなさいよ。」ということなんだけど。

海外主夫の料理の苦労と大事なこと

そもそも海外だと日本と同じように食材がそろうとは限らない。僕が住んでいたエルサレムは、肉と魚が日本より手間がかかる。肉は、鶏、牛、羊はスーパーで売っているが、豚はユダヤ教もイスラム教の人も食べないから、普通の店には売っていない。なので、わざわざ豚肉を買いにロシア人向け商店に行った。ただ、日本のように薄切り肉をパックで売ってたりしないから、買ってきたらまず適当な大きさに切って、小分けにして保管する作業が必要。牛肉は、宗教上の理由で血抜きをされていて美味しくないので、冷凍された薄切り肉ぐらいしか食べかかった。あとは、もっぱら鶏肉。扱いやすい冷凍された手羽の大きなパックを買ってきて、袋に小分けにして冷凍庫に入れてよく使っていた。

魚は、大きな市場に行くとたくさんある。でも、いちいち何の魚をどうやって、とオーダーしないといけないので、ハードルが高い。日本人主婦おススメの店でサーモンを買ったら、3切れで1800円も払わされて以来、足が遠のいていた。でも、ある時サバを丸ごと買ったら、こちらは3匹1800円で、これはお得。で、ネットで調べながら自分でさばいてみたら、思ったほど大変じゃなかった。半冷凍なら内臓も簡単にきれいに取れて、肉を切るのとさして変わらない。海外だと、日本じゃやろうとも思わないことをやることになるが、それも心に余裕があると、ちょっと楽しい。
ちなみに、ユダヤ人は、うろこのない海産物は食べないので、魚以外の海産物を普通は売っていない。ので、海老、イカ、ムール貝などは、アジア食材店で冷凍のものを買っていた。
野菜は、キュウリ、ジャガイモ、ニンジン、キャベツ、もやし、ネギ、ピーマン、なす、ほうれん草、レタス、おくら、ニンニク、生姜などは、スーパーや市場で普通に手に入る。アジア食材店に行くと、季節とタイミングで白菜や、大根が手に入る。大根は人参のように細いけど。大根の代わりに、こちらにあるコールラビというキャベツとカブのあいのこみたいな野菜を使うこともある。他にも、見たことがないようなものも売ってるが、良く分からないから買わない。
ゴボウ、山芋、みょうがは手に入らないから、休暇で行ったフランスで、ラーメンや冷凍餃子、タコ焼きなんかと一緒に、スーツケースに詰めて大事にお土産として買ってきたぐらいだ。

料理の鉄則(土台のうまみ+味付け+具材)×調理法

じゃあ、何を作るか。
作れるものも限られているので、できる料理をリストに書き出して、作るものが思いつかなければ、それを見るようにしていた。その数は、主食からおかずまで入れると、70近くになっていた。
最近はクックパッドなんぞもあり、作りたいもののレシピは簡単に手に入る。分量も詳しく書いてあるが、僕の場合は材料と手順さえわかれば、入れる量は適当。基本、味見をしながら調整していく派。少しずつ調味料を足し、物足りなければ、ちょっと違うものを入れたり。

そして、徐々に自分の頭の中で料理を作るときの法則みたいなものができてきた。

いろんな料理があるけど、まあざっくり言えば、どれも
(土台のうまみ+味付け+具材)×調理法
って感じで構造的にとらえることができる。

鉄則で作る和風、中華、洋風料理

和風、中華、洋風の3種類に分けて説明すると。
和風の土台は、ネットにて日本で買ってきた万能和風だし。鰹節、サバ節、昆布、椎茸などが細かく刻んで紙パックに入ったやつ。
それに味付けするのが、醤油、塩、味噌、生姜、コショウ、酢、砂糖、日本酒、みりん、ごま油など。めんつゆ、ポン酢も日本からの在庫があると便利。
味噌汁は土台の万能だしと味噌の味で、子供たちは残さず飲んじゃう。
定番の味は、醤油、日本酒、みりん。これで大体の醤油系和風の料理の味は完成。豚の角煮、ナスの煮びたし、ほうれん草のお浸しなどは、みなこれでOK。これに、酢を追加して、鳥のすっぱ煮を作ったり。

中華の土台には、味覇(ウェイパー)を愛用。こちら、中華の万能ダシ。肉や野菜のうまみが入っていて、これさえ入れておけば、間違いはない。または鶏がら。
これに、味付けをするのが、塩、コショウ、醤油、ごま油。さらに、豆板醤や、海老のペーストなど。ここら辺を適宜、好きな野菜や肉、魚介をいれれば、炒めても、スープにしても美味しい。
そのまま炒めれば野菜炒め、ご飯を入れれば、チャーハンとか。料理によって、牛乳を入れたり、トマトを入れたり、片栗粉を使ったり。こっちでよく食べるタヒーナ(ゴマのペースト)も使ったりする。日本のように、クックドゥーみたいな料理ごとのソースが入ったような便利なものがないので、マボー豆腐みたいなものの味付けも自力。

洋風の土台は、こっちでも手に入るクノールの固形コンソメ各種。それに、ニンニクと玉ねぎを炒めて加えれば、ベースの味は完成。
味付けは、塩、コショウ、トマト、バター、牛乳、卵などを、料理に応じて使うぐらい。たまに、うちにあるなんだか名前の分からない香辛料や、もらったハーブを使う。そこにカレーやシチューなら、お湯と具材とルーを入れてぐつぐつと煮たり、パスタなら、オリーブオイルで炒めたり。

調理法は、煮るか、炒めるか、焼くか
揚げ物は美味しいけど、汚れるし、油の処理も面倒だから日本じゃやらなかった。でも、エルサレムに来てから、家族のから揚げへのリクエストが強く、挑戦。最初はうまくできなかったけど、慣れると揚げたては美味しくて、日本人のお客にも好評だった。

思いでの自作トンカツとラーメン

中でも美味しかったのはトンカツ。適度に脂がついた美味しそうな豚肉を、遠くの肉屋にわざわざ車で買いに行き、それをトンカツにして、日本のソースをかけて食べた時はホントに幸せだった。

自分で考えて作り、一番試行錯誤したのはラーメンだった。最初のころは日本からの食材もなかったので、大好きなラーメンを自力で何度も作った。麺は、アジア食材店で乾麺を片っ端から買って試した。スープは、魚介と肉のWスープ系を意識して、和風だしと中華だしをまぜた。それに、醤油だったり、塩だったりを入れる。ちゃんぽんなら、バターや牛乳、魚介を入れてみたりして。そんな実験のようにして作ったラーメンを、旨い旨いと家族ですすったのも今となっては良い思い出。

日本に帰ってくると、外食も美味しいし、スーパーでは惣菜も、味付けされた食材などもあり、海外にいた時と比べたら、断然料理は楽。今から考えると、海外暮らしでの毎日の料理は高地トレーニングのようで、味付けも、手際も、工夫も大分鍛えられたものだ。

※僕が書いた電子書籍「仕事をやめてエルサレムで主夫してきた」のAmazonのURLはコチラです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?