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拝啓、サッカーへ 4年 竹野晴人


初めまして。4年の竹野晴人です。
サッカー部から自分語りの機会を頂いたので、頑張って書きました。
見苦しいかもしれませんが、最後までお付き合いください。よろしくお願いします。





10月末のアイリーグ最終節をもって、15年間の僕のサッカー人生は幕を閉じた。


小中高大の今までに経験してきた全てを振り返ってみて、
圧倒的に大学サッカーの時間が辛かった。



高い志を胸に抱いて大学サッカー部の門を叩いたが、
1年時はBチームで公式戦出場なし。
大学サッカーの洗礼を浴び、理想と現実との乖離に何度も嫌気が差した。

期待してくれていた母や高校の友人に合わせる顔がなかった。


しかし、状況一変で2年時はA2スタート。
アイリーグにも結構出場できたし、新人戦関東大会でスタメンを掴み取り、全国大会にも出場できた。
3年時初めも伊豆遠征は1本目のゲームに出場、プロチームとの練習試合にも呼ばれた。


しかしまた状況は一変。
その後の3年時の活動はA2で、公式戦出場は0。
4年時にいたってはシーズン前の度重なるミスによりBチーム。



地獄のような時間と天国のような時間を経験した。


結局
4年間あった活動で3年間分まともに試合に出場できなかった。
トップチームに最後まで昇格できなかった。
勿論入部当初に抱いた志も呆気なく散った。


ざっと振り返るとこんな感じ。



これまでの文章を見て、多分部員の中には「俺の方がもっと辛い想いをしてる」っていう人がいると思う。

確かにそうかもしれない。

怪我で少ない時間しかサッカーしてない人とか、めちゃくちゃ努力したのに報われない人とか、代が違えば活躍できそうな人とか、この部活で沢山見てきた。



でも僕は高校生まで全国どころか、東京ですら無名の選手であったが故に
全国でも名の知れた中央大学サッカー部に、一瞬でも認められた扱いをされたらとても嬉しくなってしまうし、その分見放されたら人一倍悲しい気持ちになった。

奈落の底に落ち、やっと抜け出す光が見えて、期待に胸を膨らませる瞬間があったからこそ、
その光があっという間に消えた時、大きな喪失感が心を埋め尽くした。


だから、誰よりも感情の起伏が激しい4年間を過ごしたと思う。
僕は感情に蓋をして行動することが苦手で、自分に嘘がつけない性格もあってよりきつかった。


それでも何とか自分を奮い立たせることに尽くしたが、何事も空回り。
4年の早々に多分限界を迎えていたと思う。

終わってみれば「あの時ああしとけばよかった」っていうような後悔は全くなく、
寧ろあの状況からよく踏みとどまったと自分を慰めたくなることのほうが多い。




だから引退したらサッカーから離れようと決めた。
暫くボールは蹴らないし、趣味と言えるぐらいのめり込んでいた海外サッカー観戦も控えることを決心した。
サッカーと関わったら、ボールを蹴ったら、色々フラッシュバックしてきて疲れちゃうと思ったから。



それからは部屋に籠っておとなしくして、ゲームや漫画などで心を満たした。

それらの日々はサッカーのグラウンドで起こる特別嬉しいようなことはない代わりに、辛いこともなく、何もストレスが無い。
ストレスのない生活はとても心地が良かった。
ストレスがないことは、毎日外でサッカーするよりも健康に良いものだと認識するぐらいだった。




でもその生活を続けていると何かが引っかかっているような感じになった。
毎日が平穏で、絶対に現役より気が楽なのに、心が満たされない。



この時、「感情が揺れる瞬間」が最も僕の人生で幸せであることに気づいた。


サッカーを始めたころから今に至るまで、感情の中心はずっとサッカーで、
嫌なことも、嬉しいことも、大学で感じたストレスも、本当は全部全部僕の幸せだった。

思考を止めて
見たくない現実を受け止めないで
悲しみも、喜びも、ストレスもない
穏やかな生活のほうが生き易いかもしれない。


けれども
その感情の起伏が、実は存在していないと、
僕の人生はちっぽけであったことに、
サッカーを辞めた後に気づいた。




それからサッカー人生をもう一度よく振り返ってみたら
沢山の場面で感情を揺さぶられて、幸せを享受していた。



それは勿論、他人の試合を観戦した時にも。
初めて母にスタジアムに連れて行ってもらった時
応援していた鹿島アントラーズがJ1三連覇を達成した時
CL決勝バルサVSマンチェスターユナイテッドを観戦した時など
グラウンドの中で起きる一つ一つのプレーに感情を揺さぶられ続け、時には落胆し、時には驚き、時には感動させられてきた。



そして僕がサッカーをする立場の時も。
大学の毎日の練習が憂鬱な時も、グラウンドで1度ボールを蹴ればスイッチが入って、あっという間にサッカーの虜になってしまう。
公式戦という真剣勝負の空間で全てをぶつけて、チームメイトと喜怒哀楽の感情を共有する日々を送れることが好きだった。



運動が嫌いで休みの日はほぼ家から出ない根っからのインドアの僕が、大学4年までずっと頑張れたのはサッカーというスポーツを通して得られる「感情が揺れる瞬間」が堪らなく好きだったから。



それぐらい、サッカーは不思議で魅力的なスポーツ

世の中には人の心を動かす沢山の娯楽やコンテンツが溢れかえっているが、

サッカーが一番人の感情を動かせると思う。
あくまでも持論ではあるが。





拝啓、サッカーへ
僕と出逢ってくれてありがとう。
幸せな時間をくれてありがとう。
そしてこれからも何卒、よろしくお願いします。

◇竹野晴人(たけのはると)◇
学年:4年
ポジション:DF
前所属:FCトリプレッタユース

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