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TRPが苦手だったセクマイサークル代表の話

こんにちは。ミモザ代表のYです。今回は、私のことについて少しお話ししていこうかと思います。セクマイサークルの代表らしくないと思われるかもしれませんが、カミングアウトしますね。

私はこんな人

サークルの代表と聞くと、人前に出るのが好きで外交的なイメージを持つ人が多いと思います。しかし、私はその逆で、目立つのがそんなに好きでは無いですし、できればすみっこにいたいです。緊張しいなので、発表などのときも手汗がすごいんです。だから正直に話すと、TRP(東京レインボープライド)みたいなキラキラした場所は苦手でした。

初めてのTRPへの参加

私は大学に入学してから、3回TRPに参加しました。初めての時は、先輩方と原宿駅で待ち合わせをし、そして代々木公園に向かいました。会場に到着するなり、驚いたのは人の多さ。歩くのもやっとで人混みの中をかき分けながら、休憩するスペースを探しました。人種や年齢が違う人たちがこんなにいっぱいいる光景を観たのは、生まれて初めてのことだったかもしれません。

昼からは、パレードへの参加申し込みが始まりました。ここではプラカードなどを持ち、人々は渋谷の街を練り歩き、その前方にはフロートも登場して、きらびやかな光景は圧巻的です。一方で、人見知りの私は迷わず沿道から見守ることに。知ってる人がいたら気まずいし、自分が参加しなくたって別にいいだろうーーそれが本音でした。ずっと立ってるのキツイし、暑いし、早く終わらないかと思ってました。

そして沿道に立っていると、次から次へと"Happy pride!"という言葉が投げかけられ、ハイタッチを求められました。永遠に続くハイタッチは、普段人と触れ合うことが少ない私にとっては非常に印象深いものでした。

文章を書いてて思い出したのですが、沿道組の私もプラカードを一応作りました。

「一人で悩まないで」

プラカードに書いたその言葉は、一人でずっと悩んできた自分を反面教師にしたものでした。

現実に引き戻される

TRPが終わり、元代表の「早く来年にならないかな。」という言葉とともに、皆が帰路につきました。ちなみに元代表は、私とは違いとてもエネルギッシュな方でした。TRP当日は、多様性を意識したレインボーフラッグを持参し、頬とまぶたにはレインボーカラーのメイクにミニスカート。黒のポロシャツをきてきた自分とスタンスが違いすぎるのが逆に面白かった。

全日程が終了したのち、前日までの催しが夢だったかのように、代々木公園はまた落ち着いた様子へと戻りました。そしてまた「普通の日常」が始まるーーそれは、私たち当事者は存在しないように扱われ、SOGIハラに悩む日々へと戻ると言うこと。またセクシュアリティーがバレないように嘘をつき続けないといけないーー。

すると数日後には、私はハイタッチした人々の温もりをもうすでに忘れてしまいそうになっていました。あの人たちがまるで存在しなかったように感じてきたのです。"Happy Pride!"って言ってたのが本心だったのか疑うようになってきました。


「早く来年にならないかな。」


先輩のそう話す様子を思い出して初めて、その言葉の重みが私にのしかかってきました。「ああ、だからあんなに全力で楽しんでたんだな。あんなに、一生懸命に叫んでたんだな。TRPは、私たち当事者が『唯一主役になれる場所』だったんだ。声を聞いてもらえる最大のチャンスだったんだ。」

声を上げる大切さ

ひとりで悩まないでーー沿道で掲げたプラカードの言葉は、誰かに届いたのでしょうか。もしかしたら、その言葉が誰かを救えたのかもしれません。

人前にでるのが恥ずかしい、どうせ誰も見ていない、私がしなくても誰かがやる、マジになっててダサい、、、そういった気持ちをゼロにするのは難しいかもしれない。でも、「伝えることの大切さ」を知れば、そんなこと考える前に、行動が先に出てくると思います。

私は当事者として、何度か自分の体験談を学生の方に話してきましたが、自分の言葉で相手に伝えることの大切さを痛感しています。私という人間が、生きてきた中で辛い思いをした事実そして、どういう社会を望むのか、他者にはどうあって欲しいのかーーそれを時間をかけて伝えていかなければ、人の心は簡単に動かすことはできないのだと知ったのです。

「私の周りにはLGBTはいないから関係ない」そう話す人をなんども目にしました。そういった現状を打破するには、当事者が声を上げていかなければならないと思います。無論、1人で行動するにはかなりの勇気が必要だと思います。だけど、みんなでやるのならその負担はずっと軽くなると思います。

カミングアウトを強要するわけではありません。私だって、クローゼットですし、伝えている友人はごくわずかです。でも、自分にできることは可能な限りやってみるべきなんだとは思います。一つ一つの機会を無駄にしないように、可能性を信じて行動に移すーーそれだけでもっと多くの人が生きやすくなる社会に近づくんではないのでしょうか。

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