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小学生ぼっち、はじめての友達ができる!?ただし・・・

小5の冬、初めての友達ができた。
ただし「どうぶつの森」の中で。

私の長い長い孤立史(A Long Long Lonely History)には、ターニングポイントが2つある。

1、ネッ友との出会い(小5)
2、友達より先にできた彼氏(高2)

である。

後者もなかなかMAGICALなエピソードではあるのだが、今回は前者について振り返りたい。

小5の冬、私は「どうぶつの森」にのめり込んでいた。(※Switchの「あつ森」ではなく、3DSの「とび森」が発売されて間もない頃である。)
帰宅したら3DSに一目散。そのままどうぶつの森へ旅立つのが日課であった。
当時の私は、いかに高価な虫や魚を売り捌くか、ローンを返済して家具を揃い集めるか、村を好みの住人で埋め尽くすかということしか考えていなかった。
(こう書くと、なんとまあ世知辛いゲームか)

12000ベルのクワガタをかき集める日々




すっかりハマってしまった私は、購入から1ヶ月しか経っていないのにも関わらず、1年以上の時を進めていた。
もはやスローライフではない。リニアモーターカー並みの爆速ライフである。

新幹線以上、飛行機以下


そんなある日、インターネットを介して「南の島」で出会った人々と交流できるサービスの存在を知った。知ってしまったからには、何でも試したくなるのが小5の性である。
3DSをWIFIに接続した私は、好奇心に胸を躍らせ、南の島へと旅立った_

運がっぱに連れられ、南の島へ


南の島に到着する。突然、画面上に「こんにちは」の文字が飛び込んできた。

!?!?!?!?!?

遊ぶ友達などいない小学生ぼっちにとって、ゲームとは自分だけの秘密の花園。アバターのファッションも、持ち物も、「見られる」ことを前提としたものではなかった。
「こんにちは」の一言によって、画面の向こうに確かに他人がいることを認識させられたのである。
「見られている!」という感覚に恐怖した私は、反射的に3DSの電源を切ってしまった。(ごめんなさい)

島とは、人々との出会いの場である_ということを理解した私は、誰に見られても良いように「武装」し、再び島を訪れた。
出会った人々と挨拶を交し、ともにミニゲームをし、互いの情報を教え合った。仲良くなった人々とフレンドコードを交換することもしばしばであった。

のべ1000人以上とは出会った



日中はどう足掻いても小学生ぼっち。でも、3DSを開けばフレンドたちが待っている。この状況は、私を「とび森廃人」へと駆り立てた。この頃には宿題もやらず、睡眠もまともにとらなくなるほどに島へ通い詰めていた。

いつしか、フレンドリストは上限の100人に達していた。

友達100人のぼっち小学生という矛盾


100人といったら、「一年生になったら」で歌われるほどの一大目標である。

小学校ぼっちなのに、フレンドは100人_

こんなに奇妙なことがあってよいのだろうか。

「とび森」では沢山のことを学んだ。

  • 出会い頭に挨拶するのがマナーだということ

  • プレゼントは交換し合うものだということ

  • 村を荒らされたからと言って、反撃するのは大人気ないということ

  • 話題に困ったら、都道府県の話や学校の話を挟むのが定石だということ

ぼっち生活で欠落してしまった、協調性とか会話術というものを断片的ながらも取り戻していったのである。

群れから学べることは多い

ぼっちというのは、自己開示が大の苦手である。
顔の見えない相手とはいえ、素性を曝け出すのが怖かった私は、すべてを偽っていた。
実際には小学校5年生女子だったが、中学校2年生男子・レイジになり切っていた。(年齢の割に言葉遣いが流暢だったので、バレることはなかった)

また黒歴史の中でも漆黒な方として、疑似恋愛的なこともした。小5の女の子(あかりちゃん)を、小6の男(みつき君)と取り合っていたのである。
そして、とにかくプレゼントを与えまくった私よりも、オモロいやつの方が好かれるのを目の当たりにした。「優しいだけのオトコはモテない」という原則を早くも10歳で学んだのである。
至上、最も要らない人生経験である。

今なら、むしろ優しいだけの男が良いと思う


とび森ブームが下火になるにつれて、他者との出会いの場を掲示板・チャットに移した。
「優しいだけのヤツはモテない」ことを学んでいた私は、3枚目キャラになることに徹していた。
難しめの小説からギャグ漫画、2chまで読み漁っていたため、「奇天烈でありながらも、親しみが持てるキャラクター」を再現することに長けていたのである。
(今もそんな感じのコミュニケーションを取ってしまう癖がある)
当時の仲間たちからは、ギャグ線が高い!という評価をいただくことができて、鼻高々であった。

また世の中には、自分と同じように悩める小学生たちがいることに気づいたのもこの頃である。
小学生ぼっちはお目にかかれなかったが、いじめ、不登校、虐待、性暴力・・・などなど、大体皆何かしら抱えていた。掲示板やチャットは、居場所のない子どもたちの避難所だったのだ。

「とび森」に出会う以前の私には、この世界から孤立しているという苦しみが24時間付き纏っていた。学校に1人も友達がいないのと同時に、「世界中で友達がいない小学生なんてただ1人ではないか」ということに絶望していた。
小学生時分からこれだけのストレス抱えてたら、きっと早死にするんだろうな〜…などと考えていた。

クラスの中でなくても、友達はできる。
また世界中には、暗い境遇を辿り、悩める子どもたちがいる。これらの事実にかなり救われたように思われる。
インターネットは、小学生ぼっちにとって最大の助け舟であった。

時は流れて、2024年。島はサービス終了を迎え、掲示板もチャットもいつの間にか閉鎖してしまった。
当時の友人たちの多くとは、もうほとんど連絡を取っていない。
それが順当な成長であると思えば晴れがましく感じると同時に、寂しくもある今日この頃である。



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