もう少しだけ

この世界では、ある程度の自我がなければ負ける。落ちてるラッキーはすぐに見つけて自ら拾いに行かなければならない。
他人に譲って負けてばかりでは生きていけない場所。
気にならなくても刺さる視線と社会の暗黙のルールは、私を常に緊張させる。守らなければならない訳ではない。ただ、守っている方が前を向いて外を歩けるというだけ。
ありのままの私はあまりにも弱くて脆い。それにいろんな武器をつけて強いふりをしていた時もあったけど、結局それも疲れるから周りと同じふりをすることにした。周りと同化する。普通になる。周りと同じスピードで生きている”風”にする。
これが私がこの世界で生きていく方法。

でも、本当はそんなことしたくない。誰とも競いたくない。ありのままでいたい。平和な場所でゆっくり過ごしたい。自分の本心はわかってる。けれども反発することすら疲れた。ゆっくりひっそりと自分の何かが削れていくのを、ただ傍観する。
「うん、疲れたね。」
そう、自分の心に言いながら。これの終わりはどこだろうか。死ぬまで続くかな。期待しないで、何も気にせず生きられる日なんてこないよ。できなかったからこうなってる。心が死ぬのが先か、体が死ぬのが先か。心が死んだ先にあるのはただ息をしているだけの体かな。それとも心に体が殺されるかもしれない。

疲れたよ。

どうしたって家族と思えない家族、なじめない社会。どこの輪にも入れないよ。もっと密に関わりたかったよ。寂しい。

うん、疲れたね。

でも、もう少しだけ、この寂しさと一緒に世界の美しさと人間の愛らしさを抱きしめていたい。

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