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「ボタンができた!」から考える褒め方と失敗学

今、2歳半になる娘は、何でも自分でやりたいお年頃。最近では、トイレでうんちもできるようになったり、自分でお洋服を脱げるようになったり、ズボンを履けるようになったりと、毎日できる事が少しずつ増え、親の自分としてもそれに励まされる日々。

「●●ちゃん、これ、できるよ」「●●ちゃん、これ一人でできたよ」そんな言葉が増えて、親としてジーンとしている。

そんな昨日は、自分一人で最後までパジャマのボタンを4つ全て留める事ができた、「ボタン記念日」。

このお風呂上がりの30分の出来事でいろんなことを考えさせられたのでここに記しておこうと思う。

お風呂後、パジャマのボタンを自分で留めたいと言い始めた娘。最近、こうした「自分でやりたい」という気分になった時は、「手伝おうか?」と言ったり、少しでも手を貸そうとすると怒るので、手伝いたい気持ちを抑えて、近くで見守ることにしている。

1回目の挑戦。一番上のボタンは難しいので、第二ボタンから。でも、前はすぐにできたのに、昨日はなかなかできない。3回くらい穴に入れようとしてできず、できない自分がおそらく悔しくて泣き始める。その後、「じゃあ、別のボタンをやってみよう」というと、なぜか一番難しい一番上のボタンを取る娘。こちらも2-3回失敗して、できなくて泣き始める。私は「絶対にできる。何回もチャレンジしたら絶対できるよ」と励ます。そして、もう一度やってみる。また失敗。ここまでくると、パジャマを脱ぎ捨て、パジャマを投げ、もう何も聞き取れないくらいギャン泣き。そのままリビング奥のソファの後ろで泣き出した。

今回、驚いたのが、この一連の感情の動きと動作が、私が仕事やプライベートで失敗した時、できなくて悔しい思いをした時の反応と、恥ずかしながら共通する部分があるなということ。

つまり、「できない」→「悔しい、悔しくてしょうがない、もうダメかもしれない、自分はできないのかもしれない」→「涙が溢れる」→「できない自分にイライラする、できないけど、自分はできる、もっとできると信じたい、でもできないのが悔しい」→(たまに)「自分には能力がないのかも、、と思ってしまいとにかく泣く(自宅で)」

仕事でうまくいかなかった時、失敗した時、私はたまに帰宅して、夫に話しながら泣く事がある。泣いて少し気持ちはスッキリするかもしれないが、失敗というのは、泣いても前進しない。ましてや、泣いて、そこで投げ出したり、ちゃんと振り返りをしないまま「前向き」になっても意味はなく、また同じ失敗を繰り返すことになる。同じ失敗を繰り返すと、自己肯定感が下がり、自分にも自信が持てなくなる。失敗をした時の受け止め方、失敗を学びに変える方法について、30代半ばになりようやく理解し、少しできるようになった私は、この娘の反応を見て「これはまずいな」と思った。いや、2歳だからしょうがないのかもしれないけど、3つ子の魂100まで。今、この瞬間にちゃんと向き合わないと、これから幾度となくやってくる「できない」という場面に直面した時、それを諦めずに前向きに学びに捉えて前進できなくなるかもしれないという危機感を感じた。

私はひたすら、「大丈夫、できるよ、絶対できる。何回も挑戦したら、できるようになるよ。お母さんと一緒にやってみよう」と声をかけた。それでもソファから戻ってこない。
「失敗する事、できないことは悔しいよね。お母さん手に取るようによく分かるよ。でも、それは、●●ちゃんが能力がないとか、そういうことじゃない。何回もやれば絶対できる。何かコツがあるのかもしれない。できないときにそれを考えてやってみる事が大事だよ」と、娘に伝わるかわからないけど、まるで自分に伝えるかのように娘に伝えてた。
それでもソファから戻ってこないので、夫も含めみんなで寝室に行こうと場所を変えた。寝室に行くことで少し気分は落ち着き、もう一度挑戦。またできない。ボタンを持つ時に、内側を持つために、うまく穴に入らないのだ。それを夫と私で伝えると、それが嫌でまた泣く。それ、よく分かる。よーーく分かる。自分でやろうとしているのに、親が良かれと思って行ったことに対してイラつくことはよーく分かる。私もそうだった。でも、こちらもめげずに、もう一度「大丈夫、できるよ。大事なのは、どうしてできなかったか考えてやってみることだよ」とひたすら伝え、泣いて諦めそうになったら抱きしめて励まし、他のボタンに挑戦することを促したりした。第一ボタンはやはり難しいので、もう一度第二ボタンから。今回は、3回目の挑戦で第二ボタンを留める事ができた。一回できたら、夫と私で「できたね、諦めなくてよかったね」と励まして抱きしめた。するとすぐに今度は再び第一ボタンに挑戦。また2回失敗して大泣き。そしたら、第三ボタンを留めてみようと促した。無事に第三ボタンをクリアし、第四ボタンもクリア。一つできると、抱きしめて、「できたね!」を分かち合った。最後に残った第一ボタン。ボタンの持ち方にも少し慣れてきて、3回目の挑戦で、やっと留める事ができた。泣きながら「できたよ!」と喜ぶ娘。私もなんだか涙が出るほど感動してしまい、抱きしめながらその一連のプロセスを褒めた。
「沢山泣いたけど、それでも諦めずに何度も挑戦した姿勢が本当に素晴らしいね。諦めずにやれば、本当にできるようになるよね!」と。

『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』(島村華子著)には、子供を褒める時には以下3つのポイントがあるという。

①成果よりも、プロセス(努力、姿勢・やり方)をほめる
②もっと具体的にほめる
③もっと質問する

これでいうと、①は意識はできたかなと思っている。
①は、例えば「すごいね!」などではなく、「いろいろなやり方を試して、答えを導き出せたね(やり方)」「100点を取れるまで努力してきたんだね(努力)」など能力や性格を讃えるのではなく、取り組んでいる家庭での努力や挑戦した姿勢、やり方を工夫した点などに言及し、励ましてあげる事。そうする事で柔軟にいろいろな方法を試す事で成功できるかもしれないとがんばれるようになるらしい。

②は、具体的なフィードバック。例えば、仕事で上司から「それ、いいね!」と言われるよりも、「細かいところまで注意を払った様子がよく伺える資料で、とてもわかりやすいね」などと言われた方が、自分の長所に目が行きやすくなる。それと同じで、子供に対しても具体的なフィードバックを与える事で、次のパフォーマンスに向けてモチベーションが自然と上がるようになる。「上手」「よくできました」など大人の評価を押し付けることを避けて、見たまま(色、形、数など)を具体的に表現するのも手法の一つらしい。

③については、今回あまりできなかった。褒める言葉を伝えるだけでなく、子供自身がどう感じたか、どう思ったかということを質問すると良いらしい。例えば、「今日、お友達と一緒にいて、一番楽しいことはなんだった?どうしてそう思うの?」など、「今日はどんな日だった?」と聞いても広がりはないが、広がりができ、会話のキャッチボールができる質問をする事がポイントらしい。この理由は書籍では明確に記載されていないけれど、質問をする事で、その一連のプロセスや出来事についての自分の感情が整理できたり、どんな時に自分がどう思うのか、感情の整理がつきやすくなるのかなと感じる。そうする事で、今後同じような場面に遭遇した時に「そうか、こういう場面では自分はこう感じるからもっと頑張ろう」とか「ここでは自分は残念な気分になるから、それを避けるためにこうしよう」とか発展できるようになるのではないかなぁと想像する。(このあたりはもう少し本で学びたいところ)

今回の、ボタン留めチャレンジの30分の中で私が学んだのは、
・失敗は必ず学びになる事、それを小さいうちから大人が学びになるようにコミュニケーションをとってあげる事が大事。
・初めて何かにチャレンジするとき、新人にチャレンジさせるときは、そっと見守り、相手を信じ、できるように促してあげることが大事。子供とのコミュニケーションが、職場でも役に立つのではないか

これからも、娘はもっといろんな事ができるようになるし、もっと悔しい思いをすることもあると思うけれど、それを一緒に自分のことのように考えて、一緒に共感し、ともに成長していけたらなと思う。

娘と一緒に喜びを共有し、学べた8月17日(火)は、ボタン記念日。


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