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子どもに教員がわいせつ行為をしたら‥。広島市などで厳罰化が進んでいます。

 子どもにわいせつ行為をした教員はみんな「免職」とし、教員免許を剥奪するよう、広島市教育委員会は内部のルールを改めました。2022年1月から運用します。これまでは場合によっては「停職」にとどめ、一定期間を過ぎると職場に戻ってくることを許していましたが、厳罰化にかじを切りました。(小林可奈)

広島市教委のルール変更

 広島市教委のこれまでのルールでは、被害者の子どもと仕事上の関わりがある場合は「免職」としていました。しかし、他校の児童や生徒など、職務上の関わりがないときは「停職」にとどめることができました。文部科学省は2001年から「原則免職」とするよう繰り返し呼び掛けており、広島市教委はようやく対応したことになります。

実態は?

 では、児童や生徒へのわいせつ行為で処分された教員は、実際どのくらいいるのでしょうか。中国地方の5県と2政令指定都市(広島市、岡山市)の7教育委員会でみると、2020年度までの10年間で、少なくとも55人の教員を懲戒処分していました。このうち、52人は免職だった一方、3人は停職にとどまりました。

停職になったケース

 どんな場合に停職となったのでしょう。
 2017年度に停職6カ月となった広島市立小の教員は、市外の女子児童に裸の画像を送らせたとして児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)容疑で逮捕されました。また、17年度に停職3カ月となった大竹市立中の教員は、JRの駅で女子高校生の後ろにしゃがみ込み、スカート内をのぞいたとして県迷惑防止条例違反(卑わいな行為)の疑いで現行犯逮捕されています。12年度に停職6カ月となった岡山市の中学校教員は、勤務していた学校で女子生徒に抱きつくなどしたといいます。

免職となったその後は?

 「免職」としたら問題は解決するのでしょうか。
 現行の法律では、免許を失っても、3年後には再び取得できます。処分されたことを申告せずにほかの自治体で採用され、わいせつ行為を繰り返すケースも出ています。そのため、2021年5月、わいせつ行為で懲戒免職となった教員の免許再取得を制限する法律が新たにできました。わいせつで免職となった教員の名前や処分理由などのデータベースを国がつくり、管理することも決めました。

防止するために

 文部科学省によると、子どもへのわいせつ行為は、買春や痴漢、のぞき、わいせつ目的で体を触る行為や裸体や下着姿の不適切な撮影などを指します。行為が判明し、処分を受けるケースは「氷山の一角」とさえ言われています。
 教員と子どもの間には、自ずと「上下関係」が生まれます。その関係を悪用したわいせつ行為は、後を絶ちません。厳罰化と併せて、相談や調査の体制の充実、そして、教員養成課程などで性暴力について教える体制づくりも求められています。