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広島のおしゃれインフルエンサー、服選びのこだわりは? 3人のおすすめ春服

 おしゃれな着こなしがSNS上で人気を集める「インフルエンサー」が広島にもいます。身近で等身大のファッションが若い世代から支持されているよう。広島パルコ(広島市中区)の店で働く3人に、服選びやSNS投稿で大切にしていること、お薦めの春服を聞きました。アフターコロナを見据えた明るい色使いが目立ちます。(栾暁雨)

「フリークスストア」尾崎さん

 「ザキ服」という独自のハッシュタグを付けてインスタグラムで発信しているのは、パルコ新館のセレクトショップ「フリークスストア」の尾崎ちはるさん(27)。インスタのフォロワーは約1万人に上る。

 日々の投稿で意識しているのは「自分らしさ」と「好きなものだけを紹介すること」。普段からよく着る派手色のアイテムや古着に、トレンドを取り入れたコーデが得意だ。「自分の世界観やキャラから外れない自然体な感じを心掛けたい」。168センチの長身でも「かわいい」スタイリングを紹介する。

 洋服に合わせて写真の背景も変える。パルコ周辺の公園やカフェの一角など、見ている人が着用シーンを想像しやすい「映えスポット」を選ぶ。センスの良さと洗練されたポーズに憧れるフォロワーは多そうだ。

カラフルなボーダーのカーディガンと黄色のロングスカートで気分を明るく。Tシャツの青いロゴとボーダーの青をリンクさせた。斜めがけした極小ハート形バッグで全体が引き締まる
シャツとパンツの定番コーデも、色×色で今年らしく。
黒縁の眼鏡をアクセントに、人気絵本「ウォーリーをさがせ!」風
「デニムonデニム」は難易度が高そうだが、チュニックタイプのトップスなら合わせやすい
甘めの花柄ワンピースを、Tシャツとスニーカーでカジュアルダウン。
シャツやジャケットを羽織ってもかわいく、着回し力が高い

「カスタネ」山口さん

 高校生から20代の女性客が多い「カスタネ」の山口蒼偉さん(26)はフォロワー約9千人。新作を紹介する「インスタライブ」も人気だ。大切にしているのは「リアルさ」。まねしやすくてコスパもいいコーデが多い。今季のイチ推しは、何通りにも着られるマルチWAYの服。「コロナ禍で会う人が限られる中、着こなし次第で違う印象を持ってもらえます」と提案する。

 体形カバーをテーマにした投稿も反響が大きい。「小尻になるスカート」「二の腕が消えるトップス」といったワードを入れると、ものすごく刺さるそうだ。「自分が納得できる服以外は絶対勧めない」が山口さんのポリシー。いいと思うものだけを、本音で発信する姿勢が支持されているのだろう。

オーバーサイズのピンクシャツは、流行の「たすき掛け」や腰巻きにもアレンジできる。
着痩せする黒のキャミソールワンピに合わせて、めりはりスタイルに
人気が続くベストは「コスパ服」。今の時期はシアーシャツ、夏は半袖やノースリーブ、秋は薄手のニットと合わせると印象が変わる。タイトスカートでIラインをつくってスタイルアップ

エクストララージ牝小路さん

 「僕はビジュアルより親しみやすさが売り」と話すのは、男性に人気のストリートブランド「XLARGE(エクストララージ)」の牝小路(ひんこうじ)健太さん(35)。身長が高くない人でも格好良く着こなせる等身大コーデが人気を集め、フォロワーは4300人。ブランドやファッションの歴史に関する知識も豊富で、うんちく好きな男性たちの心をくすぐる。

 ストリート系ファッションは若い世代のものと思われがち。でも、シックな色味を選んだり、革靴を合わせたりする工夫をすれば大人っぽくもなる。「年齢や体形を気にせず、好きなおしゃれを楽しもうというメッセージも共感されているのかな」。手応えを感じている。

オレンジ色の半袖シャツは厚手のコットン素材で、オールシーズン対応。
一枚で着ても、長袖Tシャツを重ねてもいい。
大きなポケットが特徴のベイカーパンツと合わせて「王道ストリート」のシルエットに
落ち着いた色のチェックシャツを選べば「大人ストリート」が完成。ローファーで品よく

ファッション誌よりインスタで情報収集

 SNSをフル活用する3人によると、今の若い世代は雑誌よりインスタでトレンド情報を収集している。スタイル抜群のモデルより一般人の着こなしのほうが、実際に服を着た時のイメージがしやすい。

 接客スタイルも変わってきた。来店客とインスタIDを交換することが増えている。「旅行に行った」「彼氏ができた」などの投稿からニーズを読み取り、ダイレクトメールで商品を紹介。対面の接客がしにくい分、SNS上の交流で補うという。店から営業の電話や、はがきが来ていた時代を知る30代後半の記者にとっては隔世の感がある。

 とはいえ、平成の頃にも「カリスマ店員」はいた。多くの若者が店に詰めかけていたのを思い出す。SNS全盛の今、スタッフの個性や人気を生かした販売戦略は、「インフルエンサー」という形でより身近になっている。自分の魅力を演出するセルフプロデュース力が、「憧れの存在」になるための鍵を握っているようだ。