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ブルーな日々を心地良く。生理の味方に新技術「フェムテック」

 生理をもっと快適に―。今、女性たちの注目を集めているのが、月経カップと吸水ショーツです。女性の健康を新技術で支える「フェムテック」ブームの火付け役。これまで隠す対象だった生理がオープンに語られるようになる中で、使い捨てナプキンが主流だった生理用品の選択肢が広がりつつあります。(文・栾暁雨、イラスト・岩清水玲子)

ナプキンかぶれ、「月経カップ」が解放

 紫の月経カップを手にした広島市の40代の看護師は「ナプキンにかぶれるのが長年の悩みでしたが、解放されました」と喜ぶ。カップは膣(ちつ)内に挿入し、たまった経血をトイレで捨てる。トイレットペーパーで簡単に拭いて、小さくひねって再装着。挿入にはこつが要るが、慣れたら5分もかからない。

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 職場では患者のケアに追われ、自分のタイミングで生理用品を交換するのが難しい。これまではタンポンと多い日用ナプキンを併用していたが、経血が漏れることもあった。月経カップの容量は約30ミリリットル。ナプキン3枚分に相当し「忙しくてトイレに行けない時に助かります」。

 弾力性のある素材で体に優しく、フェムテック先進国のドイツの製品をネットで購入した。約4千円と安くはないが、繰り返し使えてごみも出ない。洗った後は電子レンジで殺菌消毒する。経血量などに応じてサイズが選べて、色も豊富。出血量が一目で分かり、急な変化や病気にも気付きやすい。

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「吸水ショーツ」で活動的に

 三原市の会社員(35)は、吸水ショーツを3カ月前から愛用している。ファーストリテイリングの低価格ブランド「GU」のもので、1500円程度。股の部分が3層になっており、15~20ミリリットルの経血を吸ってくれる。「感覚としてはナプキン2枚分くらい」なのに、さらさらの肌触りで普通の下着に近く、ボトムスにも響かない。

 ナプキンのようにずれを気にせず活動的に過ごせるし、持ち歩いたり捨てたりする手間もない。量が多い時は、ナプキンと併用すれば安心だ。簡単に洗えるのもうれしい。「不快感を我慢するのが当たり前ではなくなった。自分の体に合うアイテムと出合える喜びは大きい」と語る。

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 フェムテックは、「フィメール(女性)」と「テクノロジー(技術)」を掛け合わせた造語。生理をはじめ、妊娠、更年期に伴う女性特有の悩みを、新技術で解決するサービスや製品の総称だ。2017年に世界で50社ほどだった関連企業は昨年に484社と9倍に増え、今後は5兆円規模の市場になると予測される。

増える生理回数、生涯で400回以上

 関心が高まる背景には、生理の回数が昔に比べて増えていることもある。出産が減り、初潮も早まっているためだ。新甲さなえ女性クリニック(広島市南区)の新甲さなえ院長によると、生涯に400回以上、日数を合計すると8年分にもなる。生理による心身の不調や不快感を感じている人は8割に上るという。

 新甲院長は「生理による不調は、女性が働き続ける自信をなくす要因にもなってきた。フェムテックによって快適に過ごせると、生活の質が上がり、社会全体のメリットにもつながるはずです」と話している。

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