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J-IDEO(ジェイ・イデオ)

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感染症総合誌「J-IDEO」連載記事ごとの購読(一部のみ)が可能です。http://www.chugaiigaku.jp/item/list.php?tag=J-IDEO
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記事一覧

研修医のための微生物レクチャーシリーズ グラム染色所見と培養結果からどう考える?(25)

[第25回]グラム陰性桿菌編① 黒田浩一 くろだ ひろかず 神戸市立医療センター中央市民病院感染症科 (初出:J-IDEO Vol.8 No.3 2024年5月 刊行)  前回の連載では,Actinomyces属について説明しました.前回までの連載で,グラム陽性桿菌について一通り説明し終わりましたので,今回からグラム陰性桿菌(Gram-negative rods:GNR)について解説していきます.グラム陰性桿菌編の第1回と第2回(次回連載)は,グラム陰性桿菌の形態(グラム

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基礎から臨床につなぐ 薬剤耐性菌のハナシ(44)

[第44回]誰も教えてくれないセフィデロコルの使いドコロ 西村 翔 にしむらしょう 兵庫県立はりま姫路総合医療センター感染症内科 (初出:J-IDEO Vol.8 No.3 2024年5月 刊行)  今回は,前回に引き続きAcinetobacter baumanniiの耐性機序について解説する予定でした.しかし,その前に,2023年11月に販売承認を受け,12月20日から発売開始となったセフィデロコルcefiderocol(商品名:フェトロージャ®,塩野義製薬)の国内での

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呼吸器感染症よもやま話(44)

[第44回]膿性痰で分類されていたCOPD 増悪の基準に下剋上 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.8 No.3 2024年5月 刊行) Antibioticsより重要な「A」 昔は「COPD急性増悪」と呼んでいたのですが,エライ人たちの思惑もあって,最近は単に「COPD増悪」と呼ばれることが多いです.個人的にはどちらでもよいのですが…….  COPD増悪と診断されれば,COVID-19やインフルエンザのようなウ

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微生物検査危機一髪(42)

[第42回]AST に必要な微生物検査技師の知識その2:実践 血液培養の検査結果とその解釈~閉塞性胆管炎の場合~ 山本 剛 やまもと ごう 大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER) 大阪大学医学部附属病院感染制御部 (初出:J-IDEO Vol.8 No.3 2024年5月 刊行)  前回,血液培養陽性時の臨床的意義づけや抗菌薬に関連した情報の収集をもとに,どう考えていくか述べました.今回は,少し拡大して解説していきます. 症例73歳,男性. 主訴:発熱,右腹痛.

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抗菌薬相互作用整理BOX(32)

[第32回]ファーマコダイナミクス~キノロン系薬とNSAIDs ~ 山田和範 やまだ かずのり 中村記念病院薬剤部係長/北海道科学大学客員教授 (初出:J-IDEO Vol.8 No.3 2024年5月 刊行) はじめに  先日,診療録を確認していると,肺炎を疑っている長期療養患者に対し,若手医師が,バイオアベイラビリティ良好なレボフロキサシン(LVFX)を処方していました.翌日,上級医が,痙攣の副作用の懸念があるためセフカペンに変更し,よくならなければ点滴を考慮すると

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【期間限定公開】 突破口 感染症診療の難問に答えはあるか(24)

[第24回]例外と一般岩田健太郎 いわた けんたろう 神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学教授 (初出:J-IDEO Vol.8 No.3 2024年5月 刊行) D 「うずらの卵だよ」 S 「あー,小学生が誤嚥,窒息して死亡した事故ですよね.可哀想でしたね」 D 「そのとおりだ.しかし,その後の対応がモヤモヤする」 S 「あー,過去にも同様の事例があったそうですね.2015年だったかな」 D 「逆に言えば,その2例だけだろう.一体,これまで何個のうずら

呼吸器感染症よもやま話(43)

[第43回]クロファジミンの処方例が増えてきた倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.8 No.2 2024年3月 刊行) 「チョコボール」みたいな薬剤 私は,現在外来で5~6人の患者さんにクロファジミン(ランプレン®)を使っています.クロファジミンといえばハンセン病の治療薬です(ジアフェニルスルホンが投与しづらい人などに用いられる)1).現在,Mycobacterium abscessus(MABS)症のキードラッ

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基礎から臨床につなぐ 薬剤耐性菌のハナシ(43)

[第43回]Acinetobacter baumannii の耐性機序 ②西村 翔 にしむらしょう 兵庫県立はりま姫路総合医療センター感染症内科 (初出:J-IDEO Vol.8 No.2 2024年3月 刊行)  前回はAcinetobacter spp.で最も問題となるβラクタマーゼであるOXA-型カルバペネマーゼのハナシをしました.今回は残りのカルバペネマーゼと,ブドウ糖非発酵菌においてはもう一つの重要な耐性機構である多剤排出ポンプのハナシへと展開していきます.

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抗菌薬選択チェックメイトへの道(31)

[第31回]ステイルメイト? それでもその先へ!山田和範 やまだ かずのり 中村記念病院薬剤部係長/北海道科学大学客員教授 (初出:J-IDEO Vol.8 No.2 2024年3月 刊行) 医師A 「昨夜,夜間救急センターから搬送された患者さん,今朝になっても発熱が続いていて咳と痰の症状が出てきたようです.血液培養と喀痰培養をオーダーしました.喀痰のグラム染色所見からおすすめの抗菌薬がありましたらよろしくお願いします」 薬剤師 「肺炎ですか?」 医師A 「実は,夜間救急

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突破口 感染症診療の難問に答えはあるか(23)

[第23回]情緒と安心の災害感染対策岩田健太郎 いわた けんたろう 神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学教授 (初出:J-IDEO Vol.8 No.2 2024年3月 刊行)

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基礎から臨床につなぐ 薬剤耐性菌のハナシ(42)

[第42回]Acinetobacter baumanniiの耐性機序 西村 翔 にしむらしょう 兵庫県立はりま姫路総合医療センター感染症内科 前回はA. baumanniiの病原因子を解説しましたが,今回からはA. baumanniiの耐性機序をみていきます.まずは最も重要な耐性機序であるβラクタマーゼです. AmpC A. baumannniiも多くのenterobacteralesやPseudomonas aeruginosa同様,染色体にampC遺伝子をコードしてお

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呼吸器感染症よもやま話(42)

[第42回]「結核の統計2023」を読み解く 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 毎年この時期(本稿執筆時,10月)になると,結核年報1)が更新され,「結核の統計」2)が刊行されます.抗酸菌診療医としては,「ワクワクする秋」なのです.ではさっそく,この連載で読み解いていきましょう. 2年連続で低まん延国 まず,2022年に日本国内では新たに1万235人の結核患者の届け出がありました.人口10万人あたりに直すと,結核罹患率は8.2となります[図

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研修医のための微生物レクチャーシリーズ グラム染色所見と培養結果からどう考える?(24)

[第24回]グラム陽性桿菌編 ⑨ 黒田浩一 くろだ ひろかず 神戸市立医療センター中央市民病院感染症科 前回の連載では,ノカルジア症の治療と予後について説明しました.今回は,このシリーズで最後に説明するグラム陽性桿菌であるActinomyces属の微生物学的特徴・臨床像・診断・治療について解説していきます. 1.Actinomyces属の微生物学的特徴 Actinomyces属には多くの菌種が存在しており,25菌種以上がヒトに感染を起こす可能性が指摘されています1~3).

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微生物検査危機一髪(41)

[第41回]ASTに必要な微生物検査技師の知識その1:血液培養陽性をどのように考えたらよいのか 山本 剛 やまもと ごう 大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER) 大阪大学医学部附属病院感染制御部 血液培養検査は菌血症・敗血症の診断に欠かすことができない検査です.特に微生物の確認ができると感染症のフォーカスが特定できることがあり,より適切な治療が施されることになります.原因微生物の特定ができないまま治療をすることは予後不良の原因の一つとなるため,原因微生物の特定は重要

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