マガジンのカバー画像

J-IDEO(ジェイ・イデオ)

285
感染症総合誌「J-IDEO」連載記事ごとの購読(一部のみ)が可能です。http://www.chugaiigaku.jp/item/list.php?tag=J-IDEO
運営しているクリエイター

記事一覧

基礎から臨床につなぐ 薬剤耐性菌のハナシ(42)

[第42回]Acinetobacter baumanniiの耐性機序 西村 翔 にしむらしょう 兵庫県立はりま姫路総合医療センター感染症内科 前回はA. baumanniiの病原因子を解説しましたが,今回からはA. baumanniiの耐性機序をみていきます.まずは最も重要な耐性機序であるβラクタマーゼです. AmpC A. baumannniiも多くのenterobacteralesやPseudomonas aeruginosa同様,染色体にampC遺伝子をコードしてお

有料
100

呼吸器感染症よもやま話(42)

[第42回]「結核の統計2023」を読み解く 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 毎年この時期(本稿執筆時,10月)になると,結核年報1)が更新され,「結核の統計」2)が刊行されます.抗酸菌診療医としては,「ワクワクする秋」なのです.ではさっそく,この連載で読み解いていきましょう. 2年連続で低まん延国 まず,2022年に日本国内では新たに1万235人の結核患者の届け出がありました.人口10万人あたりに直すと,結核罹患率は8.2となります[図

有料
100

研修医のための微生物レクチャーシリーズ グラム染色所見と培養結果からどう考える?(24)

[第24回]グラム陽性桿菌編 ⑨ 黒田浩一 くろだ ひろかず 神戸市立医療センター中央市民病院感染症科 前回の連載では,ノカルジア症の治療と予後について説明しました.今回は,このシリーズで最後に説明するグラム陽性桿菌であるActinomyces属の微生物学的特徴・臨床像・診断・治療について解説していきます. 1.Actinomyces属の微生物学的特徴 Actinomyces属には多くの菌種が存在しており,25菌種以上がヒトに感染を起こす可能性が指摘されています1~3).

有料
100

微生物検査危機一髪(41)

[第41回]ASTに必要な微生物検査技師の知識その1:血液培養陽性をどのように考えたらよいのか 山本 剛 やまもと ごう 大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER) 大阪大学医学部附属病院感染制御部 血液培養検査は菌血症・敗血症の診断に欠かすことができない検査です.特に微生物の確認ができると感染症のフォーカスが特定できることがあり,より適切な治療が施されることになります.原因微生物の特定ができないまま治療をすることは予後不良の原因の一つとなるため,原因微生物の特定は重要

有料
100

抗菌薬相互作用整理BOX(31)

[第31回]押しかけ女房アゾール〜CYPの配位結合〜 山田和範 やまだ かずのり 中村記念病院薬剤部係長/北海道科学大学客員教授 はじめに 今から20数年前,職歴からクリプトコッカスによる髄膜脳炎を疑われ長期療養されていた患者さんがいました.長期でフルコナゾール(FLCZ)を服用していましたが,状態が落ち着いたら中止するものの,しばらくすると意識レベルの低下とてんかん発作を起こすため,抗てんかん薬を併用しつつFLCZが再投与されるという治療が何回か繰り返され,その患者さんに

有料
100

突破口 感染症診療の難問に答えはあるか(22)

[第22回] ECCMIDを知っているか? 岩田健太郎 いわた けんたろう 神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学教授

有料
100

呼吸器感染症よもやま話(41)

[第41回]あなどるなかれアミノグリコシドの難聴倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.7 No.6 2023年11月 刊行)  現在も,ここぞというときにアミノグリコシドが使われます.呼吸器内科領域では,結核や肺Mycobacterium abscessus症に対してよく用いられています.  アミノグリコシドは,実臨床においてストレプトマイシン,アミカシン,ゲンタマイシンがよく用いられます.オールドファッションのア

有料
100

基礎から臨床につなぐ 薬剤耐性菌のハナシ(41)

[第41回]Acinetobacter属の臨床像と耐性機構④西村 翔 にしむらしょう 兵庫県立はりま姫路総合医療センター感染症内科 (初出:J-IDEO Vol.7 No.6 2023年11月 刊行)  前回は,A. baumanniiの病原因子のなかで,外膜蛋白,繊毛,リポ多糖について解説しました.今回はその続きで,その他の病原因子について議論していきます. 莢膜/菌体外多糖  莢膜および菌体外多糖は,細菌表層の細胞壁/外膜のさらに外側に保護層として形成されています

有料
100

微生物検査危機一髪(40)

[第40回]菌量について考える山本 剛 やまもと ごう 大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER) 大阪大学医学部附属病院感染制御部 (初出:J-IDEO Vol.7 No.6 2023年11月 刊行)  微生物検査の結果に“菌量”の表記がありますが,これはなにを表しているのでしょうか? 結果の解釈が難しいので菌量の表記はオブジェ化していたりしないでしょうか.菌量は検出された微生物の横に10³ CFU/mLや(1+)といった文字で記載されており,10³ CFU/mLと1

有料
100

抗菌薬選択チェックメイトへの道(30)

[第30回]Queen’s Gambit山田和範 やまだ かずのり 中村記念病院薬剤部係長/北海道科学大学客員教授 (初出:J-IDEO Vol.7 No.6 2023年11月 刊行) 医師 「新型コロナウイルスの濃厚接触で隔離中の患者さん,尿路感染症の疑いでセフトリアキソン(CTRX)を昨日から開始しました.同時に血培も取っています.他によい抗菌薬がありましたら連絡もらえますか?」 薬剤師 「どんな経過でしたか?」 医師 「5日前に左脳梗塞で入院になり,内科的治療をして

有料
100

突破口 感染症診療の難問に答えはあるか(21)

[第21回]J–OSLERに科学はあるか岩田健太郎 いわた けんたろう 神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学教授 (初出:J-IDEO Vol.7 No.6 2023年11月 刊行)

有料
100

研修医のための微生物レクチャーシリーズ グラム染色所見と培養結果からどう考える?(23)

[第23回]グラム陽性桿菌編(8) 黒田浩一 くろだ ひろかず 神戸市立医療センター中央市民病院感染症科 (初出:J-IDEO Vol.7 No.5 2023年9月 刊行) 前回の連載では,Nocardia属の微生物学的特徴とノカルジア症(Nocardiosis)の臨床像と診断について説明しました.今回は,ノカルジア症の治療と予後について説明していきます. 1.ノカルジア症の治療   前回の連載で詳しく説明しましたが,ノカルジア症は主に細胞性免疫不全のある患者に発症す

有料
100

基礎から臨床につなぐ 薬剤耐性菌のハナシ(40)

[第40回]Acinetobacter属の臨床像と耐性機構(3) 西村 翔 にしむらしょう 兵庫県立はりま姫路総合医療センター感染症内科 (初出:J-IDEO Vol.7 No.5 2023年9月 刊行)  前回までAcinetobacter属の疫学について解説してきました.今回からは,2回にわたってA. baumanniiの複雑な病原因子に関して議論していきたいと思います. Acinetobacter属の菌種間での病原性の差  Acinetobacter属は多数の病

有料
100

呼吸器感染症よもやま話(40)

[第40回]コロナ禍で活躍したハイフロー酸素療法 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.7 No.5 2023年9月 刊行) COVID—19病棟で鳴り響いた酸素の音  中等症のCOVID—19を診療している病院では,高流量鼻カニュラ酸素療法(high flow nasal cannula:HFNC,ネーザルハイフロー)に助けられました.HFNCは,加温・加湿をかけて大量の酸素を鼻から投与するデバイスで,経鼻で6

有料
100