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呼吸器感染症よもやま話(43)

[第43回]クロファジミンの処方例が増えてきた

倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科

(初出:J-IDEO Vol.8 No.2 2024年3月 刊行)


「チョコボール」みたいな薬剤

 私は,現在外来で5~6人の患者さんにクロファジミン(ランプレン®)を使っています.クロファジミンといえばハンセン病の治療薬です(ジアフェニルスルホンが投与しづらい人などに用いられる)1).現在,Mycobacterium abscessus(MABS)症のキードラッグとして用いられています.その他,HIV/AIDS患者のM. avium subsp.paratuberculosis(ヨーネ菌)感染症,多剤耐性結核,肺NTM症(MABS症と肺M. avium complex症)のいずれにおいても有効性が示されており,特にMABS症では有効な治療選択肢が少ないことから重宝されています.
 クロファジミンの見た目はチョコボールみたいな感じです.そもそも,クロファジミンの原材料が強力なフェナジン染料であり,製剤自体が赤黒くなってしまうという理由があるそうです.フェナジンは,ニュートラルレッドやサフラニンといった染料の原料になっているので,われわれにとっても馴染み深い物質と言えるかもしれません.夏場に高温環境下に置いておくと,まさにチョコレートのようにドロドロに溶けてしまうことがあり,管理には注意が必要です.

クロファジミンの副作用

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