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【北海道ツーリング】ウニ丼は高いだけのたいして美味しくもない料理

ウニって別においしくない。そんなわたくし、風と共に走り去りぬ、今日一日、こんなことが起こった。


・乾燥機にストライキを起こされる。
・線路に身を投げる
・写真と違うウニ丼にがっかりさせられる
・風力発電所を原子力発電所と言い間違える
・ソフトクリームグランプリ一位のメープルコーンで感動
・宗谷岬でやや照れながら写真を撮る
・猿払のキャンプ場で柔軟をする


そんな今日の出来事をこれから詳しくお伝えいたします。


乾燥機にストライキを起こされる
服が濡れてしまい、明日以降行く場所にコインランドリーがありそうにもない。よし、服を洗って乾かそう。私は旭川にあるコインランドリーに入った。

まず目に入ったのが灰皿だ。今時珍しくがっつり喫煙OKらしく、数本のたばこの吸い殻が残っていた。40円で洗剤を購入し、縦型洗濯機にくさい洗濯物をぶち込む。懐かしい音で洗濯機が回り、30分後、洗濯が終わった。

取り出して、乾燥機に入れる。量が多い場合はあらかじめ200円を投入してください。との注意書き。

根っからの悪である私は、説明を読み込んで、200円を投入した。ぐわわ、と稼働する乾燥機。終了したらピー音がするはずだ。よし、それまで昨日までの旅を文章にまとめる――


ピーッ。


は? 嘘でしょ? 終わり? 二十分は乾燥してくれるはずだよね?ねぇ? 聞いてる? 
重たいタイプの女の子みたいな問いかけを乾燥機(彼氏)にするものの、赤い彼は一言も返してくれない。きっと浮気だ。そうに違いない。などど考えていたと言えば嘘になる。とにかくちゃんと働けよデカブツ。バーカバーか。口コミにぼろくそ書き込んでやるからな覚悟しておけよ!
生乾きの洋服を着た私がまたがるとSRはため息をついた。

線路に身を投げる
こんな文面を見たら心配させてしまうかもしれない。だが私は生きている。線路に身を投げても生きていられることもあるのだ。心配無用である。
峠下駅。JR留萌線の無人駅であり、レトロな外見をしている。

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ほとんどが木材で作られており、扉を開くのも一苦労といった感じの立て付けだ。ホームはすべて砂利で、線路もさびた色をしている。山の中にあるから、車通りもほとんど無い。来るとしたら、荷物を運ぶトラックくらいだろうか。
私は、線路に降りた。これから殺される悪人のような気持ちで、首と足を線路に交差させる。電車などほとんど来ない。そう分かっていても、線路に身を投げるのは気持ち悪いものだ。黒板をひっかいたときのようなぞわぞわとした感覚が心を通過した。

写真とは違うウニ丼
せっかくだし海鮮丼を食べたいな-。神威岬でウニ丼の2500円を躊躇した私の海鮮食べたい欲は最高潮に達していた。マップルをめくると、「ウニ丼あり」の表示。行くしか無い。

券売機に表示される2500円のウニ丼。ふむふむ、相場はこのくらいみたいだ。ウニがもりもりでおいしそうである。食券を購入して、態度の悪い受付の男に渡す。
 
33番の方-。

店内でマイクを使ってアナウンスされると恥ずかしい。
お待たせしましたー、と渡されるお盆の上に乗ったウニ丼見て、私は驚愕した。

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何この白い輪っか、、、!
写真では、白米が見えないくらいにウニが盛られていた。黄色く艶めくそれはこの世のうまみを凝縮したような味に決まっている。私の想像がいけなかったのだろうか。お椀の中のウニはちょこんと盛られるだけで、下の白米がまるで浮き輪のように見えているでは無いか!

2500円。二千五百円。¥2,500

牛丼であれば四食分以上の価値がある金額が私の胸に寄りかかってくる。高い、高すぎる。

ま、まあ、味は最高なんでしょと、一口食べる。


微☆妙


こういう味の調味料を掛けたご飯で十分だわこれ。はい。もう二度と海鮮は食べません。てか、海鮮にそれほど価値を感じてないわ。

海鮮がそれほど好きではない、という自分の新たな一面を発見したところで、次の目的地、オトンルイ風力発電所に向かった。

風力発電所
北海道に行くライダーで、オトンルイ風力発電所を知らない人はきっといないと思う。海岸線にずらりと並ぶ風力発電の迫力はすさまじく、周辺の何もなさも相まって、異様な雰囲気を醸し出している。

私も例に漏れずその一人である。

動画で予習をし、マップルを読み込んだ。(マップルがホントに役に立った)

到着した瞬間を文字に書き起こしてみたのが次である。


うわぁぁぁぁっっぁぁっぁぁぁ。すぅぅぅぅぅぅぅぅぅげぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!んだこれぇぇぇぇあぁぁぁぁぁっぁ!!!!

圧倒的な数。風力発電の持つ威圧感。周辺施設のなさ。左に広がる日本海。考えるより先に三脚を取り出し、自撮りをしていた。東京では考えられないほど自然に自撮りをしたことに驚いた。自意識が初めて負けた瞬間だった。私は感動した。
(見たことのない笑顔を見せる著者↓)

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ソフトクリームグランプリ
ソフトクリームの味なんてどこも同じだと思っていた。実際、マクドナルドが一番安くておいしいし、ネットカフェの食べ放題ソフトクリームだって、超好きだ。

けれど、そんなおいしさが吹っ飛ぶくらい、おいしいソフトクリームを食べた。豊富町にある、「フェルム」というソフトクリーム屋さんである。

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ソフトクリームグランプリで一位に輝くなど、素晴らしい成績を残したらしく、店内はおしゃれなカフェ風だった。

コーンがメープル、ソフトクリームを食べた瞬間のあの甘みが長いこと鼻に滞在し、ゆっくりと抜けていくのだ。これが濃厚ってことか。ようやく理解できた。

宗谷岬
ただ最北端というだけで、他には何も無い。だけど、人はなぜか寄りついてしまう。そんな宗谷岬までの道はただひたすらにまっすぐだ。札幌ナンバーの車の荒い運転を華麗に交わし、私のSRはなんとか日本最南端の地、宗谷岬に到着した。

最北端の先には樺太(サハリン)が見える。

はずだった。

めっちゃ晴れてたのに見えなかった。見えるのは定規で引いたみたいにまっすぐな水平線だけであった。残念!

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それにしても私はどうして樺太が好きなのであろうか。

初めて見たのは、小学五年生の時だったと思う。社会の教科書にあった、「かつて南樺太は日本の領土でした」の表記。「間宮林蔵が島であることを確認しました」の記述。この頃から、私は樺太を意識していた。北海道に行き、樺太を見ようとするのは当然かもしれない。←嘘つけ!かっこつけてんじゃねぇよ!

最北端の感動以外にもう一つ感動したことがある。それは、国と国が海によって続いている、という事実だ。

は?何当たり前のこと言ってんの?馬鹿じゃねぇ?と思ったそこのあなた。私とは仲良くなれそうに無いですね、三十分後に小指をぶつけてしまう呪いを掛けましたざまぁみろ。

私たちは事実として国と国が海でつながっていることを知っている。日本の北にはロシアがあり、西には韓国や北朝鮮があり、東にはアメリカがあり、と世界地図を思い浮かべることだってできてしまう。ネットを使って、海外の生活の様子をリアルタイムで見ることもできる。なのに、どこか遠くの出来事のように感じてしまうのはどうしてだろう。海を挟んだ向こう側に人が住んでいる、と頭で理解していても、ディスプレイの中の出来事として心に納めてしまっている。

宗谷岬から、宗谷岬から道東に向かう海岸線から、私はその遙か彼方にロシアや中国のごつごつとした山地の存在をありありと感じた。ああ、地球は惑星で、国と国は海を挟んでつながっている。

その事実を目を使って知る体験は、私の知識を揺るがした。向こうに人が住んでいる。なんて素晴らしいことなんだ。

追記:間宮林蔵は何も見えない水平線に船を出したらしいです。勇気ありすぎ~。

猿払のキャンプ場でストレッチをする
宗谷岬を後にし、私は猿払公園というキャンプ場へ向かった。
道の駅が併設されていて、全面芝、入浴施設も隣にあるという至れり尽くせりの場所であった。

特に風呂が綺麗だった。が、私はその綺麗すぎる風呂に違和感を覚えた。なぜなら、あまりに殺風景過ぎたからだ。

風呂の内部を描写してみる。

入ると左手に吉野家の入り口みたいなチケット販売機が鎮座している。入浴料を支払い、印刷されたチケットを受付に座る公民館の職員みたいな男性に手渡す。

真っ白でノブが銀のシンプルな扉を開くと脱衣所につながる。ロッカーはグレーのブリキ製で、学校のロッカーを連想してもらったらわかりやすい。

浴室は無駄なく設計されている。入って右奥にある三角形の主浴槽。長方形で広々と面積を使ったサウナ。小さな三角形で作られた水風呂。なんだろう、この完璧であるが故の怖さ。

その謎はサウナに入っているときに解明された。

テレビの他に、何か流れているのだ。英語でも無い、フランス語でも無い、ドイツ語でも無い。なんだろうこの言語。

、、、

ロシア!

そうか、日本最北端の村である猿払では、ロシアのラジオの電波を拾えるんだ。

そのとき完璧すぎる浴槽にも合点がいった。つまり、社会主義なのだ。均等に振り分けられ、決して飾りはしない。この公平性。ロシアだ。風呂上がりにウォッカを飲み、コサックダンスを踊りながら社会主義入浴施設を後にした。

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