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長男ナオ、次男リョウのためにラブレターを書く

こんにちは。靴のサイズは22.5cm、なかだいらです。
このnoteでは長男ナオ、次男リョウが発達障害の診断を受けた流れ、その後バリ島で育て直しを行った体験の記録を、本人の許可を取ったうえでつづっていきます。
バリ島へ行ったのが2009年。まずはそれまでの日記を出していきます。

2006/6/23「配慮と甘やかしの違い」

参考になった記事のメモ。

根源的に必要な配慮というのはあるかと思います。
・本人の発達速度、習得速度などを考慮し、身の丈に合った無理のない課題を設定すること。あるいは苦手な事柄については年齢相応を求めないこと。
・本人が最も見通しを立てやすい情報伝達手段で情報を伝達すること。
・感覚過敏がある場合の苦痛の軽減。
・虐待を受けず安全な環境で生きることの保障。
・二次的障害を起こした時に苦痛を軽減するための治療を受けること。
以上の配慮については、よほど過剰ではない限り、甘やかしとは言えないでしょう。
ただ、
・規則正しい生活を送ること。
・最低限必要な社会のルールを学ぶこと(ルールを簡略化したり明示化する必要ならあるかもしれない)。
・生活に必要なスキルは身につけておくこと(本人が最も身につけやすい手段を身につけるのは問題なし)。
などについては、当事者であれば特別扱いされてもいいという話ではないと思っています。

2006/6/24「最も困るのは」

やっちゃいけない、ということをやる。
やりなさい、ということをやらない。
例えば、自転車で遠くまで行っちゃいけない、というのに行く。

2006/6/25「子供のしつけ」

うちの子供たちは行儀が悪すぎる。言うことを聞かない。大人をなめてる

これが多くの親の見解。

2006/7/6「次男がひらがなを書く」

お勉強は苦手だとばかり思っていた次男リョウ(小1)が、意外とちゃんと授業を受けているのでびっくり。
算数のテストでも○をたくさんもらってる。

昨日は国語のテストを持って帰ってきた。
小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」の問題。
絵を見て(かっこ)に文字を入れよ、はちょっと難しかった様子。

○ こん(にゃく) → × こん(にょに)
○ に(ゅうどう)ぐも → × に(ゃこちお)ぐも

そもそも何の絵だか分かっていないと思われる。

2006/7/8「暑い…」

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暑さで伸びきるモコ。

2006/7/25「ラブレター」

学童キャンプの打ち上げに、次男リョウの初恋の相手が来ると分かり、急遽プレゼントを持っていくことになった。
彼女が喜びそうな、ビーズで作ったネックレスを用意し、箱に入れてリボンをかける。

リョウが「手紙を書く」というので可愛い便箋を出してやるも、「字が書けない」と挫折。
お節介の長男ナオ(小3)が「俺が書いてやるから!」と代筆をかって出てくれた。

以前も少し書いたが、ナオは字を書くことが苦手な書字障害(※)があるため、ナオ自身も実は字が書けない。
なので、代筆の代筆として私が「カタカナの"ゼ"はこうだよ」と他の紙にメモして教えてやることに。

でも私は嬉しいんだ。すごく。
好きな子のためにプレゼントを贈ろうとするリョウの気持ちも嬉しいし、字が書けないのに弟のために代筆してやろうとするナオの気持ちも嬉しい。

こうして3人で協力して書いたラブレター「Mちゃんへ。プレゼント受け取ってください。好きです。リョウ」を、Мちゃんはとても喜んで受け取ってくれました。

※書字障害について
私はこの障害をとても興味深く思っています。
漢字が書けない子はたくさんいるけれど、書けないのレベルが違います
字の形を正確に捉えることが難しいらしく、私たちが複雑なあみだくじを書き写して覚えようとしているのと同じような困難さ。

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これはよくやる「五」という字の捉え間違いと、漢字の重要な一本を平気で抜かす「書」という字の例。青が正解、赤がナオの書くパターン。

ひたすらくり返し書かせても効果はほとんど無くて、注意力の持続も困難であるナオにとっては苦痛にしかならない。
書き順を唱えて書くやり方だと、書き順通り正しい字がかけるけれど、音読み訓読みと結びつかない。

不思議なところは、文章を読むことはできるんですね。これは前後の言葉から推測できるからだと思う。
みんな脳の中に引き出しを持っていて、色々な整理の仕方をしていると思うけれど、ナオの場合、独自の整理方法なので私はその整理の仕方を理解したいと思っています。

高学年になってくると、答えが分かっていてもテストの解答欄に「書けない」という問題が出てくると予想されるので、その辺をどうしていこうかな、と。
特訓することがナオのためなのか迷う部分もあるし、これからの時代はキーボードを打てればOKなのかな、とも思う。
我が家の家族はナオの悪いところばかりに注目しているわけではなくて、彼の想像力や数字への関心(1・2・3年の夏休みの日数まで覚えている。おつりの計算はレジといい勝負)、物作りへの熱意など、人一倍優れているところをとても素晴らしいと思っています。

とりあえず、3年生になってようやく自分の氏名を漢字で書くようになってきたので(いままではプリントに名前を書かないか、平仮名で下の名前だけ書いていた)、この夏は氏名をいまより丁寧に書けるようになることが目標です。

つづく

次回は「山村留学を再び考えた頃の日記」についてアップします。

■当時をふりかえって補足 2021.9.22
配慮なのか甘やかしなのか。しつけなのか虐待なのか。
これは本当に悩むところですね。いまでも揺れ動きながら子育てしている感じです。
ナオは現在23歳。いまでも字は苦手ですが、日常生活で困難はほとんどないようです。高校、大学へと進学できたし、バイトも就職もできました。本人に聞くと、書字の特訓をしなかったからこそ苦手意識が根深くならなかったとのことでした。そして大人になるにつれ、本人なりの工夫で覚えられる字が増えてきたそうです。バイトでは領収書を書く機会がありましたが、書けるひとに書いてもらうことで切り抜けていました。助けてもらうスキルは誰にとっても一生役立つものです。

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