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恋人からのプレゼント
プレゼントは、相手との関係性が目に見えてわかるものだと思う。
とくに、恋人間のプレゼントは、送り主が相手に「こうなってほしい」と期待する理想像を映し出しているのではないかな、と思う。
昔、付き合っていた人から、オープンハートのネックレスをプレゼントしてもらったことがある。
すごくうれしかった。喜びをことばにするのがもったいないって思ってしまうくらいうれしかった。うれしくって、その日ずっとシルバーのハートを手で触っていたのを覚えている。黒ずんじゃうよ、って笑いながら注意されたのも、覚えている。
結局その人とは数か月後お別れすることになってしまったのだけど、どうして、オープンハートだったんだろうって。男性から女性にあげるプレゼントとして定番だからという理由かもしれない。それとも、愛を伝えるのにいちばん目で見てわかりやすいと思ったからかもしれない。
わたしは普段あまりフェミニンな格好はしない。
古着だったり、いわゆる「下北系」といわれるような服装や、モノトーンやオールブラックでまとめた落ち着いたコーディネートをすることが多い。アクセサリーもそんなにつけない。
そんなわたしとは対極の、オープンハート。
プレゼントをもらった日から、私はその小さなシルバーのハートを身につけたくてつけたくて堪らなくて、服装がどんどん女性的になっていった。ニット、タイトスカート、ワンピース。もちろんカジュアルな服だってシンプルな服だって着ていたけれど、その割合は日に日に減っていったし、少なくとも彼と会う日の多くは、オープンハートが服選びのベースにあったと思う。
オープンハートをプレゼントしてくれた彼は、いい人だった。男らしくってがさつで自信家、だけど優しくって。そんな彼のタイプは「女の子らしい人」。
彼は「女の子らしい服装をして」と口にしてきたことはなかったし、オープンハートだって、そういう意図でプレゼントしてくれたわけじゃないと思う。
でも、深層心理的には、きっとわたしに「女らしさ」を強く求めていたんだなあ、と思う。
そういえば、暗めな服を着る男性に魅力を感じる私は
カラフルな服を好む彼に黒いマフラーをプレゼントしたことがあるなあ。
そういうことだ。
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