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お前は客なのか?

店をオープンして以来、忙しすぎて何も手についてない。

起きて、店へ行って、働いて、帰って、寝るの繰り返し。

7時閉店なのになぜこんなに時間がないのか、それはひとえに…

フランス人のせいだ!!!

神出鬼没フランス人。
当店は月〜土曜日12時オープン、7時クローズなんだけどマー11時には来る。
「やってる?」とかはない。なんの疑いもなく「さて…何にしようか…」とか言いながら来る。

もしかしてOPEN/CLOSEの札が目に付きにくかった?とおもって、取っ手の真上につけた。絶対見るやん?そこだけは。  

でも、来る。

鍵かけたらいいんじゃない?いやいや、シャッターも半分おろしておけば…

来る。 

なんなら「ドア壊れてるぞ!」とか言ってくる。もう…どういう思考回路??いや、鍵やん。あなたの家にもついてるやつ。ここに来る前締めてきたやつ!私もやってみたんよ!

そんな毎朝の凸は別にいい。百歩譲って、買ってくれるから。これらの格闘を遥かに凌駕する人物がさっき現れた。
 
7時に閉店して、掃除の前にちょっとお茶でも…とつかの間の休息をとっていたら、ドアが開いた。

私「すいません、閉店してます。」
客?「うん、そうなんだ?」ズカズカ…(は?)

客?「僕はさ、この前日本に行ってきたんだよね!」
(え?)
客?「おにぎり、知ってる。ファミリーマートで食べたからね。海苔もファミリーマートで買ったし。」
(マ?)

フランス人に思い出話をさせると長い。話しながら思い出したこともその都度くまなく補足を入れてくるから、長丁場は確実。ここは早急にお引き取り願わなくては…

旦那「今日は閉店したんですけど、良かったら残り物あげるんでおいしかったらまた来てください」
客?「いいよ、今食べるわ、ココで!」
(ヒィ!)

食べる食べる…おにぎりを3つ平らげて更に饒舌になった彼は「震災」→「ベネチアの洪水」→「生きるよろこび(オノヨーコ)」→「表現の不自由展」→「安倍政権」→「マクロン」→「SNCFのストライキ」とまくしたてること2時間!

その間に店はピカピカに掃除され、私は服を着替え、旦那はウンコを2回もした。

(もうええ加減帰ってくれ…!)

その瞬間ドアが動いた。
え、帰る感じ??帰ってくれるん??
と思ったらまた別の人現る〜!!!

客「こんばんは〜!!」
私・旦那「閉店してまーーーす!!」

流石に食い気味に言った。お前も聞いてるか?届けよこのメッセージ!どうだ??

客?「そうです!閉店してます!」

ハァーーーー!!!??
じゃー帰れーーー!!!

旦那「良かったら、最後の1個。おいしかったらまた来てください」
客「えっいいの?ありがとう!おやすみー!」

見た?これです、私が求めてたのは。今からでも遅くないんでどうかお帰りいただ…

客?「ねぇ…本気?ハァ…がっかり。」

(は…?)

客?「僕がずっと指さしてたの、二人とも気付いてなかったの?これも僕のものだと思ったのに!明日の朝食べようってカウントしてたのに!」

(なんで……?)

力尽きた私ら夫婦は、言葉を発することをやめた。降参。

客?はそれでも15分位店内を物色し、フリーマガジンを読み始めた。何故!!
そして同じフランス人ながらどうしてうちの旦那は気が弱いのか?! 
心身共に疲れはピーク。もう気遣いなんて知るか!どーにでもなれ!!

私「よし、帰ろう!!」
客?旦那「そうしよう!!」

(どゆこと???!!)
(でもありがとーーー!!!)

マジで、なんだったん??
この人は極端な例だけど、ライトなやつなら日常茶飯事なので、私がもっと主導権を握った接客できるようにならんとな…と強く思った。

まったく、フランス…タフな国だぜ。

散々悪態ついた日記を公開しておいて難だけど…
パリでおにぎり屋やってます。

ギリギリ
48 rue Notre Dame de Lorette

機会があったらぜひ遊びに来てください。営業時間中なら熱烈歓迎いたします!

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