こどもや孫に、生きづらさを引き継がせないための
「子どもがかわいくない親なんていない」
「人はだれでも恋をする」
「普通に考えれば、わかるでしょ」
自分にとってのあたりまえを、押し付けてはいけない。
自分にとってのあたりまえが、だれかにとってもあたりまえとは限らない。
気付くまでに、三十年もかかってしまった。
価値観をアップデート、ということばを最近よく耳にする。
価値観は、時代とともに変わるらしい。
というより、無いものにされてきた人々のつらさに、やっと気づきはじめた、とでもいうべきかな。
これまでの人生のなかで、私はどれだけの人を傷つけてきたのだろう。
知らなかった、そんなつもりじゃなかったと言いながら。
考えれば考えるほど、冷たい汗が流れる。
彼女いるの?なんで進学しないの?女の子ならピンクがいいね。親とは仲良いの?中学生なのにご飯作ってるなんてえらいね。小さくて羨ましい。生理痛で休むの?外国人なのに日本語うまいね。本当に目見えてないの?これ読んで適当にやっといて。こんなこともわからないの?
たくさんの事情や、視点を知って、私のみる世界はどんどん変わっていった。
これまで見てきた風景のなかにかくれる違和感に、気付くようになっていった。
それは、良いことなのだろう。
だけどそれと同時に、さびしさや悲しみもうまれた。
子どもの頃から、大好きで妄信してきたもののなかにも、違和感をみつけてしまう。
いままで信じつづけてきた正義、やさしさだと思っていたもの。
ここで生きてきたのに、その足元がパラパラと脆く、崩れ落ちていくような。
そんなさびしさや、悲しみ。
しょうがないのだ。
だってもう、戻れない。
大切なひとの苦しみを、知ってしまったから。
過去のあやまちを消すことは、できない。
そのかわり、未来で出逢うだれかと、こころから笑いあうために。
「おばあちゃんの時代って、すごく生きづらい世界だったんだね!」って、何十年後に、言われるように。
これからも私は、価値観を更新しつづけていく。
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