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解説ツール公開します!

みなさん、こんにちは佐々木クリスです。お久しぶりと言うべきか、Bリーグが開幕して4シーズン目、会場でお声がけいただくことも多くなりみなさんとの距離はずっと近くなっている気が勝手にしております。『番組観てるよー』といつも言って頂けてエネルギーをもらっています。ありがとう。

そしてNBAも2019年のドラフトからシーズンに入ってからも八村塁がオールスター前に怪我による小休憩はありましたが… ルーキーとは思えぬ大活躍。NBA2年目渡邉雄太選手との日本人対決も実現、Gリーグでは馬場雄大選手もシーズンが進むにつれプレータイムは増加、日本では課題であった3ポイントショットの成功率も43.5%と素晴らしい成長を見せるなど、ますます日本におけるNBAが盛り上がっていきそうですね。

そんな中、僕の活動はみなさんのバスケットボール観戦をいかに豊かにできるか?いかにみなさんの知的好奇心を刺激できるか?などをテーマに日々情報、そしてデータの収集から始まります。そしてこの準備のプロセスはおそらくみなさんが想像する以上に重要かつ、時間を要するものです。

そこで僕が感じたのは手作業で入力していた膨大なNBAのトラッキングデータ、これらをオートメーション化出来ないだろうか?と言うこと。
(たまに『データはどこから?』と質問をいただきますが、基本的に僕がNBAのゲームを喋るときは一般公開されている nba.com/stats 内で確認できるものしか紹介しない様にしています。興味を持った方が自分で探せることも大事だと思っているからです)

ちょっと話が逸れてしまいますが、何年か前にAIを通じて技術を次世代に伝えるプロジェクトの一例として、AI開発の前段階となるブレインモデルの作成に協力させて頂いたことがありました。
ターミネーターの“ジャッジメント・デー”などいつかAI支配されるのでは、といった漠然とした恐怖感が僕自身なかったとも言えませんが、この経験で一切払拭されたのを覚えています。


僕がその時に感じたのはAIが人間の仕事や創造力を奪うことはないだろう、むしろAIは日々我々にブレーキとなっている煩雑なタスクを一気に解決してくれて、さらに生産性を高めてくれるものだと感じました。より人間を自由にしてくれるのではないか?と感じたわけです。

例えば僕が解説をしながら試合をお伝えしていると僕が「このタイプのライブターンオーバーは気をつけたい」と言葉を発するだけでAIが画面上に対戦両チームのターンオーバーからの失点をグラフィック表示してくれる。

「この選手のリングプロテクションが優秀で…」というだけで、その選手が守っている時のリング周りの相手FG成功率がパッと表示される、リプレーなども選択して挿入してくれる。

なーんてことがあったらファンの試合観戦は格段に楽しくなる! (試合中に僕の細かいデータ紹介の時間が省ける、中継が言葉で埋まらない)ばかりか、僕自身エビデンスをそろえる為に投じている膨大な時間が節約出来るWIN-WINな革新が起こりうる。こんなことを考えていました。

ちなみに最近は『ノートを見せてもらっても良いですか?』と尋ねられることもしばしば。それがこれです。

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ただ、この手書きのノートも今は持ち歩いていなくて、実は昨シーズン(2018-19)からは全てエクセルシートなどのパソコンに打ち込む方式に変えていました。

しかし、毎日試合が行われるNBA、この方式でもデータを最新のものに更新するためには試合日の前日、しかも夕方以降ではないと入力作業に取りかかれないんです。その一方で出演などのアウトプットは増してその時間に番組に出演しているケースも出てきました。

これはどれも有り難い悲鳴でしかないのですが、『自動化出来ないかな?』この回答を模索する日々が結構続いていたところ、知人経由でまさに渡りに船、僕が出会えた方はご自身のブログなどでNBAのデータAPIなどに触れていたり、Bリーグのデータを非常に分かりやすいグラフィックで分析されていた増田林太郎さん twitter/ @rintaromasuda でした。

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増田さんのブログも拝見し、


お会いした時に、今自分が抱えている“データの収集、確認作業効率”の問題をぶつけて見たところ、以外にも簡単に『出来ますよ!』と返ってきたものだからひっくり返りそうになる自分を抑えつつ打ち合わせは続きました。

ご自身もかつてプレーヤーで、Bリーグ開幕をきっかけにバスケ熱を再燃させている増田さん。彼に今回依頼したのは解説ノートのこの部分(赤枠内)、

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ここが自動化されると、僕の中では90分ほどの解説前日の準備時間をセーブできると言う計算。

1時間弱の打ち合わせを経て、そこからの増田さんの仕事っぷりは素晴らしいの一言。試作品がどんどん更新されて送られて来て、僕がフィードバックをするとさらに改良するという作業の繰り返し。

正直『今シーズンが終わる頃には完成したら良いなぁ、来シーズンはどういうプロセスで準備ができるかなぁ』と期待感を膨らませていたのですが、僕の依頼内容に完全に応えて頂きつつ、もう完成しました!(wow)

既に日々のNBA解説に活用しており、その効果は実証済みで僕が経験則からリクエストした項目の並びなどもバッチリ。そして前日準備の時間も非常にシンプルな手順、3クリックで期待通り90分の削減が実現しました!

完成後改めて増田さんとお話しする機会をいただき、素晴らしいルール開発に対しての感謝と3クリックの衝撃をお伝えさせて頂いたのですが、そこで改めて増田さんが本業を持ちながらもバスケットボールのデータをブログで紹介していく活動の意義や使命感を、増田さん自身が共有して下さいました。

『日本のバスケが盛り上がったら嬉しい。自分もそのエコシステムの一環であると思いたい、少しでも“自分ごと”に出来たら楽しい』

そんな増田さんの言葉を聞いて、やはり僕の活動も道半ば、まだまだどれだけ多くの方々を巻き込めるかだな…と身が引き締まる気持ちと、僕自身”バスケットボールアナリスト”というこれまでになかった肩書きをあえて名乗ることで、今後『プロ経験がなくとも正しい努力と独自の視点を持ってさえいれば“解説者”を目指しても良いんだ』といつかは分からないが後に続くであろう若者の背中を押せればいいなぁ、と思っていた初心に帰ることが出来ました。

さらに畳み掛けて来たのは『クリスさん、このツール無料公開は考えられませんか?』という提案。


データに触れ、バスケットボールを思考する。

その機会が多い方が良いに決まっている。


今回このツールを依頼させて頂いたのは自分ですが、多大な労力を払い作成して頂いた増田さんの想いに共感し、この度無料にて増田さんblogページからこのツールを取得できるようにして頂く予定です。

僕が書いているnoteのページではなく、増田さんのブログ内にて取得いただく理由は、このnoteは極めて不定期で更新していることから”広げる“ことの役割を果たしにくいこと、それから増田さんが紹介している記事もみなさんに是非チェック頂きたいから。

僕自身はこれからも自分の解説を楽しんでいただけるようにずっと全力投球で取り組んでいく気持ちは変わらないけれど、バスケットの正解は決してひとつではないと思っています。様々な視点に立ってバスケットを観る人が増え、視点の違いをリスペクトした上で議論ができるような環境が進めば、日本におけるバスケ文化の前進でしかない。

みなさんご活用ください!ではまた。

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