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2021年 読んだ本をまとめてみた

皆さま、2021年ももう終わりますね。新しい年が始まったと思ったらこうやってもう1年が過ぎ去ると思うと、時間の進む速さというものをしみじみと感じます。

さて、年の終わりということで何かそれらしい記事を考えたのですが、私自身読書が好きなので、今年読んだ本を簡単な紹介も添えてまとめてみました。冊数としてはそこまで多くはないですが、一冊一冊紹介してこうと思います。

荒木飛呂彦の漫画術/荒木飛呂彦

私が好きな漫画、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者による漫画の描き方について書かれた一冊。漫画を描くための技法が詳しく書かれているが、私としては作者の思想や信念がどう漫画を形作っていくかを知りたかった。それでもこの本を経て、作者の漫画に対する考え方を垣間見ることができる。

恐いほど人の心をつかむ話し方/稲川淳二

怪談噺でおなじみ稲川淳二による会話の解体書。「頭の中のイメージを読み進めるように話す」「話すこと以上に聞くことに集中する」など、普段何気なくしている会話を上手くするための方法が詳しく言語化されていた。

入社1年目の教科書/岩瀬大輔

就職したばかりの新卒に向けて書かれたビジネス書。内容は特に目新しいものが書いてあるわけではなく、社会人としてこんな心構えをしておいた方がいいよね、という確認の意味で読めばよいと思う。

完全教祖マニュアル/架神恭介、辰巳一世

キリスト教を始めとした昔から続く宗教のなりたちをもとに、現代においてどうやって教祖となって宗教を広めるかが書かれている。タイトルからして一見怪しい本であるが、内容としては著書もそこを理解して冗談半分で書いているので、気構えずに読んで大丈夫。


蠅の王/ウィリアム・ゴールディング

無人島に流れ着いた少年たちのサバイバル小説。しかし十五少年漂流記とは違って人間の汚い欲や本能をこれでもかと出してきており、とにかく血生臭い。デスゲームもののような現代における人気のジャンルのルーツにもなっている作品。

白痴/坂口安吾

戦時中の日本を舞台にした男女の恋愛が描かれる。戦争により鬱蒼とした環境と、その中で描かれた正常ではないが純粋な愛のギャップにより、絶望も希望も混ぜ合わせた不思議な世界が出来上がっている。

伝え方が9割/佐々木圭一

物事を相手にわかりやすく伝える方法についての本ではなく、どうすれば相手を説得できるかが書かれている。特に目を惹く内容はなく、個人的に合わなかった。

星の王子さま/サン=テグジュペリ

宇宙からやって来たという不思議な男の子と、パイロットの物語。男の子の語る物語は、子どもには少し不思議な寓話として聞こえ、大人には幼い時の世界の見え方を思い起こさせてくれる。子供に優しく読み聞かせてほしい、そんな小説。

人間失格/太宰治

太宰治をモデルにした主人公の人生が描かれた小説。主人公の鬱屈とした感情、臆病ながら高いプライドにより生きづらさを感じている人は共感できると思う。詳しくは、以下の記事もどうぞ。


静かな水は深い/竹内祥悟

ユング心理学をもとに、主人公が教授との対話の中で自分のことを知っていく。嫌われたくない、という人間関係にネガティブな想いを持つ主人公が悩みながらも少しずつ前向きになっていく姿には、勇気をもらうことができる。


哲学用語辞典/田中正人、斎藤哲也

紀元前から現代まで続く西洋哲学中で出てくる用語をまとめた図鑑。西洋哲学を学ぶための導入としては、大まかではあるもののとてもわかりやすい。描かれたイラストがコロっとしていてとても可愛く、哲学という敷居が高く難しそうな内容を中和してくれている。

息吹/テッド・チャン

SF作家テッド・チャンの短編集。タイムトラベル、人工知能、未来予測などの今となっては古臭いテーマが現代という時代において上手く落とし込まれている。SFとヒューマンドラマ、社会問題、哲学などの様々なジャンルを上手く融合された作品になっている。

地下室の手記/フョードル・ドストエフスキー

俗世を離れ地下に潜った一人の男の持つ哲学の話。『人間失格』の主人公とは人間臭さの面で重なる部分が多く、読み比べてみると面白いかもしれない。主人公のひねくれた思考から来るどうしようのなさは一周回ってコメディ感あふれたものになっている。

貧しき人々/フョードル・ドストエフスキー

ドストエフスキーが描く、純粋な恋愛の物語。当時のロシアの不安定な世情をまじまじと描き、その中で生きる男女の恋の模様が書かれている。どれも陰鬱としているドストエフスキーの小説だが、恋愛が主軸になっている本書は他と比較して読みやすいものになっている。

イワンの馬鹿/レフ・トルストイ

金や権力よりも大事なものは何か、寓話的に描かれた作品。トルストイの持つ農本主義的思想が如実に表れた作品でもある。子ども向けの絵本にもされている通り、トルストイの中でも話がとてもわかりやすいものになっている。

夢十夜/夏目漱石

全部の10の物語が綴られた一冊。どれも話は難解ではあるものの、繊細で儚い文章がとても美しく、読んでいてまるで夢の中にいるような気分に浸ることができる。年齢を重ねたら物語の意味も考えながら、改めて読みたい。

ノルウェイの森/村上春樹

隠れた歪を持った者同士の関わり合いが描かれている。大きな感動やハラハラはないものの、人物同士の触れ合いは優しく見守っていられる。闇深さがところどころ見えるものの、読み終わった後はさわやかな気持ちにさせられる。

スマホ脳/アンデシュ・ハンセン

スマホと人類の付き合い方について著者なりの視点から書かれており、人類史を基にしたスケールの大きい著者の考察には、目を見張るものがある。詳しくは、以下の記事もどうぞ。


シッダールタ/ヘルマン・ヘッセ

仏教の開祖である釈迦を主人公にした、悟りに至るまでが描かれた物語。ヘッセなりの仏教の解釈を基に物語は描かれており、釈迦が人生の中でどのように悩み、そしてどのような境地に至ったのか、追体験をすることができる。

少年の日の思い出 ヘッセ青春小説集/ヘルマン・ヘッセ

「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな」で有名な『少年の日の思い出』を始めとするヘッセの4つの作品が載っている。描かれる鮮やかな情景の描写と、少年時代を思い出させるノスタルジーな雰囲気は、なかなか味わうことのできない体験になると思う。

ゴルギアス/プラトン

ギリシャの哲学者、プラトンによる哲学書。ソクラテスと哲学者による対話をの中でプラトンの持つ善悪や正義に対する思想が書かれている。プラトンといえば政治哲学が有名であるが、そんなプラトンの政治に対する考え方を垣間見ることのできる一冊。

金閣寺/三島由紀夫

実際に起きた事件を基に三島由紀夫なりの解釈が加わり、文学として落とし込まれている。金閣寺の美しさと主人公の卑屈さがどのように折り合いをつけていくのか。詳しくは、以下の記事もどうぞ。


史上最強の哲学入門/飲茶

西洋哲学者を題材に、格闘漫画のリング入場のごとく紹介をしている作品。一見すると馬鹿馬鹿しい内容であるが、哲学初心者にもわかりやすい内容で『哲学用語辞典』と並んで西洋哲学について学ぶとっかかりとしてオススメ。漫画『グラップラー刃牙』の作者が表紙と描いているのもおもしろい。


以上、私が2021年に読んだ本の紹介でした。他にも漫画や絵画集、絵本などのさまざまな本を読んできましたが、今回は文章主体の本のみの紹介を行いました。
まだまだ読みたい本はたくさんあるのですが、今年ももう終わり。なので、読書の続きは2022年の自分に託そうかと思います。来年は読書も含め、noteの更新も今以上に増やしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

以上、今回はここまでです。最後まで読んで頂きありがとうございました。また来年もよろしくお願い致します。

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