見出し画像

78年 スカルノ元大統領の第一夫人、韓国にキリスト求道の旅

スカルノといえば、インドネシアの独立運動の指導者、初代大統領として今も「国父」と呼ばれ親しまれる存在であるが、その第一夫人が「キリストを求め韓国を訪問した」という記事が、クリスチャン新聞1978年1月8日号に載っていた。(このNOTE記事の一番下に該当クリスチャン新聞記事スクラップを貼っています)
Wikipediaで調べると第一夫人は「ファトマワティ」という名前だが、クリスチャン新聞のこの記事では名は出ず、「第一夫人」としか記されていない。

趙鏞基牧師の説教を聞き、ヨイド純福音教会に求道の旅に

韓国訪問の目的は、ヨイド純福音教会で求道するため。同教会は、登録信徒56万人を擁する(2020年)。その創設者にして主任牧師(当時)で、世界的にたいへんカリスマ的なリーダーとして知られる趙鏞基(チョー・ヨンギ)牧師がインドネシアに伝道のため訪れた際、「感動し、今回の求道の旅となった」。
(趙師は2021年逝去し、主任牧師はその生前、李永勲=イ・ヨンフン=師に交代している)

記事に顔写真が添えられているのは、同夫人の秘書で、クリスチャンの、「Mさん」。スカルノ第一夫人と同行して韓国に渡った。付き人といったところなのだろうか?

秘書のMさん

これは私の推測だが、スカルノ第一夫人に「お仕え」しているMさんの、日頃の言動による「証し」による信頼性があって、夫人は趙牧師の集会に出たり、韓国まで行ったりということがあるのかもしれない。

2人は崔子実(チェ・ジャシル)牧師の勧めに従って1週間の「断食祈祷」にもチャレンジした。崔師は、趙師の駆け出しのころから共に伝道し、ヨイド純福音教会にあってカリスマ的なリーダーとして知られる。

ヨイド純福音教会。礼拝のために集いつつある人々

Mさんは断食で、「体力は衰えても心は感謝でいっぱいです。残念ながらインドネシアは回教の国で本当の神をあがめていません。国民がイエス・キリストに立ち返るようぜひ祈ってください」と語った。

秘書に直接対面しての取材?

これは、クリスチャン記者か、記事の書ける誰かが直接、Mさんに取材したのだろう(伝聞ではなく)。なぜなら、Mさんは断食祈祷について、「目を輝かせてその素晴らしさを語った」とあるからだ。Mさんの来日の機会があり、クリスチャン新聞に連絡を取ってきたのかもしれない。あるいは宣教師が書いた原稿を編集部で整えたのかもしれない。紙面でこのようなかたちで出た経緯がなかなか謎の記事である

回教の国だから大統領夫人は信仰を公にできないが

この記事ではスカルノ第一夫人は、「回教の国の前大統領夫人という立場上、その信仰の表明は明らかにしていない」と記している。

インドネシアの宗教事情

しかし、インドネシアは1950年の独立以来、憲法などで、イスラム教を国教と定めたことはないはずだ。
同国政府はイスラム教、キリスト教(プロテスタント、カトリック)、ヒンドゥー教、仏教、儒教を公認宗教に指定している。

クリスチャン新聞記事を気をつけて「回教“の”国」と書いてあって、「回教国」とは書いていない。
人口の86%がイスラム教徒である同国の状況を受けて「回教の国」という表現になっているのだろう(ちなみにキリスト教は、カトリックと合わせ10%=2022年=)。

そういうところまで気を付けて、一文一文を記している当時の記者の仕事が偲ばれる。

カリスマティックな信仰スタイルの定着したインドネシア

インドネシアでは、クリスチャン人口が急増している。またその中で、プロテスタントで「堅い」教派(改革派教会など)にまで、カリスマ派的な信仰スタイルが定着していることが、同国に宣教師と赴いた奥山実師(1960年代後半から70年代前半インドネシア在任)などによって報告されてきた(クリスチャン新聞でも報道されてきた)。その理由は、元々の国民性があるのだろうか。また、スカルト第一夫人のような立場の人でもヨイド純福音教会に求道に行くことが拍車をかけたのかもしれない。

クリスチャン新聞記事スクラップ

クリスチャン新聞1978年1月8日号


noteでは「クリエイターサポート機能」といって、100円・500円・自由金額の中から一つを選択して、投稿者を支援できるサービスがあります。クリ時旅人をもし応援してくださる方がいれば、100円からでもご支援頂けると大変ありがたいです。