【審判目線で見るJリーグ #2】2022/2/23 第9節 浦和レッズ VS ヴィッセル神戸 @埼玉スタジアム
こんにちは。CHR(ちひろ)と申します。
今節はミッドウィークでの開催となり、ルヴァンカップの開幕と共にACL出場4チーム(プレーオフ含む)は先にリーグ戦の日程を消化してしまいましょうよってことで前倒しでの開催となっていますね。
簡単な試合の前置きです。
浦和と神戸は共に前節で痛い敗戦となっています。
浦和レッズはチーム内でのクラスターの影響がまだ残っているのか、選手のコンディションはどこまで上がっているのかという不安要素がたくさんありますがそれでも勝ち点3を取りに行かなければなりません。
ヴィッセル神戸は前節のレッドカードの影響で扇原選手が出場停止になっています。
代わりにどの選手が出てくるとかそういう戦力的な部分は疎いのでこちらのブログでは触れずに話を進めさせていただきます。マジで浦和レッズ以外のチームコンセプト等の情報に疎すぎるので後々お勉強はしていきます。ごめんなさい。
扇原選手の前節の退場シーンの解説は前回のブログで簡単にですが記述していますので宜しければご覧下さい。
それでは早速試合の振り返りをしていきたいと思います。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。
審判団紹介
R:木村 博之(国際主審)(PR)
A1:田尻 智計
A2:淺田 武士
4th:長峯 滉希
VAR :中村 太
AVAR:八木 あかね
試合結果
浦和 2-2 (2-1) 神戸
得点:10分 武藤嘉紀(神戸)
12分 松崎快(浦和)
19分 柴戸海(浦和)
87分 槙野智章(神戸)
YC: 8分 松崎快(浦和)
48分 伊藤敦樹(浦和)
58分 小林友希(神戸)
RC:58分 明本考浩(浦和)
試合振り返り
・試合全体を通して
普段は丁寧にファウルをとり、選手とコミュニケーションを綿密にとる木村主審でしたが、この日はレフェリーのジャッジに選手が上手く適応出来ていない印象を受けました。
そして段々と試合全体のボルテージが上がってしまった結果、一悶着が起きてしまい不本意な形で退場する選手がでてしまうことになりました。
こんなに試合を上手くコントロール出来ていない木村主審を見たのは初めてなので大変驚きました。
要点ごとに解説していきたいと思います。
・前半
5分(重要!)
浦和27番松崎選手→神戸10番大迫選手
左足へのアフタータックル
木村主審は最初はノーファウルの判定でしたがVARが介入。
OFRの結果PKが採用された。
また松崎選手にはラフプレーでイエローカードが提示された。
試合の再開は
この試合で後々の判定に響くような大きなインシデントのひとつになっていると思います。
しかしこのシーンについてはこの判定が適切だと思いますので判定に対する見解は特にありません。
まぁ客観的に見たら納得出来るよなぁって感じのプレーですもんね。多分スタジアムで贔屓目で見てたら「どこがファールじゃ!ボケ!」って言った後にVARの映像が出てきたときに頭を抱えるやつですね…笑
サッカーなんてそんなもんです。
では逆に「どうして最初にこの一連のプレーをノーファウルにしたんだ?」
とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
このプレーがノーファウルと判定されてしまった理由としては、
・主審は攻撃側の選手(サンペール選手かな?)がちょうど争点を隠すような位置にいて見えにくかった。
・副審はオフサイドラインの監視があったため争点での接触の場所を確実に監視出来ていなかった。
・PA内の判定になるので副審は100%判定に自信が無い限りなかなかサポートしづらい。
このようなことが考えられると思います。
実はこの早い時間で判定ミスをした(正確には判定ミスをした訳ではないですが、分かりやすいようにそう書きます)というのがかなり選手の意識に刷り込まれていて、大きく主審に不信感を持ったのではないだろうかと思います。
こういうところでフラストレーションを溜める選手がいることは自分が試合で笛を吹いている時もあったりします。
10分
神戸先制 0-1
せっかくPKを止めたのにあっさりと失点。
サイドから大迫選手→初瀬選手→山口選手とパスが繋がる際に木村主審はしっかりと外にポジショニングしています。
そこから山口選手がサイドを抉って武藤選手にパスを出した時にはしっかりとポジショニングを変えてPA内に構えています。
さりげなくしているこのお手本のようなポジショニング、ホントに素晴らしいですよね。
この一連のシーンを全てボールから近い場所で見ていることにより説得力が向上します。そのかわりバカみたいに走ることになるのでめっちゃキツいです。
12分
浦和同点 1-1
決めたのは今季水戸から移籍してきた松崎選手。
J1初出場初得点。
相手選手に当たってコースが変わるラッキーな形でしたがゴールはゴール。
この時間で同点に出来たことはすごく大きかったですね。
13分
神戸14番槙野選手→浦和15番明本選手
ホールディング
ファウルをとったあと木村主審は特に何もマネジメントをしていませんでしたが、まぁまぁ悪質な手の使い方をしていましたのでここで槙野選手に注意をしても良かったのではないかなと思っています。
19分
浦和逆転 2-1
柴戸選手の同点ゴール。明本のフリック、馬渡のボールも完璧でした。
31分
神戸10番大迫選手ー浦和44番大畑
アフターチャージ
大迫選手が完全に遅れて大畑選手にチャージ。
プレーオンをかけてるのかノーファウルの判定で立つように促してるのかは不明。
正直ここはプレーを止めても良かったと思います。
神戸は前に3人いてプレスかけようとしてたので。
この辺から両チームのボルテージが上がってきていますね。
45分
浦和4番岩波選手ー神戸9番武藤選手
タックル
右サイドからのグラウンダーのクロスをトラップした武藤選手に岩波がシュートコースを消すような形でタックルをしたシーン。
しかし岩波選手はボールより先に武藤選手の右足にかなり深くタックルをしてしまっているので個人的にはファウルをとりPK+ラフプレーでイエローカードでも良いと思いました。
「えー!VAR介入してよー!このクソ審判!ヘタクソが!」と思った神戸サポの方もいると思いますのでVARが介入できる条件をおさらいしましょう。
このシーンですとはっきりとした、明白な間違いとは言いきれないですよね。
(はっきりとした、明白な間違いというのは"100人中100人が絶対に違うと思うような判定"です)
ザックリ言うとファールなのかファールでないのかSNS等で議論になるようなシーンは"はっきりとした、明白は間違い"ではないってイメージです。
今年ですとゼロックスであったような誰が見てもDOGSOのようなシーンでノーファウルの判定をすると"はっきりとした、明白な間違い"に該当すると思います。あのシーンにVARのチェックも入らなかったのには未だに憤りを感じてます。
絶対ファウル+レッドカードだろあのシーンは。
話が逸れてしまいました。
恐らくこのシーンはVARが進言しているとは思いますが、木村主審がそれを断ったのでは無いかなと思います。
木村主審は争点の近くで判定していますので自信があったのではないでしょうか。
・後半
48分
シンプルな遅延行為
説明不要のシンプルな遅延行為。伊藤敦樹にイエローカード
そんなもったいないカード貰うなよ。
57分
神戸3番小林選手→浦和15番明本選手
ホールディング→小競り合い
58分
明本選手 レッドカード
小林選手 イエローカード
この試合のもっとも大きな議論となったシーンだと思います。
岩波選手からのロングフィードに競り合った後に明本選手がボールキープ。
そこに小林選手がかなりキツめにホールディグをし、それを明本選手が腕で小林選手を振り払っているところで木村主審が小林選手のファウルを取ります。
ここで明本選手の振り払っていた腕が顔付近に当たっていた小林選手が明本選手に詰め寄りにいきました。
これに怒った明本選手が小林選手の首付近をパンチするような形で突き飛ばしました。
この一悶着に対して小林選手には警告、明本選手には退場が命じられました。
これが1番両チームとも納得する形だと思いますし、判定自体は間違いないと思います。
ではなぜこのような小競り合いが出来てしまったのかと、どうすれば小競り合いが起きなかったのかを自分なりの見解で書いていきたいと思います。
振り返りの部分でも記載しましたが、この試合全体を通して選手が木村主審の判定の基準に上手くマッチ出来ていませんでした。
これにより少しずつレフェリーへの不満が溜まってしまいます。
選手としてはもう少しホールディグに対して厳しくファウルを取ってほしかったのかもしれません。
またファウルをした選手に歩み寄り注意を行っている場面が少ないのが印象を受けました。
ファウルを取った後にファウルした選手を呼び、声をかけてボルテージを下げてあげるなどしてゲームを引き締める部分を作り、ゲームの温度を下げるという作業が必要だったかもしれません。
こういうマネジメントは山本雄大さんや家本政明さんが上手ですね。
この退場処分により明本選手には1試合の出場停止処分が下されましたね。
相手選手を突き飛ばしたあとはそのまま大人しく退場していたので1試合の出場停止が妥当だと思います。
ここからさらに
・相手選手を突き飛ばした後に更に他の選手を突き飛ばす
・退場を促されてもレフェリーに文句を言い続けなかなか退場しない。
・退場の際にボトルを蹴飛ばして出ていく
等の行為があると出場停止処分が重くなったりします。
82分
神戸11番武藤選手ー浦和4番岩波選手
チャージ後に転倒
西川選手のキックミスを武藤選手がトラップするも岩波選手がすぐさま取り返した後に勢い余って転倒。
これはアクシデントに該当します。たまたま両選手の脚がもつれてしまった形になる為ノーファウルです。
87分
神戸同点 2-2
槙野の恩返し弾。ホントに浦和は恩返し弾されるの得意だよなぁ…
岩波がマークを外してそれをカバーしたショルツのマークしていた槙野に決められましたね。
前節京都戦といい岩波はホントにボールウォッチャーになる癖を治してくれよ。
89分
神戸16番汰木→浦和3番伊藤
チャージ
ここはアドバンテージを採用してほしかった。
攻守の枚数が同じだったのでチャンスにはなったのではないだろうか?
90+5分
浦和4番岩波選手→神戸10番大迫選手
アフタータックル(アドバンテージ)
このアドバンテージの意図はなんだろう?と考えて何度も見返しましたが意図が全く伝わりませんでした。
ゴール前20m地点でのFKの方がサイドで1vs2の状況よりチャンスだと思います。
時計を進めてプレーする時間を長く取れる方を選択したのでしょうか?
90+7分
試合終了
最後に
審判目線としては大変勉強になる有り難い試合でした。
選手の気持ちのコントロールや試合の雰囲気の作り方が少しでもズレてしまうと非常に裁くのが難しい試合になってしまいますね。
木村主審も最後の方は動揺していたように見受けられました。
どんなに上手な審判員でもゲームを難しくしてしまうことがあるんですね。
今回の見解はいかがだったでしょうか。
みなさんの疑問の手助けになれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
CHR
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