【調剤喫茶】薬剤師に許された時間は?個別指導を予約制にしてまで患者さんと話したい理由

こんにちは。薬剤師のいしまるです。

本日はこちらで紹介した、私の野望でもある調剤喫茶farmateíaについて掘り下げていこうと思います。

薬剤師に許された時間は?

さて、突然ですが薬局で薬剤師に許された時間はどれくらいだと思いますか?3分?5分?

薬剤師の働きについて、最近では少しずつ理解されてきた…と信じたいところですが、それをどれくらいの時間内で行わなければならないのか?については、まだまだ発信が少ないのではないかと思います。

上の問いかけについて、マジレスされてしまうと「患者によって違う」というのが間違いないのですが、今回のテーマについてご推察いただき、少々お付き合い下さい。

薬剤師が何に時間をかけているか

まず「薬剤師に必要な時間は2つある」ところから説明が必要でしょう。結論から申し上げて、①確認と準備 と②説明(指導)と確認です。

確認!確認!とやかましいですが、薬剤師の対人業務は大抵この確認作業となります。

①は患者さんに薬を渡す前
②は患者さんに薬を渡す時
と考えてもらうとわかりやすいかもしれません。

①渡す前の確認については、
(処方箋の記載事項は正しいか、いつもと同じか、初めての薬がないか、薬の使い方として正しいか、薬の量として正しいか、飲み合わせの悪い薬はないか、同じような薬が出ていないか、前回からどれくらい期間があいているか、前回の話で変わったことはなかったか、相談されていたことはなかったか、今回確認すべき副作用は?...etc)書ききれないけど、だいたいこんな感じです。一つ伝えておきたいことがあるならば、処方箋も間違えることがあるということです。(医者、事務、PCなどによって)

②渡す時は想像つくかもしれませんね。
薬の使い方とその効果、よくある副作用などを説明しています。そして伝わったかどうかの確認です。

「なんでこれを渡すだけにこんなに時間がかかるんだ!」とは、患者さんのお怒りあるあるですがご覧の通り「薬剤師は、②渡す時よりも①渡す前の方に時間を取られているから」これが答えの一つかもしれません。

ちなみに、目薬一つの処方箋に関しても、お渡しまでには時間がかかる場合があります。それは処方箋というものが公的文書であるからに他ならないのですが、それはまた別の記事でご紹介します。

今回の主題はここからです。

薬剤師に足りない時間

ここでいう"時間"というのは、待ち時間を含まない、純粋な服薬指導に対する時間です。上の説明でいう②の時間のことです。これは①で時間をかけるほどに短くなっていき、恐らく症状が安定している患者さんでは20〜30秒程度ではないでしょうか?ひょっとするともっと少ないかもしれません。挨拶程度で終わらせざるを得ない場合もあります。

ましてや「自分は薬を買いに来る客だ」と思い込んでいる方からすれば、この30秒間すら煩わしいと感じているかも…。

近頃、薬剤師の働きが評価されてきた一方、薬剤師の働きには様々な要件が追加され、求められる働きを完璧にするには沢山の情報が必要になっています。効果・副作用・残薬・コンプライアンス(飲めているかどうか)・お薬手帳・飲み合わせ・・・現状では、これらを全て確認するのに十分な時間は薬剤師には与えられていません。
概ね、短時間で得られた情報から推測しているというのが正直なところではないでしょうか?

もちろん推測で済ませてはいけないこともあります。その時は患者さんの足を止めてでも、食い下がって確認します。「すみませんが、これだけ聞いてもいいですか?」などと、なぜか謝りながら。(なぜあなたの健康管理のために、薬剤師が謝らねばならないのでしょうか…※愚痴)

しかし一方で、「薬剤師ともっと話したい」という方もいらっしゃいます。私はこの方達にもっと時間を割いてあげたいです。

現状一人で薬局をしていると、患者さんの待ち時間は私の患者さばきに依存します。したがって長時間話をしてしまうと、後ろが滞ってしまい、クレームに繋がる恐れがあるため、患者一人につき当てられる時間は最大でおよそ5分です。もっと詳しく話をしてあげたいor説明が必要な方に、十分な時間を費やせない虚しさは、薬剤師なら皆経験しているところだと思います。

多くの薬局では、この問題を薬剤師の数で対応します。対応窓口を2つにすれば、一つは長時間かけられるレーン、もう一つは短時間で流すレーンに分けられるため効率的です。

しかし、調剤喫茶farmateíaが目指す薬局は、大多数の利用者が長時間滞在できる薬局です。短時間で済ます患者さんと時間をかける患者の住み分けをし、必要な方には必要なだけの時間をかけたい。そこで生まれたのが、予約制の個別指導です。

予約制の個別指導で行いたいこと

ここでは、その場で必要と感じた患者さんに対する指導のほか、調剤済みの薬(既に患者さんの手に渡ったもの)に関してのお話をします。

「その場で必要と感じる」パターンとしては、初めてのインスリン、吸入薬、点眼薬、抗がん剤などです。これらは口で説明するだけでは、本当に使用できるのかが不安なものになります。個別指導にて実際に使用していただき、その確認を行います。

「調剤済みの薬」のパターンとしては、薬が変わったばかりで副作用が懸念される場合や、飲み方が覚えられない方、薬の必要性を覚えられない方などを対象とする他、処方を受けていない方の相談も受けていきたいと考えています。

この薬の変更直後の体調変化に関しては、この度の診療報酬改定で、ついにその必要性が明記されました。まだ糖尿病薬に限ったものですが、今後徐々に調剤済みの薬について薬剤師の関わりが必要とされていくだろうと思われます。


まとめ

薬剤師の業務について、理解が進んでいる一方、そこに与えられた時間は30秒程度と大変短いものです。積極的に必要な方に対しても、十分な時間が確保できていない現状に対して、予約制の個別指導を行い、薬を渡す瞬間からその後の生活に於いてもきちんと薬剤師としてフォローしていきたい。という想いを書いてみました。


ではまた


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