見出し画像

GENJI*REDISCOVERED       今日の源氏物語      浦島 太郎

「GENJI*REDISCOVERED」 間、あいてしまいました。
「今日の源氏物語」の「今日」は「こんにち」=現代((視点)における)と読んでください。「きょう」の出来事を毎日つづる「日記」は三日もたない自分。(「紫式部の日記もそうだし」と嘯いた昔から変わらずです。)
『源氏物語』について、本当にたくさんの寄稿、掲載、ありますね。ほんと玉石混交、雨後の筍。その中で、自分の「気付き」が、出来れば正しい…すくなくとも間違っていない様にと、再度調べたり検証を試みていると、あっという間に日が過ぎて行きます。 そう、この千年、この物語の膨大な「その」蓄積の歴史が、尽きること無いそれを証明しています。

「ホトトギス」の歌の「数(だけ)」を確認のつもりで開いた『拾遺集』で、「浦島の箱」の歌を見つけて(知っていて当然の歌なのかもですが、)ちょっと横道に。「浦島の子」で「太郎」とは呼んでいませんが、皆さんが知っている(だろう)あの「浦島太郎」の「玉手箱」の事です。……テレビの広告、通信会社の太郎たちは置いておいて。
夜鳴く鳥ホトトギス。恋に飛びまわる鳥ホトトギス。(子を他人に…卵を他の鳥に育てさせるホトトギス…のイメージも入れられているのだろうか…)そのホトトギスを詠み込んだ歌は、「(夏になり)短くなっていく夜」に鳴く、「夜が明ける」=「お別れ」が来る「儚い」時間、朝の「悔しい」思い、「甲斐無く」去る。というイメージの歌が並んでいます。
夏の夜の 心を知れる ホトトギス 早も鳴かなん 明けもこそすれ (拾遺121中務)
夏の夜は 浦島の子か はこなれや はかなくあけて 悔しかるらん (拾遺122中務)
と、中務の歌は、短い夜の「夏」は、あっけなく「明け」てしまって、悔しい。という事を言うのに「浦島の子」の「箱」を持ち出して来ていて=「明け」=「開けて」しまったら「悔しい」成り行きに。と詠んでいます。
「浦島子」の「玉櫛笥(箱)」の伝説は、すでに奈良時代に書き留められていて、平安当時の人たちの周知のお話しでした。「開けてはいけない箱」を開けてしまって「煙」が出て来て老人になる。という展開も既に。 
-今の『浦島太郎』のお話-「おとぎばなし」のは、もっと時代がくだって「室町時代の成立」と聞いていたので、この10世紀の歌に「開けて悔しい」が書いてあることが驚きで、足をとられた次第です。
また横道に入ります。ン十年前、NYの知人の子どもに、日本の昔話の英訳の「絵本」を複数冊お土産に=進呈しました。その次の訪問時に、その絵本=日本の昔話への感想と質問がありました。「他のお話しは楽しめたけど、海の底に行く話は訳が分からない。」と。「なぜ、亀を助けて年をとらされてしまうのか?」という事でした。この絵本の『浦島太郎』は、当時  自分も知らなかったー出身の村の名前や、四季殿のお話などが入った完全…なのか、盛りだくさん版で、それで、よけいに「海底に拉致された理由」とか「愛する人への仕打ち」とか「開けるなって箱のプレゼント」で「歳をとってからの放浪」と、何を言っているのかが分かりにくくなったのかもしれません。 自分も、それ以前-元から「開けてはいけない」という『約束』を破った(罰)から「老人になった」とは思ってなかった(-異界の時間の経過が、人間界のよりゆっくりで=人間のいう不老不死の体現。現実世界に戻ったらその時間差が瞬時に経過しての老化とか、楽しく過ごす時間の早く過ぎる感覚、を書いていると捉えていた)のですが、彼の地では、子どもは成長とともに親元から独立して暮らすのが多くのフツーで、自身のキャリアに合わせて家どころか居住地まで変えて行くアメリカンな思考からは、「故郷の親」のために、現在の恋する人を置いて、出身地に戻る事、はセンチメンタルすぎるのか「他の昔話とは違う」「何を言いたいのか難解」という事になってしまうのだなーと知りました。 と同時に「浦島太郎の話」は、やはり他の「昔話」「おとぎ話」と何かが違うという事(-古く奈良時代に成立していたという-当時は知らなかった来歴による(根ざした思想の)違いの痕跡)を、アメリカ人に気づかされた驚きがありました。

さて、『源氏物語』にも、『浦島子』の話が引用されています。
初めて読んだときには「こんなところに」と、おとぎ話の一つが出て来た!と喜んだのですが…。

ここから先は

2,187字

¥ 350

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?