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山のめぐみと暮らしの知恵

2022-03-20

こんにちは、長老大学オンライン支店スタッフのあいかわです!

もうすぐ春分の日がやってきますね。まだまだ寒い日もありますが、すこしずつ暖かくなってきて、過ごしやすい季節になってきました。

今回は、K様の聞き書きをさせていただきました。わたしはK様とお会いするのは初めてでしたが、とてもやわらかい素敵な笑顔で挨拶して下さり、すごくうれしかったです。K様は山ぐらしをされてきたということで、そのくらしのなかで得られた様々な経験をお話して下さいました。

今回はそのなかでも、山菜や、コンニャク芋についてのお話を紹介したいと思います。

なお、K様の生まれたお家は、山のなかにあり、標高600、650メートルくらいはあったそうです。標高の高いところに住まわれ、大変なこともとても多かったそうですが、以下のように話して下さいました。

わたし:山の高いところに住まわれていたんですね。Kさんの住んでいたお山は、川もありましたか?

K様:川はありますけどね、八丁(ハッチョウ)というのはわかります? 八丁坂というのがあって、ずっと降りて行ったらね、下のほうのね、川のところへ来ます。本山町へはね、そこからバスで来んといかんのです。大変ですよ。でもね、そういうところはね、(標高が)高くてね、上等な野菜も採れます。もうちょっとしたらね、ゼンマイなんかも採れますよ。ゼンマイや、イタドリも採れるのよ。イタドリはね、油炒めにしたらね、最高においしく食べれます。やっぱりまず、油で炒めたほうがおいしいです。山菜料理っていって、最高なんです。ほんとにね、やっぱりね、(炒めるのにも)上手下手がありますしね。あんまりやわらかくしてほら、炒めすぎたらね、びちゃびちゃするろ? ほんでほら、そこらへんがね、やっぱり加減をみないとおいしくないんです。わたしの母が、うんと料理上手じゃったろ? ほんで母に習うて、わたしもやりました。

※八丁は一丁(100m)×8のこと

 ゼンマイは、ゼンマイ科のシダ植物だそうです。わたしも一度だけ、祖母のつくってくれた煮物を食べたことがありますが、とてもおいしかった記憶があります。

『旬の食材百科』(n.d)https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/zenmai.htm(2022/03/11)


またわたしは、イタドリという山菜は名前しか知らなかったのですが、タデ科の植物だということでした。K様の油炒め素材の味を活かした食べ方がとてもおいしそうだなと思い、食べてみたくなりました。農林水産省のホームページでも、イタドリの油炒めが高知県の郷土料理として紹介されていました!

農林水産省『うちの郷土料理』(n.d)https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/konnnyakuimo.htm(2022/03/11)


また、山菜の採れる場所について、K様は以下のような話をして下さいました。

わたし:山菜は、毎年同じところに生えるんですか?

K様:そうです。そこの(生えている)ところに、元があるでしょう? そこへはほら、また必ず出てきます。そんでそんなところにほら、マムシ、ハメよね、それが固まっておるの。ほんでわたしがね、「おばあちゃん、わたし(採りに行くの)嫌よ」言うたらね、おばあちゃんが「そんなところ近寄らんほうがええ」って言うてくれてね。

 毎年同じ場所に生えるなら、新しく探しに行かなくてもいいのは楽なのかもしれませんが、マムシがいたらそれどころではないですよね。この話の後、K様の妹様が、マムシに噛まれて本当に大変な思いをされたことも教えて下さいました。わたしはまだマムシを見たことがないのですが、実際に固まっているところを見たら、子どものころでなくとも腰を抜かしてしまいそうです。

わたし:山菜を採りにいくのは大変だったんですね。

K様:そうです。けどその当時はほら、若かったろ? そんでね、主人と山菜を採りました。ツチでわたしが採って。それを母が料理するのが、すごい上手でした。

さらに、K様は、おうちでつくられていたというコンニャク芋についても教えて下さいました。

K様:ほんでね、コンニャクはね、このくらいのおイモができるのよ。それをね、ゆがいてね、味がたつくらいやっぱりゆがかんとね、味がせんよね。そうして、そのおっきいお芋をゆがいてね。それもね、ゆがきようが悪かったらね、手がはしかい(かゆい)ゆうて、かゆいのよ。コンニャクのお芋はこんな(両手で大きく丸をつくりながら)大きいんです!

わたし:そんなに大きいんですね! Kさんのお顔より大きいんじゃないですか?

K様:ハハ、いやそんなにはないですけんどね、このくらいはありますね(15センチくらい?)。ほんでね、茎の太さもこのくらい(3センチくらい?)あります。

また(芋が)できましたらね、それを料理しましたら、持ってきますけね。食べてみてください、ふふ。おいしいよ、ほんとにね。

にこにこ笑いながら、わたしにも料理をふるまって下さろうというK様のやさしいお人柄にとてもあたたかい気持ちになりました。お心遣いが本当にうれしかったです。コンニャク芋というのは、サトイモ科の植物の地下茎の呼び名であり、その名の通り、コンニャクの原料になるそうです。

『旬の食材百科』(n.d)https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/konnnyakuimo.htm(2022/03/11)

調べてみると、コンニャク芋を食べられるようにするためには処理が大変ということで、それをお料理できるK様はすごいなと感じました。長い間山ぐらしをされていたというK様の経験や知恵は、とても貴重なものだと思います。もっといろいろなお話を聴いてみたいなと思いました。

K様、素敵なお話を聴かせていただき、本当にありがとうございました!

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