映画ログ 美術館を手玉にとった男(2015) Shihori / logマニア 2020年5月30日 22:34 Amazon prime videoで鑑賞原題 ART AND CRAFT監督 サム・カルマン、ジェニファー・グラウスマン、マーク・ベッカー製作国 アメリカ上映時間 89分出演者マーク・ランディスマシュー・レイニンガーアーロン・コーワンジョン・ギャッパーアートの世界はとても奇妙だ。本当の色は誰にもわからない。みんな間違っている。大切なのは想像力だ。この作品の主人公はマーク・ランディス。慈善活動を行っている、と本人は言う。彼の言う慈善活動とは、過去の名だたる著名な作家の作品を模写し、それを美術館に寄付すること。人々はこれを犯罪と言うが、彼は金銭を一切受け取っていないので、罪には問えない。というかなり引きの強い出だしで、この作品はスタートする。ドキュメンタリーではあるが、全体的にエンターテイメントな仕上がりにまとまっているので、すごく楽しめた。マーク・ランディスは、とても繊細で危うく、大胆な人だと感じた。彼は自分自身の裁かれることのない罪をよく理解している。だから、自らの行動を慈善活動と言っているのではないか。とても純粋な悪である。演出の良さもこの作品の魅力だと思う。母親の死について語るシーンはとても生生しく、模写をするシーンはとてもスリル感を、とてもよく描写していたと思う。彼の絵を描くタッチは迷いがなく、自分の方法で仕上げていく。まるで、自分自身のオリジナルの作品のように。彼は純粋に絵を模写するのが好きである。そして、それを人に評価してほしいと思っている。彼が普通の画家として活動していたら、今ほどの注目を浴びて評価されただろうか。成り行きとはいえ、彼は時代に画家として名を残し、大成を収めた。彼の行為が悪だと、額面通り受け取るのは間違いなのではないかと思う。言うなれば、彼自信が技術と美術の化身なのではないだろうか。しかし同時に、それが彼の業だということも、また事実である。ランディスの言葉は本当に興味深い。デザインの世界にいる人には、是非見てもらいたい。 #映画 #アート #映画レビュー この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート