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2.「よし、証拠を集めよう」

証拠は簡単に集まった。
スマホもパソコンもガバガバ。
私は毎晩証拠を自分のスマホに保存していった。

この行動がバレたらどうしよう。

そんなことは全く思わなかったが、心臓はバクバクしていた。
その割に頭からはすーっと血が引いて、とてもクリアで。

たんたんと証拠を集めた。

昼間はあくまでいつもと同じようにふるまった。
少しでも怪しんでいるそぶりを見せると隠すかもしれない。
さすがに一度見つかっていることもあるし、ヤバいと思ったら証拠を隠滅するかも・・・
(実際はそんな心配皆無だった!)
普通に生活して、普通に喧嘩もして、普通に泳がせる毎日。
新たな証拠が普通に増えていく。

こいつはどんな気持ちで家で過ごしているんだ。
どの手でこどもをたちを触っているんだ。

怒りでも悲しみでもない、でも何か沸々するものが常にあった。

ある夜。
私は元夫に書面を提出した。
離婚の条件を書き連ねた書面を。

向こうは面食らっていた。
何が原因かわかっていなかった。
やはり一生許せそうにない、そういうと必死に謝ってきた。

あれから行っていない、家族のために生きている、許してほしい。

一生許さないって伝えたよね。
許してほしい、こんなに頑張っているなんて自己評価はいらない。
私が、どう感じているかがすべて。
許せなくても一緒にいたい、と思えない。

許さなくてもいい、こどものために離婚はすべきではない。

一番こどもに近い私が不安定な状態なのが一番の悪影響。
こどもには本当に申し訳ないと思っているけど私の体調をあれから一度も心配すらしなかった、自分の過ちを振り返るのが嫌で目を背け続けてきたあなたをさらに許せなくなった。

まだ好きなんだ。

私はもう好きではない。
一緒の空間にいたくない。

そこからは冷戦だった。
お互い一言も口をきかない状態になった。
もし、向こうがここでぎゅっと抱きしめてきていたら。
もし、私が証拠をもっていなかったら。

きっと離婚しなかった。

元夫は、バレているとは気づいていないから喧嘩の延長戦だと思っていたようだった。
申し訳ないような顔をしながら、いつもより家事育児にかかわっていればいずれ私の怒りもさめると思っていたようだった。

やっぱり、証拠がなければ私は離婚しなかっただろう。
私は元夫のことが本当にとても大好きだった。
男性は女性より寿命が短いから、先に死んでしまうことが悲しいと泣いたこともあるほど。
仕事を頑張りすぎる人だから再雇用なんかされなくても済むように私は働き続けようと思うほど。

でも。私は徹底的な、2度目の裏切りの連続した証拠を持っていた。
性病をうつして、ガンの恐怖に怯えることとなった元凶を今も継続している。
何食わぬ顔でまだ好きだという。

悲しい、とは違う。
怒り、でもない。
やるせなさ、惨めさ、孤独、空虚、そんな感じ。

病気、なのかもしれない。
そういうことをやめられない、病気。
もしそうだとしてもなら私の体を心配しないのはなんなのだ。
やっぱり好きだというのはウソ。
なぜウソをつくのかわからないけど。

風俗にいく、性病うつす、心配しない、まだ好きだという、風俗やめられない病気。

2度目を知らなかったら。
愛情表現が下手なだけ。こどもたちに好かれているいい父親。
たった一度のことなのに許せない自分の心が狭いだけ。

そう自分に言い聞かせながら、それからも過ごしていたのだと思う。

うん。やっぱり無理だな。私は知ってしまった。
何度も考えた。ループ。でもやっぱりこの状況は受け入れられないし、
きっと死ぬまで一度目の風俗から今までの経過、見ぬふりをしなければならないでろうこの先の出来事、それを私は常に腹の底にドロドロためつづけながら生活しなければならないだろう。

見なければよかった、そう思うこともあった。
でも、きっといずれ私は知ることになったとも思う。

変われない自分が悪いのか?
忘れられない自分が家族を壊すのか?
自分が目をつぶれないだけでこどもたちから父親を奪うのか?

そんなこともずっと考え続けた。
きっと他人から言われるであろうセリフは私が一番自分自身に問いかけた。

やはり、答えは、離婚。

こどもの将来のために、絶対に有利な形で離婚しなければ。
私は次の段階に進むことにした。

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