😎カメラノートは現在定期購読者キャンペーン中です！ モノクロームは体験した時間を自分の中である確かな感覚に変えてくれる。田中長徳. 20年前の富士フイルムの広告より🐦🐥

モノクロームフィルムがこんなに手に入りにくい時代が来るとは思わなかった。1980年代頃のプラハの撮影では百貨店に行ってまずフィルムを300本とか500本まとめて買ったものである。社会主義国の統一価格であったからYodoがいくらとかビックカメラがいくらとか言う事は気にしなくてよかった。チェコスロバキアの全国どこでも値段は同じなのである。

それから50年も経つとモノクロフィルムが非常に高いことになって数年前のコダックのモノクロフィルムが値上げになった時は変な流行があった。要するに事前に買いだめして自分は500本持っているとか自慢したのである。それがどんどん期限切れになって画像が映りにくくなっているのである。これは貧困の代表ですね。遊牧民が羊を何百ともっていると言うのに似ているが遊牧民の場合はそれは実際のパワーがあるのは良いとして家を使わないモノクロフィルムの倉庫にしてしまうのは惨めである。

もう一つ私のようなじじいが気に食わないのはモノクロームが新鮮で感動していると言う連中である。ちょうど新しい時代になってれいわと騒いでいる連中と同じだね。そんな新しい時代はすぐにあきますよ。生活は苦しくなるばっかりで単にレッテルを貼り変えただけなのになんでそれがわからないのかな?奇妙なのはデジタルカメラで天然色を撮影していてそれがフィルムを使うモノクローム写真になると素晴らしいと言うような連中の不思議な存在感である。癒されるとか言ってそれは自分の感受性だと勘違いしてるのね。100年後に残したいモノクローム写真と言う写真展であったがこれも高慢チキな自己満足である。そんなことしなくても100年ぐらいは持つのが普通だよ。

デジタルカメラの天然色写真で栄養摂りすぎているので、今日はモノクロ写真でお茶漬けサラサラでおいしいねと言っているのと同じことでレベル低いなぁ。巨大メーカーはモノクロフィルムを作ったところで何の儲けにもならないであろうが一旦製造中止したと言うモノクロームを製造再開するかもしれないなどと言って弱者のユーザに恩着せがましさく言ってくるのも不可解である。しかも写真展などではその再生産するかもしれないアクロスとか言うNeopan SSフィルムを担ぎ出してそれ以外のフィルムはカットしているわけだ。ここら辺もよくわからない。

上の写真のカットであるが25年位前に富士フイルムがまだモノクロフィルムを真面目にやっていた時の私の広告写真である。まさに広告であるからあんまり本当のことが言えないがコピーは私が書いたもので富士フイルムのトップがオーケーしたのである。

富士フイルムがミュージアムと言う名前のファイバーペーパーを出したのは30年近く前であったろうか?その広告にも登場させていただいたがその時は私のオリジナルプリントが置いてあってその隣にライカエムファイブが置いてある。スポンサーに忖度してレンズはライカマウントのフジノン35ミリなのである。ところが広告代理店の指示でライカエム5の文字が消されているのだ。ライカの文字を消したところでライカはライカであることがわかるのでこれは富士フイルムにとってはライカに負けていると言うことを自分で証明すると言うことでマイナスイメージだった。なぜこんなことを言い出すかのかと言うと半世紀近く前の有名なミネラルウォーターの広告でこれはヨーロッパの媒体であったのだが報道カメラマンがミネラルウォーターで喉をうるをしていると言うシチュエーションでそこに置かれているライカM2のブラックペイントが別に文字は消されていないのである。そういう方がかっこいいのは言うまでもない。

富士フイルムの新しいモノクロフィルムはおそらく再登場で高くなると思うから私はもっと安い外国製のフィルムを使うことにする。もう時効なので上の写真について話しておけば実際に使ったのはトライエックスでカメラはフランス製のFocaなのである。私は広告業界は長かったから後でトラブルになるといけないからそのことを広告代理店に説明しておいたら富士フイルムのトップの人がそれは問題ないと言うのでオーケーになった。当時の広告業界はまだまだ懐が深かった。それで私は今もフィルムを使ったモノクロームを命がけでやっているわけです。