多民族国家シンガポールの演奏会と中国語
演奏会に行ってきました。
Oceans of Songs 2022 歌声的海洋
2022年6月25日 19:30〜
そう、シンガポールでは中国語が公用語です。今回は演奏会と合わせて、シンガポールの中華系民族、中国語について考えてみます。
シンガポールは1965年の建国当初から多民族国家で、公用語は英語、中国語、マレー語、タミル語の4つ。建国の日8月9日はNational Dayという祝日です。
1ヶ月前の今、Happy Birthdayの旗や国旗がいたるところにあり、お祝いムードが高まっています。また、最近、戦闘機の轟音をよく耳にします。はじめは「街中で軍事訓練?」とびっくりしたのですが、これはNational Dayの航空ショーのリハーサル。この音が聞こえると、「あぁ今年もこの時期か」と思う風物詩なのだとか。
日本の外務省の基礎情報によると、民族の割合は中華系76%、マレー系15%、インド系7.5%(2019年6月)。中華系のひとはどうやってシンガポールに移ってきたのか。シンガポール政府観光局公式サイトを見てみましょう。読むと、歴史の授業を思い出すかもしれません。
この演奏会は、プログラム、司会ともに英語と中国語の2言語で行われ、シンガポールらしさを感じました。
最初の曲「The Partridge's Cries(鹧鸪啼)」は、海南民謡。海南語(Hainanese)で歌われます。司会者が「海南語を話す方はいらっしゃいますか?」と客席に投げかけると、あちらこちらで手が上がり、和やかなムードになる一幕も。
後半の「Lok Sui Ten(落水天)」は客家民謡。こちらも客家語(Hakka)による演奏です。文化的背景や言葉はわからないものの、どちらもノスタルジックで懐かしい気持ちになる演奏でした。
この演奏会は、4つの団のジョイントコンサートで、各団の紹介はこちらから読むことができます。
紹介文によると、主催のMetro Philharmonic Choir(星市合唱团)は、シンガポールがイギリスから自治権を獲得した1959年に設立。1970年代にはベートーヴェンの第九やハイドンの四季を、今回の演奏会会場でもあるヴィクトリアコンサートホールで演奏しています。
第九と四季は私自身も日本で演奏したことのある曲です。時代や国や環境は違うものの、同じ曲を演奏したと知ると、なんだかぐっと身近な存在に感じます。
プログラムのあいさつ文では、オンラインを利用してパンデミック下も練習を続けたこと、3年ぶりの演奏会である今回は、若い地元の作曲家、編曲家の曲を取り上げていること、Metro Philharmonic Society Youth Coir出身の作曲家2名(Acid Pang, Liong Kit Yeng)の曲が含まれていることなどが述べられています。
国の誕生とともに歩み続けている合唱団が、合唱文化を豊かにし、次世代を育てていることがうかがえました。
演奏会の最後は、4団体の合同演奏。どれだけこの日が待ち遠しかったことでしょう。演奏会ができて本当によかった。
演奏会の会場は、中心部にあるヴィクトリアコンサートホール。金融街の高層ビルを背にした、美しいクラシックな建物です。演奏会の前、あたりは夕焼けに包まれていました。
そして演奏会が終わり、ホールから出ると、まぶしい夜景が広がります。
演奏会を聴いて思ったのは、「パンデミックの間、みんな地道に練習を続けてきたんだ」という親近感と、「中国語を話せるようになりたい、歌ってみたい」ということ。司会も演奏も、繊細で明瞭な子音と母音がとても魅力的でした。
私は、「おはようございます」「水」「お会計」などの少しの単語しか中国語を話せません。中国語(Mandarin)を1週間勉強したことがありますが、なかなか子音や母音を正しく発音できませんでした。発音記号も覚えるのが難しかったです。道のりは遠そうです。
福建や潮州、海南などの各民族の歴史や文化も少しずつ知っていけたらいいな。
進展があったら、ご報告しますね。
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