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街の女の子👧

ある日、PTAの打ち合わせが終わったあと、保護者の方々と飲む機会があった。

「先生の授業はおもしろいってよ~。娘が言ってた。先生、そんなに面白い授業なら受けてみたかったなあ。」

「そうですか、嬉しいですね。」

「世の中は、サイエンスなしに考えられないですよね。私は理科嫌いをなくして…。」

「あら~先生、顔は今一でも、授業はピカ一なのねぇ。」

「あんた、やめなよ~。私は先生、タイプだわ~。」

「いやいや~、やめてくださいよ~。」

かなりお酒が入り、みんな上機嫌だった。私も久しぶりのお酒で楽しかった。保護者の方々は、明日も仕事があるということで、早い時間に帰っていった。

私は何だかのみ足りないなあと思い、カウンターに移り、ママと話ながら飲んでいた。トイレに立つとき、街の女の子らしき3人組が静かに飲んでいた。今風に言えば女子会ってやつかな。

あまり積極的ではない(自分で言うのは気が引けるが「チャラくはない」)私だったが、酔っていた私は女子会メンバーに声をかけてしまった。

「先生なんですねー」

「はい~理科おしえてます~。」

このころは、「先生」と呼ばれることに慣れて、「先生」としての自覚も出てきたところである。

メンバーは体格の良い農業を営む子、会社の事務をやっている女の子、銀行の窓口の子であった。窓口の子はどこかで見かけたことのある子だった。

「先生、私と会ってるの気づいてましたか?」

「えっ、やっぱり!どこ…」

「先生、給与の振込先にとかで、通帳作りましたよね。」

そう、銀行の子だったか。名前は愛ちゃん。長いツヤツヤの髪で、片方の髪だけビンで留め、耳をだしていた。愛ちゃんと話した内容はあまり覚えていないが、話しやすい子だった。

深夜になり、ママがお店を閉めるといったとき、私は愛ちゃんに電話番号をメモした紙切れを渡してしまっていた。チャラくはない私が何やってるんだろう。

翌日の晩に、愛ちゃんから電話がかかってきた。何となく声が聞きたくなったのだという。愛ちゃんと話していると時間を忘れる。何度か電話でのやりとりがあった後、食事に行くことになった。

昔はポケベルしかなく、携帯電話やスマホなんてなかった。お気に入りの女の子にダイレクトで連絡なんてあり得ない。家に電話しても母親が出で取り次いでもらう、父親が出ようものなら大変だ。「あなたは愛とどういう関係なんだ。」と問われる。取り次いでもらっている間、電話口で「あ~い~、電話だ。友達って誰だ。彼氏?」「やめてょ、違うってば。」「母さん、いつの間に愛に彼氏ができたんだ。」「あっ、モシモシ、ごめんなさい。そう、お父さんなの。」という展開だった。



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