見出し画像

新年、ギラギラを覗きに。

だらりと目を覚ましたら8時だった。本や置物が散乱する部屋にぎょっとして、再び布団の中にもぐり込む。昨晩、本棚の増設と整理が終わらず、そのまま睡眠へ避難したのを思い出した。

片付いていない部屋が苦手だ。頭の中までざわざわして落ち着かなくなる。大学院生の頃、部屋が荒れ放題だった時期があったが、居心地が悪すぎて寝るだけのスペースになってしまったのでもうやらないと決めている。整理も得意な方ではないが、やらないと無限にぼーっとしてしまうので、音楽で助走をつけて勢いよく片付けている。

次に時計を見たら12時だった。普段から休日は大胆な二度寝をしがちだが、正月はいつにも増して怠惰な生活を送っている。日頃あっちこっちに揺れつつなんとか体勢を保っていたのが、年末に風邪をひいてどんがらがっしゃんと倒れてからずっとこんな感じだ。倒れたのが年末で助かった。助かったのかこれは??よくわからない。また一つギリギリをやり過ごした、という積まない方が良さそうな実績だけが積み上がっていく。

年末年始のスーパー堕落タイムで充電した活力がそろそろ復活しそう、というかさせたいので、ギラギラした世界を見物しに新宿へ向かう。心の状態を変えるのには外界からの刺激が必要なタイプなので、いろんな刺激を抱えた東京はこういう時に便利だ。ハードボイルドよりはマイルド派なので、普段は近づきたくないけど。

新宿は新年早々、雑多にざわついていて、欲望と寂しさとLEDが光っていた。ここにいる大多数が、今この瞬間だけは心に忠実に動いているのにちょっと救われる。関東に引っ越した直後に新宿に来た時は、圧倒的なギラつきのパワーとその裏側のドロドロした怨念みたいなものを想像してしまい体調が悪くなったけど、今回は大丈夫だ。昨年浴びた、あるいは発した様々な情報に、自分の輪郭をもらっている。周りと比べたらずいぶん遅いけど、僕だって少しずつ大丈夫になっている。


一旦、物事を受け入れたり、心を動かしたりするハードルを高くしてみてもよいのかな、と思う。ここ7-8年、明らかに嫌だったり違うと思ったもの以外は何でもかんでも咀嚼しようとしていた。10代の僕はめちゃくちゃ頑固で臆病だったので多分それは必要だったし、守備範囲の広い想像力、あるいは人としての柔らかさ手に入れたと思っている。が、このスタンスは疲れる。そして自分のやりたいことを選ぶ、ということへの注力が削がれてしまうらしい。柔らかさと頑固さを上手い具合に融合したい、と思う。

帰宅して、星野源の新譜で勢いをつけて部屋を片付けた。居心地の良い部屋、ふっかつ。

ご覧いただきありがとうございました!