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レビー小体型認知症に、大麻は有効となり得るのか? 『2番目に多い認知症とは?』

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この記事が、人々が持っている大麻への偏見を少しでも薄くすることができ、貴方自身が大麻について「もっと知りたい」と思っていただければ、嬉しいです。大麻の必要性について一緒に考えてみませんか?

今回は、認知症の中でも2番目に発症率が高いとされているのに、見逃されやすい「レビー小体型認知症」について情報を共有しましょう。僕自身もレビー小体型認知症を患っている利用者さんと関わってきましたが、どの方もすごく個性的な方ばかりだった印象があります。

近年、認知症に占めるレビー小体型認知症の割合は、全体の20%程度といわれています。現在、認知症の推計患者数は約600万人いるとされているので、そのうちの20%だと約120万人いるということになります。

あまり知られてはいませんが、レビー小体型認知症が発見されたのは、1976年に日本の小阪憲司医師(横浜私立大学名誉教授)により発見され、1996年に診断名が決定し、診断基準が確立された比較的新しい認知症です。

なぜ、それまでレビー小体型認知症がはっきりわからなかったのかというと、「認知症=アルツハイマー型」というイメージが定着してしまい、アルツハイマー型認知症との合併もあることから、多くの方が正確な診断を受けられていないのが実情だったと考えられています。

約100年前にみつかっていたレビー小体

レビー小体型認知症は聞きなれない病名だと思われる人が多いでしょう。実は診断名が確立したのは1996年のことで、長い間、「レビー小体」というものが認知症の原因になるとは知られていなかったのです。

レビー小体 画像1

レビー小体と呼ばれる小さな丸い物質は、普通の人の脳内にはほとんどありません。その「普通なら無いもの」が最初に発見されたのは、今からおよそ100年前のことで、パーキンソン病の患者の脳幹に、たくさんのレビー小体がみつかったのです。

レビー小体が認知障害の原因になることもあるとわかったのは、その発見から半世紀以上経ってからのことでした。

【1817年】
イギリスの医師 ジェームス・パーキンソンがパーキンソン病について初めて報告する。

【1912年】
ユダヤ人の神経学者 フレデリック・レビーがパーキンソン病患者の脳内に、特有の物質がみられることをことを発見する

1919年
フランスのコンスタンティン・トレティアコフにより、レビーが発見した物質は「レビー小体」と命名される。

当時、レビー正体がみつかったのは、脳幹といわれる脳の深い部位でした。半世紀以上にわたって、レビー小体が現れるのは脳幹だけ、パーキンソン病と関連するだけで、脳の他の部位にはできない。できても、極少数だという意見が支配的でした。

脳幹

【1976年】
日本の小阪憲司 医師が、この年以降の一連の研究で、大脳皮質にも多数のレビー小体がみられ、認知障害・パーキンソン病を示す症例を初めて報告する。大脳皮質は、認知機能に深く関わる部位です。

【1980/1984年】
「レビー小体病」「びまん性レビー小体病」という病名を提唱する。

【1996年】
「レビー小体型認知症」の命名が決定され、診断基準が発表される。

【2005年】
診断基準の改訂版が発表され、パーキンソン病とレビー小体型認知症をまとめて『レビー小体病』と呼ぶことが提唱された。

認知症といえば、アルツハイマー型認知症が有名です。その原因となるアルツハイマー病が報告されたのは1906年のことで、レビー正体の発見とほぼ同時期です。

レビー小体が認知障害を引き起こすことがあるとわかり、「レビー小体型認知症」と命名されるまでには長い時間がかかりました。その間に、『認知症=アルツハイマー型認知症』というイメージが定着してしまった感があります。

ですが、アルツハイマー型認知症は、認知症のひとつのタイプにすぎないのです。

日本初の報告を皮切りに世界が動いた

レビー小体型認知症の発見者でもある小阪憲司医師は、多くの認知症患者と接するなかで、「アルツハイマー型認知症とは何かが違う」と思われる人がいることに気付き、病理解剖を重ねた結果、「脳幹以外には現れない」とされてきたレビー小体を大脳皮質で多数発見したのです。

小阪憲司医師による大脳皮質型のレビー小体についての詳細な症例報告を皮切りに、1980年代以降、世界各国から同じような症例が報告され、「レビー小体型認知症」の存在が明らかになりました。

実は認知症のなかで2番目に多い病気

高齢になればなるほど、認知症になる人は増えていきます。レビー小体型認知症も認知症のひとつで、アルツハイマー型認知症に次いで多いことがわかってきました。

認知症の割合

近年、認知症を占めるレビー小体型認知症の割合は、20%といわれています。2020年現在での認知症の推計患者数は約602万人で、その20%ですから、レビー小体型認知症を患っている方は、約120万人以上にのぼる可能性があります。(生命保険文化センター:認知症患者はどれくらい?)

認知症はさまざまな原因で脳の働きが低下し、生活に大きな問題を引き起こしている状態を指し示す言葉です。

認知症はもとになる病気よってタイプが違います。最もよく知られているのがアルツハイマー型認知症で、次いで多いのがレビー小体型認知症になります。ところが、実際にレビー小体型認知症と診断されている人はそれほど多くありません。

それはなぜか…?

レビー小体型認知症は、他の病気と誤診されやすいことやアルツハイマー型認知症との合併もあることなどから、患者の多くは正確な診断を受けられていないのが実情なのです。

早い時期に現れやすい症状

レビー小体型認知症の症状は多彩です。初めのうちは「もの忘れ」に代表されるような認知機能の低下は目立ちません。「まだまだしっかりしている」と思っても、病気は始まっています。早めに異変に気付くために、現れやすい症状を確認しましょう。

『幻視・誤認』
無いものが見えたり、見間違いが多くなったりする。それが妄想に発展することもある。

『パーキンソン病』
筋肉の強張りが生じ、体がうまく動かせなくなります。

『レム睡眠行動障害』
就寝中に叫んだり、暴れたりする。

『うつ』
うつ状態が続き、元気がない。

『自律神経症状』
ふらつきや便秘など、体の不調に悩まされる。

『薬への過敏症』
初期・中期・後期と全ての期間を通じて、特に抗精神病薬・抗不安薬・抗うつ薬などに対して敏感に反応しやすい。

『認知の変動』
しっかりしている時と、ボーッとしている時の差が大きくなる。

『認知機能の低下』
記憶障害、判断力の低下などが目立つようになる。これは、初期の頃よりかは中期から目立つようになるのですが、認知機能の低下は、アルツハイマー型認知症の影響が強いと考えられる場合があります。

認知症というと、記憶障害があらわれるアルツハイマー型認知症のイメージが強いかもしれません。「レビー小体型認知症も認知症のタイプのひとつだから、同じようなものだろう」と思うかもしれませんが、それは違います。

レビー小体型認知症で人気機能が目立つようになるのは、病気が進んだ中期以降であることが一般的で、「認知症」という言葉にとらわれていると、その前から現れている多彩な症状を見逃したり、他の病気と誤診したりする恐れがあります。

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QOL(生活の質)で大きな差がでる

病気の存在が見逃されたり、他の病気に誤診されやすいレビー正体型認知症ですが、早めに正しい診断を受け、適切な治療を受けることがなぜ重要なのでしょう?

年を重ねれば、誰でもどこかしら不具合を抱えるようになっていきます。若い頃と同じようにはいきません。それでも、適切に対応していけば、辛さや苦しさは減り、いきいきとした生活を送ることができます。

レビー小体型認知症で起こる多彩な症状は、対応の仕方がわからないと生活全体に暗い影を落としてしまうかもしれません。そのような事態を避けるためには、レビー小体型認知症はどのような病気なのかをきちんと学んでおくことが必要です。

見逃し・誤診が防げれば、自ずと対応の仕方もわかってきます。

【起こりがちな対応例】

『気になる症状がある』
心身の不調は「生活の質」を低下させてしまう。

『放置』
診断がつかないまま、さまざまな症状に振り回されてしまう。

『誤診』
違う病気と思われ、不適切な治療を続けていると状態が悪化する。

『対応が難しくなる』
認知機能の低下が起こり、さらに症状が複雑化して、
対応に苦しむことになる。

他の認知症と同様に、レビー小体型認知症を完全に直す方法はわかっていません。しかし、病気の存在に気付けば、その後の経過が変わってきます。

【理想的な対応例】

『気になる症状がある』
心身の不調は「生活の質」を低下させてしまう。

『正しい診断と治療』
病気のことを知り、適切に対応していくことで、
多く症状は改善に向かいます。

『良い状態の維持』
認知機能の低下がみられても、早期の治療でよい状態を
長く保つことができる。

レビー小体型認知症では、多くの場合、認知機能の低下が目立つのはかなり病気が進んでからです。その前に正しい診断を受け、治療を始めることで、「生活の質」の維持・向上させましょう。

認知機能の変動を見逃さない

レビー小体型認知症の特徴のひとつに、認知機能が変動しやすいことがあります。しっかりしている時もあるために「病気」と思われていないことがあります。

明らかに「これは変だ」と思うようなことがない限り、「認知症かもしれないから病院に行くべきか?」とは、判断しにくいものです。

認知症は一般的に、記憶力や理解力、判断力など、脳の認知機能が低下し、徐々に進んでいきます。しかし、レビー小体型認知症の場合には、直線的な変化というより、波のような変化が起きやすくなります。

レビー小体型認知症の特徴のひとつである「認知の変動」は、脳の脳幹網様体という、意識レベルを一定に保つ働きのある部位の障害が関係していると考えられています。

脳幹網様体

【認知の変動を見逃さないポイント】

●認知機能の程度をみる検査は、状態の良い時だけではなく、
悪い時にも行う。
●他の症状にも注目し、レビー小体型認知症が疑われる症状があれば、早めに受診する。(早い時期に現れやすい症状を参照)

幻視や誤認、ひどい妄想から抗精神病薬を処方されてしまう

ないモノがありありと見える幻視や見間違い(錯視)、それらによる思い込み(誤認)、そこから起きてくる妄想など症状は、老年期精神病や、統合失調症などという誤診を招くもとになります。

ありがちな対応として、幻視や錯視、誤認がたびたび起き、そこからの妄想が生じて困惑させるような言動が続くと、精神的な病気が心配されます。ここでレビー小体型認知症に気付ければよいのですが、別の病気と診断されてしまうことに注意しなければなりません。

レビー小体型認知症では、脳の視覚を司る部位に障害が起きやすくなります。そのため、ないものが見える幻視や、目の前のものや模様を別の藻に見間違える錯覚が起こりがちです。

幻視

そうした特徴をわかっていないと、周囲の人は「突拍子もない事を言いだした」「頭がおかしくなったのか?」と思うでしょう。

ですが、ご本人にはありありと見えています。周りの反応から、さらに思い込みが強まり、妄想を持つようになることもあるので注意しましょう。

【実際に経験したこと】
昼食のお誘いに居室を訪れた際に、「早く隠れなさい!今、私はある国からきたスパイなんだけど、あそこのドアを開けたところに私を狙っている奴がいた。」とスパイ映画さながらのセリフを言われたり、「あそこの廊下に大きな虎がいたんだけど…怖くて出られないの…あなた…よく無事でしたね?」「子供がたくさん部屋に来て困ってるんだけど…どこから来たのかわかる?出ていってほしいのに…」「私はナイチンゲールとして派遣されました。あなた…誰にやられたの?ここに座りなさい。治療しますからね…ご飯?そんなの食べてる暇なんてありません!」と、面白おかしく聞こえるかもしれませんが、介護者にとっては大変です。幻視や思い込みが強いと、それらが落ち着くまでそこから動きません。根気よく付き合い、気分が変わるまで待つか、話を合わせるなどしかありません。深夜の巡視時に「部屋中に大きな蜘蛛がいる…怖くて眠れない」ということもありました。

うつ状態が続き、「難治性うつ病」と診断される。

レビー小体型認知症は、認知機能の低下が起きてくるより前に、うつ状態が酷くなることもあります。そのため、「うつ病」と診断されている人も少なくないと考えられます。65歳以上なら、「老年期うつ病」と診断されることもあります。

うつ病にもあてはまる症状が出やすく、その程度は、典型的なうつ病の診断基準を満たすこともあります。

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①または②の項目を含めて5つ以上当てはまる状態が2週間以上続き、生活に支障が出ているようなら、うつ病の疑いがあるとされています。

【ありがちな対応例】

上記の項目に当てはまるような「うつ状態」が続く。

うつ病・老年期うつ病と診断される。

『高齢者(65歳以上)のうつ病は、その半数以上に明らかな認知機能の
低下がみられるといわれています。うつ病であれば、抗うつ薬を中心とした適切な治療で、認知機能の回復がみられます。』

抗うつ薬を中心とした薬物療法が始まる。

あまり効果がなく、何種類も薬を服用することになる。

うつ状態が改善されないまま、認知機能の低下がみられるようになる。

レビー小体型認知症は初めのうち、うつ状態しか目立たないことがあるため、うつ病と診断されている人もいます。

しかし、うつ病とは原因が異なります。そのため、通常のうつ治療だけでは、はかばかしい効果は得られません。治療していてもなかなか改善されず、「難治性うつ病」といわれている人のなかには、レビー小体型認知症の人も少なくないと考えられます。

うつ状態以外の症状にも注目しながら、抗うつ薬中心の薬物療法でなかなか改善がみられないようであれば、医師に診断の見直しをお願いしましょう。

パーキンソン病と診断されてしまう

レビー小体型認知症とパーキンソン病の関係は密接です。同じような症状が現れるため、パーキンソン病と診断され、その治療だけを受けている人も少なくありません。

パーキンソン病にみられる運動面での特徴的な症状を、まとめてパーキンソン症状といいます。『パーキンソン症状=パーキンソン病』とはかぎりません。レビー小体型認知症でも、パーキンソン症状が現れることがよくあります。

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【ありがちな対応例】

パーキンソン病が目立つようになる。
もしくは、以前からパーキンソン病と診断されて治療を続けている。

パーキンソン病と診断され、その治療のみを続ける。

幻視など、レビー小体型認知症による他の症状が出てきても、
関連づけて考えない。


治療方針の見直しもないまま、症状だけが進んでいく。

レビー小体型認知症とパーキンソン病は、ともにレビー小体を抱えている仲間のような病気です。そのため、長年パーキンソン病を患っている人が認知症になることもあれば、レビー小体型認知症にパーキンソン症状が現れることもあります。

パーキンソン病という診断は誤りとはいえませんが、状態の変化を見逃さないことが重要です。見逃しを防ぐために、パーキンソン症状を引き起こす原因をきちんと調べておきましょう。

認知機能の低下、幻視などがみられるようになったら、その状態の変化を必ず医師に伝えましょう。

以前、パーキンソン病を患った方を介護させていただいたことがあります。その時のことを記事にしていますので、是非ご覧ください。


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睡眠中に大声を出して暴れる

全く関係ないことのようでいて、じつは診断するうえで貴重な情報になるのが眠っているときの様子です。現在ではなく、10〜20年ほど前のことまで思い出してみてください。

睡眠中に夢をみて、突然、大声で叫んだり、手足をバタつかせて暴れだしたりすることを「レム睡眠行動障害」といいます。眠りが浅いレム睡眠の間に起こる行動だからです。

レビー小体型認知症は、発病の数年前からレム睡眠行動障害がみられることがあります。

【ありがちな対応例】

『レム睡眠行動障害がみられる』
体調の悪化などで一時的に意欲が混乱し、興奮したり、
幻覚を訴えたりすることを「せん妄」といいます。夜間に起こりやすく、
その振る舞いはレム行動睡眠障害に似ています。

ただ、せん妄は一種の意識障害なので、自分の言動を覚えていません。

一方、レム睡眠行動障害は覚醒に近い意識のもとで起こるものです。
目が覚めた後で夢の内容をはっきり語り、なぜ叫んだり暴れたりしたのか、自分で説明できることもあります。


「悪い夢でもみたのだろう」「日頃のストレスが溜まっているのか?」などと考え、心配はするが、それが病気だとは思わない。

幻覚やパーキンソン症状などが出てくる。

レビー小体型認知症の診断を受け、はじめて関連する症状だったとわかる。

眠っているときにうなされたり、暴れたりするレム睡眠行動障害は、レビー小体型認知症の「前ぶれ」である可能性があります。

レム睡眠行動障害の有無は、レビー小体型認知症の診断をするための情報のひとつになります。ただ、レム睡眠行動障害があれば、必ずレビー小体型認知症になるわけではありません。

他に気なる症状がなければ、あまり心配することはないでしょう。もし、気なる症状が現れるようになったら、必ず「睡眠時に異常言動がみられる(みられた)」ことを医師に伝えましょう。

自律神経症状を伴い、不調が続く

レビー小体型認知症では、抹消の自律神経症状が現れることがあります。自律神経を構成する交感神経副交感神経の働き方のバランスが悪くなると、様々な不調が生じやすくなります。

日常生活で起きやすい不調の数々に、一つひとつの症状への対応に追われると、もとの病気の存在になかなか気づかれないこともあります。

●立ちくらみ(起立性低血圧)
●頻尿
●多汗・寝汗
●倦怠感
●便秘
etc…

自律神経は、脳から出される指令にもとづき、体の臓器の働きをコントロールしています。交感神経と副交感神経という2つの神経系があり、互いに相反する働きを持っています。

自律神経

【ありがちな対応例】

さまざまな不調がある。

だましだまし生活するも、特につらい症状があれば、
そのためだけに受診する。


他にも気になる症状が現れる

診断がつかないままだと、対処療法の薬が増えて、
かえって状態が悪くなってしまうこともある。

レビー小体型認知症は、さまざまな体の不調に悩まされていることが少なくありません。それぞれの症状は、なんの関係もないようですが、じつは「レビー小体」という物質が神経の働きを妨げているという点で共通しています。

幻視やパーキンソン症状もあるようなら、専門医に相談しましょう。薬に対して敏感に反応しやすいので、安易に市販薬を使用してはいけません。「関係がなさそうだから」「年齢的な問題だろう」と放っておかず、必ず、専門医に相談しましょう。

レビー小体型認知症は、薬に対して非常に敏感に反応します。
これは、適切な薬を適切な量だけ用いれば、高い治療効果を得られる可能性があります。ところが、この「薬に対する過敏性」が、事態をややこしくしてしまうことがあります。


たとえば、幻視を精神疾患の症状ととらえて抗精神病薬などが処方されると、かえって症状が悪化することがあります。さらに薬の量が増えるという悪循環も起こりえます。

風邪薬や痛み止め、胃腸薬の市販薬で、かえって具合が悪くなってしまったなどということもあるので注意が必要です。

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《神経細胞を変性させ、死滅させる「レビー小体」》

レビー小体型認知症の病名の一部でもある「レビー小体」。それはタンパク質が固まってできている小さな丸い構造物です。

レビー小体 画像1

このレビー小体が神経細胞を傷め、死滅させてしまうために神経系の働きが低下していきます。特殊なタンパク質が固まってできた円形の構造物(封入体)で、直径30〜50ミクロンほどの小さなものなので、肉眼では見えず、脳の画像検査でも映りません。

【発病するまでに起きていること】

神経細胞のなかには、もともと多くの種類のタンパク質が存在している。

『α−シヌクレイン』を中心に、タンパク質が集まりはじめる。

α−シヌクレインはタンパク質の一種です。
通常は神経細胞内に溶け込んでいるのですが、
なぜ、集まってかたまりになるのかはハッキリわかっていません。


集まったタンパク質が円形の構造物(封入体)をつくり、
大きくなっていく。

神経細胞が変性・死滅して、さまざまな症状が現れる。

α−シヌクレインが原因で神経細胞の変性・脱落が起きる病気を
「シヌクレイノパチー」と呼び、パーキンソン病・レビー小体型認知症・
他系統萎縮症があります。

脳や脊髄、抹消神経などの神経系は、無数の神経細胞の集まりです。一つひとつの神経細胞が、神経伝達物質という微量の物質をやりとりすることで繋がりあい、さまざまな情報を伝えていきます。

ところが、神経細胞の細胞体にレビー小体ができたり、神経線維にレビー小体が現れ、レビー突起といわれる病変をつくったりすることがあります。レビー小体ができた神経細胞は変性し脱落、つまり死滅してしまいます。

神経細胞の脱落が進めば、神経系の働きは低下し、さまざまな症状が現れるようになるのです。

「どこに多くできているか」で違う病気に

神経細胞にできるレビー小体は、身体中に出現する可能性がありますが、どの部位の神経細胞に多くできているかで現れる症状は異なり、病名も変わってきます。

【大脳皮質に多くできる】

『レビー小体型認知症』
脳の表面を覆う大脳皮質に病変ができやすい。
【脳幹に多くできる】

『パーキンソン病』
脳幹の一部である中脳の黒質という部位などに病変ができる。
【自律神経に多くできる】

シャイ・ドレーガー症候群/特発性自律神経不全症』
シャイ・ドレーガー症候群は、レビー小大病とは限らない。他系統萎縮症でも起こりやすい。神経細胞が集まった交感神経節に病変が起こりやすい。
特発性自律神経不全症は、原因がはっきりしないときの診断名です。

現在、レビー小体によって引き起こされる病気は、どこにレビー小体が多くでき、主にどんな症状が現れているかによって、異なる病気がつけられています。

しかし、「病名が違うから異なる病気である」とは言えません。

診断の時点で「この部位に多い」というだけで、他の部位にもレビー小体がみられることは珍しくなく、これから広がっていく可能性もあるからです。

そのため、専門医の間では「レビー小体病」と総称し、全身病としてとらえるべきではないかという考えが広まっています。

タイプの異なるレビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、認知障害の現れ方や発症する年齢、出やすい症状などで2つのタイプに分けることができます。同じ病名でも異なる印象があるのはそのためです。

【通常型】
高齢者に多く、アルツハイマー病が多少なりともみられるタイプ。


レビー小体型認知症の典型例で、70歳前後での発症が多く、
レビー小体が大脳皮質に多くみられます。症状は多彩で、
最終的には認知機能の低下も起きてきます。
【純粋型】
30〜40歳代でも発症し、パーキンソン病から始まるタイプ。

パーキンソン症状で始まり、パーキンソン病と診断されている人もいますが、その後、幻視や認知機能の低下が進んでいく場合では、レビー小体型認知症が考えられます。
少数例として、自律神経症状が先行する場合があり、
その場合は「自律神経型」と呼ばれています。

レビー小体型認知症はさまざまな症状を引き起こしますが、全ての症状が一度に生じるわけではありません。人によって出やすい症状は異なり、どんな症状から始まるかも違います。レビー小体がどこに多くできているかによって、障害される神経系も変わってくるからです。

「レビー正体によって神経の働きが低下している」という仕組みは同じでも、現れ方は人それぞれです。それだけに対応も千差万別にならざるを得ません。

合併しやすい病気 “パーキンソン病”

レビー小体が脳幹部にたくさんできることで生じる病気がパーキンソン病です。脳幹から大脳皮質へと広がっていくことで、認知機能の低下を招くことがあります。

パーキンソン病は、主に中脳の黒質という部位の神経細胞が壊れていくことで起こる病気です。黒質の神経細胞では、ドパミンという神経伝達物質でつくられています。ドパミンが減ることで、運動機能の障害が起きています。

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パーキンソン病は運動障害のみが問題とされていましたが、ご本人の高齢化が進むにつれ、7~8割の人に認知障害が現れるとの報告も出てきています。

この「認知症を伴うパーキンソン病」は、レビー小体型認知症と同じ物と考えられていますが、早期からの治療で神経障害の進行を抑えられるといわれています。

【パーキンソン症状=パーキンソン病とはいえない】
ふるえや動作のぎこちなさなどのパーキンソン症状は、パーキンソン病以外の原因でも生じます。主なものに次のような病気があります。

●脳血管性障害による、『脳血管性パーキンソニズム』
●服用した薬の副作用として現れる、『薬剤性パーキンソニズム』
●頭蓋の中を流れている髄液の量が増え、脳を圧迫する。それが、パーキンソン症状や認知症、尿失禁などを引き起こす『特発性正常圧水頭症』
●何かしようとするときに手や口、頭などに小刻みな震えがでる。
心理的な影響が強い『本態性振せん』
●その他に、『進行性核上性麻痺』『大脳皮質基底核変性症』
などがあります。

合併しやすい病気 “アルツハイマー型認知症”

高齢者の認知症の約半数は、アルツハイマー病変があるために認知障害が引き起こされるアルツハイマー型認知症であり、レビー小体型認知症とは原因が異なります。

アルツハイマー型認知症の病変は、まず海馬という部位に生じます。海馬は記憶を司る部位で、その働きが失われていくと、必ず記憶障害が現れます。

詳しくは、以前に投稿しました記事をご覧ください。

レビー小体型認知症にアルツハイマー型認知症が合併していることもあります。レビー小体ができていても、脳の萎縮が見られる場合には「アルツハイマー型認知症」とだけ診断されることが少なくありません。

ただ、レビー小体が原因であれば、以前から幻視など、認知障害以外の症状が出ていた可能性もあります。その段階で気付いて、専門医に相談するのがベストです。

《正しい診断を受けるために》

アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症、脳血管性認知症の三大認知症が圧倒的に多いとはいえ、他の原因で認知症がひきおこされることもあります。

ある程度の年齢以上になれば、脳の機能に衰えがみられることは自然なことです。「○○認知症のようだ」と思って受診しても、すぐに診断が下るわけではありません。認知症を引き起こす原因がいろいろあるからです。

まずは、なにが原因で認知障害が起きているのかを調べておく必要があります。

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一時的な意識障害ではなく、長い間続く認知障害を招く原因になる病気はさまざまです。原因によっては、適切な処置をおこなうことで回復するものもあります。だからこそ、早めに原因を突き止めておく必要があるのです。

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その他の原因疾患にある①③④のなかには、早期の手当で回復可能な場合もあります。

医療機関の選び方

レビー小体型認知症、認知症のひとつとして国際的に認識されるようになってから、まだ長い年月が経っていません。

「もしかしたら…レビー小体型認知症かも?」
「別の病気と診断されているけど…どうも違うような気がする」

そんなとき、いちばんの問題は「どこにかかるか?」「だれに診てもらうか」が重要です。

認知症をみる診療科には「精神科」「神経内科」「老年科」「脳神経外科」などがあります。しかし、診療科名だけで選ぶのは問題です。

認知症といっても、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症がほとんどで、レビー小体型認知症に関する知識や治療経験には乏しいと言うところも少なくないからです。

診療科名だけでは目安になりません。

具体的な受診先がわからないという場合には、身近な窓口に相談してみましょう。

地域包括センター
地域の高齢者に対する支援活動をまとめる中核的な存在です。お住まいの地域の医療機関についても情報も集まりやすいです。

【レビー小体型認知症 サポートネットワーク】
2008年から活動していた「レビー小体型認知症家族を支える会」の
後継組織です。ご本人、ご家族、そして病気にかかわる医療従事者が
情報交換する交流会を開催するなど活動されています。

通院する医療機関が決まり、診断がついたら、長い治療・介護生活が始まります。しかし、「この医師で大丈夫かな?」「なんでそんなに威圧的な態度なんだろう?」「こちらの話をちゃんと聞いてくれているのだろうか?」などという気持ちのままでは、安心して治療に取り組めません。

【要注意の医師のサイン】
●画像や検査データばかりみて、患者本人や家族の話を聞こうとしない。
●疑問点を尋ねると、うるさそうにする。あからさまに嫌そうな顔をされる。
治療方針や薬に対する説明が一方的でわかりにくい。
いきなり抗精神病薬を処方する。

症状が人によって大きく違うレビー小体型認知症は、ご本人や家族の話をよく聞いてくれて、困りごとを一緒に解決していこうとする姿勢が一番大事です。その点に不満があるようなら、医療機関の変更を考えたり、別の医師の意見(セカンド・オピニオン)を求めてみるのも良いでしょう。

レビー小体型認知症の治療経験は少なくても、「私も勉強するので、一緒により良い対応法を考えていきましょう」などと言ってくれる医師の方が、信頼できますし、安心できるでしょう。

レビー小体型認知症は、正しい診断を受け、適切な治療が始まるまでに時間がかかってしまうことが少なくありません。この病気についての知識や治療経験のある医師にかかることが、正しい診断への近道です。

医療機関との付き合いは長いものになるだけに、「この医師なら任せられる」と思える人のもとで、治療を進めていけるようにしたものです。

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今回はここまで…

次回は、レビー小体型認知症を正しく受診するために欠くことができないことや治療内容、その症状と向き合いながら付き合っていくためのコツをお伝えします。

この投稿記事を最後までご覧いただいた方は、もう気付かれているかもしれませんが、「パーキンソン病やうつ、振戦・不随意運動・認知症そのものの進行を抑えるために大麻が有効活用できるのではないか?」と私は感じています。

レビー正体自体の減少や幻視などが、大麻の恩恵を受けてることで、症状が和らぐかどうかはわかりません。ですが、今まで幻視をみている利用者をみてきた限り、かなりネガティブな幻視をみているイメージがあります。

そのネガティブな幻視が、大麻の恩恵を受けることによって、ポジティブな幻視に変わったりしないのでしょうか?パーキンソン病やうつに関しても、これらの症状が和らぐだけで、生活の質はかなり変わるでしょう。

今後、レビー小体型認知症に大麻が有効活用できるように研究が進むことを切に願います。そして、日本でも医療目的で大麻が使用できる日がくることを願い、今後も活動していきます。

介護される側も、介護する側にも大麻は必要です。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


冒頭でもお伝えしましたが、この記事は、全ての介護・福祉従事者の方や在宅で介護をされている方に少しでも多くの情報をお届けしたいがために、無料で掲載しております。

少しでも「チップ」という形でご支援頂けるのであれば、noteを続けるモチベーションにも繋がりますので、サポートが可能な方は是非よろしくお願い致します。少しでも私に興味を持っていただけましたら、「スキ」と「フォロー」も、よろしくお願いします。

現在の日本で大麻を使用することは違法です。大麻に対して、多くの人が偏見を持っていることも重々承知しています。ですが、現在合法となった国も以前はそうだった国がほとんどです。

ですが、2020年12月に国連が医療大麻の有用性をついに認めました!まだまだ全世界が、大麻の有用性について賛同したわけではありませんが、現在、約50カ国が大麻を医療目的として使用しています。
世界は、大麻に医療目的として使用する価値があると気付いているのです。

「百聞は一見にしかず」といいますが、「百聞は一服にしかず」です。そんなに大麻が嫌なら吸わなければいいだけですし、大麻の恩恵を受けたいけど、ハイになるのが嫌だ・怖いと思われるのなら、ハイにならないように摂取すればいいだけです。

ただ、大麻を必要としている人は確実にいます。その人が穏やかに暮らしたいと願う気持ちや、医療目的で大麻を使用したいと願う人の権利を、無知や偏見で奪ってはいけません。

この記事や動画が、人々が持っている偏見を少しでも薄くすることができ、貴方自身が大麻について「もっと知りたい」と思っていただければ、嬉しいです。

大麻のことについて、もっと知りたいと思ってくれた方は、是非、下記リンクをご覧ください。そして、日本にいる全ての介護従事者の方で、大麻合法化が必要だと感じている方は一緒に声を上げましょう!


GREEN ZONE JAPAN
医療大麻に関する、科学的エビデンスに基づいた正しい知識を日本に
https://www.greenzonejapan.com/

GREEN ZONE JAPAN Youtube


大麻活動家チェダー Cheddar The Japanese Cannabist
https://www.youtube.com/channel/UCNiGHkuCy7SkY-ocZNT2R7g



【カナダ/医療大麻】医療大麻を使う方々にインタビューしてきた!

麻なび
大麻の情報に特化した総合ポータルサイト
https://asanavi88.com/


CBDの認知症への効能
https://cbdmednews.tokyo/


Marijuana.jp
国内最大の大麻に関する正しい知識を伝える総合メディア
https://marijuana.jp/





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