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胸を締め付ける映画(1)

《君の名前で僕を呼んで》


 エリオは17歳。毎年夏休みは家族と北イタリアの避暑地で過ごす。その年、大学教授の父が招待したのは、24歳の大学院生オリヴァーだった。オリヴァーは自信家で、エリオはそんな彼が気に食わなかった。しかし二人は反発しつつも、次第に互いの純粋な感性に気づき、惹かれあう。

 互いの名を自分の名で呼び合うのは、二人だけの愛の告げ方だった。夜は激しくも優しく抱き合った。しかし、ひと夏は短く、彼と過ごした日々は終わりを告げる。

 最後に二人きりで”旅”をした。束の間の、完全な幸せ。オリヴァーを見送り、家に戻ってきたエリオに、父が語り掛ける。

「人は早く立ち直ろうと、心を削り取り、30歳までにすり減ってしまう。…だが、何も感じないこと、感情を無視することはあまりに惜しい。…心も体も一度しか手に入らない。そして、知らぬうちに心は衰える。肉体については誰も見つめてくれず、近づきもしなくなる。…痛みを葬るな。感じた喜びも忘れずに」


 感情があるから、私たちは喜びや幸せを感じ、時にひどく悲しみ、途方に暮れる。若い時ほど感受性が高く、傷つきやすい。感情が無ければ、どれほど生きやすいだろう。しかしエリオの父の言葉は、そんな生きづらささえも肯定し、尊いものとしてくれる。永遠の思春期に捧げたい作品。


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