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義母の不要な荷物

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[登場人物]

・私 (都会で夫と二人暮らし)
・夫

・お義父さん(夫の父・地方でお義母さん、弟と3人暮らしだったが2023年夏前に他界)
・お義母さん(夫の母)
・弟(夫の弟・無職・実家暮らし)

・叔父さん(3人兄弟のお義父さんの弟・妻と同地方で2人暮らし・子供なし)
・叔父さんの妻(叔母さんが2人出てくるので叔父さんの妻とする)

・叔母さん(3人兄弟のお義父さんの妹・嫁いで同地方で夫と2人暮らし)

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お義母さんを受け入れる数日前、
お義母さんの必要な荷物(当面の着替えや紙オムツなど日常的に使っているもの)を、お義母さんがこちらに引っ越してくる当日の午前中に送るように
弟に伝えていたが、
荷物はその数日前にいきなり届いた。
大きな段ボール箱2箱だった。
いきなり届いたそのタイミングで私は出かける寸前だった。
入れ違いで不在にならなくてよかった。
帰宅後、箱を開けると
実家の独特の湿気とカビ臭い匂いが箱から漏れ出した。

1箱目の中身を見ると、ほとんどがセーター、
あとは2〜3本のズボンは全て裏毛や裏フリースの厚手、
亡くなったお義父さんの着ていたジャンパー1着が入っていた。
入っていたセーターのほとんどは昭和や平成はじめの頃の時代に
手に入れられたものであろうというのがわかるほど、
肉厚で重くて古臭くて、箪笥から引っ張り出してきた匂いのものばかり。
私達が暮らす都会は寒い土地ではないのだが、
なぜこんなにもセーターばかり送られてきたのだろうか。
スボンもウエストのゴムが入ってなかったり、穴が空いていたり、年季が入っていたり。

もう一つの箱を開けてみるが、
こちらも厚手のセーター、冬用の未開封の肌着2枚、
薄手の上着(着古して伸び伸びの裾だったり、虫食いなどがありこちらも年季が入ったものばかり)が数点だった。
正直、ゴミを送られてきたんじゃないかと思ってしまうほど、
それらはあたたかな秋の陽気の今、
すぐに着られるものではなく、お義母さんが来てから着替えられるものがほどんど入ってなかった。

一部のズボンや肌着は小さなビニール袋に小分けにされていたりして開封にも時間がかかった。
このビニールの小分けされた服には、見覚えがあった。
実家を訪れていた時にお義母さんの着替えをもってくるように弟に指示したことがあったのだが、
弟はお義母さんの寝ている横に置いてある、いくつかのビニール袋の小分けされた何かをガサゴソと探し私に手渡したことがあった。
弟は洗濯した洋服を収納する場所がなく(箪笥はあるけど使っていない)ビニール袋に入れて積み上げていた。
もちろん袋の中は湿気で独特な匂いを放っていた。
あの時の袋か…。
送られてきたものの中には、私が夏に送った夏用の薄手のスボン2本は入ってなかった。

私は夫に箱の中身を説明し、すぐに着れるものがないこと、
当日に着られそうなものを実家から持ち帰って欲しいと伝えた。
私はお義母さんの着る肌着がないので買いにいかなければならなかった。
予定を変更して慌てて肌着を買いに走った。

ちなみに、弟に荷物をまとめて配送手配するよう指示していたが、
届いた箱の伝票の字は叔父さんの文字で、
梱包も恐らく叔父さんが手伝ったであろう痕跡があった。
私と同い年の義理の弟は、荷づくりもひとりでできず
発送手配すらできなかった。

お義母さんが来たら、この大量のセーターを断捨離してもらわないと家にも片付ける場所なんかない。
しばらくはセーター達に染み込んだ匂いを遮断するように
箱のまま保管してお義母さんを待つことにした。


お義母さんを受け入れる前日、
夫は仕事を終わらせたその夜に夜行バスに乗り、実家に向かった。
当日はほぼ不眠のまま、役所の手続きを済ませてお義母さんを連れて
介護タクシーで駅まで向かってこちらへ戻ることになっていた。
私は二人が戻る駅のホームで待機し、タクシーで自宅まで運ぶことになっていた。

受け入れ日当日、早朝からラインが鳴った。
夫からだった。

「家に着いたけど弟がいない」
「荷造りしているものがあるけど中身が神様(神道)の荷物で」
「予約していた介護タクシーが来ない」

やっぱり一筋縄ではいかない。
無事到着するだろうか。


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