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#201 【便秘集中講義】第5回:便秘の種類と原因を知る。

毎日夜19:30に更新中!腸内細菌相談室。
現役の研究者である鈴木大輔が、腸内細菌にまつわるエピソードをお届けしております🦠

今回のエピソードでは、便秘の種類と原因についてお話します!便秘とは言っても、慢性や急性、器質性や機能性によって分類することができ、原因が異なってきます。ですから、便秘について深く知るには、便秘の分類と原因を紐付けて考える必要があるのです。

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器質性と機能性、急性と慢性

急性と慢性、器質性と機能性については、一般社団法人愛知県薬剤師会が資料を公開しているので、こちらに準拠してお話します1)。

まずは、器質性便秘と機能性便秘についてです。器質性とは、腸などの器質そのものに関わるという性質を表しています。したがって、臓器そのものに原因がある場合には、器質性便秘として分類されます。

以下に愛知県薬剤師会の公開している例を示します。

  1. 腸管の異常、隣接する腹腔内臓器の炎症、腫瘍などにより腸内容物の通過障害

  2. 内分泌疾患、神経疾患、糖尿病、薬物中毒などによる腸管運動の麻痺

簡単に表現すると、腸管内に何らかの障害物がある場合や、腸管の運動機能が低下したり損なわれることで、器質性の便秘が生じるとしています。

続いて、機能性便秘についてです。機能性便秘では、生活習慣や環境の変化、筋力の低下、薬物の使用などによって発症し、器質性の異常が見られない便秘を機能性便秘と呼びます。機能性便秘には、原因によって急性便秘、直腸性便秘、弛緩性便秘、けいれん性便秘などが含まれます。

急性の便秘は、一過性単純性便秘とも言われており、一時的な原因による一過性の便秘です。例えば、排便の我慢、旅行へ行くなどの環境の変化、食生活の変化、ストレスなどが原因として考えられます。この場合は、生活習慣を整えることで対処が可能です。

一過性単純性便秘以外は慢性的な性質をもっており、例えば直腸性(習慣性)便秘は便意を催すのに排便を控えたり、下剤や浣腸を乱用することで排便反射が弱まることで起こります。弛緩性便秘は大腸の蠕動の低下による腸管内容物の移動速度の低下で起こり、それに伴って便に含まれる多くの水分が大腸により吸収されて硬便化します。けいれん性便秘は、ストレスや自律神経の失調により起こり、腸管がけいれん収縮することで腸管内容物の移動速度が低下し、水分が吸収されて兎糞状の便となります。

器質性便秘、機能性便秘とは別に、薬剤の副作用によって引き起こされる薬剤性便秘も存在します。

このような便秘に対して、様々な下剤の開発が進んでいます。詳細は、愛知県薬剤師会のホームページを御覧ください。

あれ、腸内細菌は?

ここまでお話してきて、腸内細菌はどこに関係しているのか、気になった方もいると思います。実は、便秘の方の腸内細菌叢の多くで、バランス不全(Dysbiosis)が確認されています。そこで、腸内細菌叢に着目して便秘を改善する試みが行われているのです。この点の導入として、次回は機能性便秘と腸内細菌叢の関係を論じたレビュー論文をお話します!

腸内細菌相談室は、腸内細菌について分からないことがある、あなたのために存在します!わからないこと、難しいこと、紹介してほしいことがあれば、メッセージお待ちしております。論文の紹介から、基礎知識の解説まで、腸内細菌相談室を使い倒して下さい!あなたのリクエストが番組になります。

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本日も一日、お疲れさまでした。

参考文献

1) 薬事情報センター 5.便秘、一般社団法人 愛知県薬剤師会、Access: 20230316、URL: https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3531.html

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