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#391 【科学系ポッドキャストの日】 腸内細菌研究との出会い。

毎週金曜日、夜19:30に更新中の腸内細菌相談室。室長の鈴木大輔がお届けします。

今回のエピソードは、#科学系ポッドキャストの日の共通テーマに因んだお話しです。今月のホストは腸内細菌相談室なので、”出会い”というテーマに沿って、計14番組にお話をして頂きます。4月から新年度が始まりますが、そんな日々に新しい視点を与える科学との出会いがリスナーの皆様にあることを、願っています✌️

腸内細菌相談室では、室長が勉強や研究に目覚めたキッカケ、腸内細菌研究への出会いについてお話し出来ればと思います🦠

腸内細菌相談室では、腸内細菌や腸内環境にまつわる研究結果を元に、最新の知見をお届けする番組です。継続的にエピソードを楽しむことで、腸内細菌について詳しくなることができるので、ぜひフォローをお願いします!

勉強、研究との出会い

腸内細菌研究と出会うまでに、多くの出会いがありました。まずは勉強との出会いからお話を始めます。

言葉通りの意味で言えば、小学校に入学してからです。しかし、勉強の面白さに気がついたのは中学2年から3年に進級するタイミングの春休みでした。キッカケは高校受験に備える為の入塾です。

当時の私はサッカー三昧で、自分なりに勉強をしてはいましたが、成績はクラスの真ん中くらい。特に英語が苦手だったのを覚えています。中学2年生の終わりといえば、高校入学を意識する頃だったので、入塾を検討していたところ、家のすぐ近くに新しい塾が出来るとのことだったので、説明を受けました。

そんな苦手科目の英語について、2対1の指導を受けるところからスタートしました。当時、私を担当していた先生は皆褒め上手で、"出来る"体験が"楽しい"、"嬉しい"という気持ちに結びつくまで、さほど時間はかかりませんでした。勉強が楽しくなってからは、いつも塾が閉まるまで自習してました。

"勉強が楽しくない"という感覚は、小さな出来るを、毎日作ることで必ず克服できると思います。継続的に小さな出来るを得るという意味で、入塾は勉強へ向き合うきっかけを与えてくれました。

入塾してから直ぐ、中学校の友人に宇宙兄弟という漫画を勧められます。これが自分の人生を大きく変化させるきっかけとなりました。人がロケットで宇宙へ行く過程が描かれていて、沢山の金言と感動を与えてもらいました。宇宙飛行士になりたいと志すようになり、宇宙飛行士になった人は皆優秀な人たちだということに気づきます。宇宙飛行士の母校を調べてみると九州大学や東京大学の名前があり、ここを目指すには進学校なるものを目指したほうが良いことも知ります。

宇宙兄弟という漫画に中学3年生の初めに出会ったことで、英語に加えて理科も勉強するようになりました。特に、宇宙について考えている時が楽しかったです。宇宙デカすぎる!人間小さすぎる!ブラックホールのスケールが生活レベルからかけ離れすぎている!みたいな感動がありました。

結果的に第一志望校の進学校には落ちてしまったのですが、併願していた高専に入学することを決めました。そこでは理系の教育に力を入れており、実学に注力した学びが提供されていました。高専では、現在も親交がある恩師と出会い、早期から研究にふれる機会を紹介してもらいました。恩師は、環境学が専門で、水質汚染問題や土壌汚染問題、廃棄物処理についての研究をしています。そこでのご縁があって、一番最初に取り組んだのは動物プランクトンを用いた生態毒性試験の研究でした。研究をしている際には、やっている時は夢中になれるし、やった先には発見があり、発見は論文として形に残る点、研究は楽しくてかっこいい営みだという認識になります。例えば、毒性のある化合物Aをプランクトンへ曝露した時に得られる容量作用曲線の考察をするのが楽しかったです。また、動物プランクトンを顕微鏡で眺めた時、小さいけど生きてるなあと実感したりして、感動してました。

中学2年生の終わりから勉強の楽しさに出会えたのは、進路選択というタイミング、近所に塾ができたこと、友人に宇宙兄弟を紹介してもらったことが大きな要因だと考えています。

環境汚染問題の研究に出会えたのは、高専の、特定の学科に進み、恩師に育ててもらったというのが大きな要因だと考えています。

ここから言えることは、私の場合は外的な要因によって、勉強や研究の素晴らしさに出会っているということですね。

続いては、腸内細菌研究との出会いです。

腸内細菌研究との出会い

当時、環境毒性学の研究をしていた私は、次なる研究分野を探すことにします。論文も数報出させて頂き、今後も研究と共に人生を歩むことはきめていたので、新しい武器が欲しくなってきた所でした。

特に、当時従事していた環境毒性学の研究では、フミン酸という得体の知れない有機物を相手にしていたこともあって、複雑なものを研究する手法を身につけたくなりました。これからを生きる中で、入手可能なデータ数は確実に増えていくし、次元も上がっていくことは明白だったので、データサイエンスに興味を持ちます。

そんな時に、”脳と腸”という書籍を読みました。腸内細菌叢や脳腸相関について知ることで、今までは水環境や土壌環境という外の環境に目を向けたいのが、内なる複雑な生態系にも目が向く様になりました。腸内細菌叢の研究にはバイオインフォマティクスへの理解が欠かせないので、腸内細菌叢の研究を次なる目的地に設定します。もちろん、環境学の研究の延長線を歩むという選択肢もありました。当時所属していたのが化学系の学科で、進もうとしているのは生物学系の学科なので、大きな変化が求められるのもあり、延長線を歩むのが楽な選択ではあるなと思ってました。しかし、興味の矛先は定まっているので、まずは腸内細菌叢の研究室にアポを取り、面談をし、運良く高専在学時からインターン生として受け入れて頂きました。

以降、大学院入試で第一希望の研究室に選び、進学を果たしました。進学以降は、腸内細菌研究の中でも、腸内細菌の機能多型に注目した研究をしています。

腸内細菌研究への出会い方をまとめると、"脳と腸"という書籍に高専専攻科1年生の時に触れて興味を持ち、研究をするようになりました。腸内細菌について衝撃を受けたのは、腸内細菌叢の多様性と、私達の体との密接な関わりです。何故義務教育で教えられてこなかったのかと思うほどに、腸内細菌叢を含めたヒト細菌叢は沢山私達の体にいますし、私達という個性そのものにすらパラダイム・シフトを引き起こすポテンシャルがあると考えています。

人間が視認できる解像度のはるか先に、見えない生物の多様性が広がっていて、一番おもしろいのは今この記事を読んでいるあなたにも沢山の細菌が住んでいるという事実です。自分自身を考える上で、自分以外の生物も考慮に入れる必要がありそうだという点において、腸内細菌叢がもたらす世界観はとてもおもしろいと考えています。

以上が、腸内細菌研究との出会いです。腸内細菌研究との出会いは、研究室に入れたことなど様々な運の要素、自分の興味のある研究分野を探し出して体を動かすという要素が効いたのかなと思っています。

おわりに

最後に、科学との出会いに対する個人的な考えを話して終わります。人生において大切な出会いの多くは、実は自分の周りにいつも転がっているものを、どれだけモノにするかというのが大事だと考えています。その点では、
どれだけ心を素直にもち、出会いを受け入れる準備が出来ているか、というのが、科学との出会いにおける大切なポイントなのだと信じています。

ポッドキャストは、リラックスしている時に何気なく片耳で楽しめるコンテンツです。科学との出会いがほしいのなら、あなたにそっと寄り添うコンテンツを探してみると、良い出会いに繋がるかもしれませんね。

腸内細菌相談室も含め、計14番組が科学系ポッドキャストの日に参加しています。あなたのこれからにとって、重要な科学との出会いが訪れることを願っています!

腸内細菌相談室では、番組に対する感想、質問、リクエストを募集しています。X、Instagram、Applepodcast、Spotifyからいつでもご連絡ください!

ではまた、来週お会いしましょう!ばいばーい。

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