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#198 【便秘集中講義】第3回:どれだけのヒトが便秘なのか。

毎日夜19:30に更新中!腸内細菌相談室。
現役の研究者である鈴木大輔が、腸内細菌にまつわるエピソードをお届けしております🦠

便秘集中講義、第3回の今回は、どれだけのヒトが便秘を患っているのかお話していきます!便秘に関して信頼できる統計は、厚生労働省が公開している国民生活基礎調査の概況です。毎年実施されている本調査の中で、3年おきに行われる大規模調査では、健康や介護、貯蓄に関する項目も調査されています。健康の項目には、便秘が含まれているので、日本における便秘の実態を知ることができます。

では、日本人における便秘の統計を早速見ていきましょう!

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2019年国民生活基礎調査の概況

2023年3月13日時点で公開されている、便秘に関する最新の報告を含んだ国民生活基礎調査の概況は2019年の報告です1)。本報告の中でも、統計表を確認してみましょう。

調査対象は全国の世帯および世帯員であり、国勢調査区の中で層化無作為抽出を経て選ばれた約3万世帯、約8万人です。以下、結果です。

  • 男女総計の便秘を訴える人口比率:34.8%

  • 男女総計の便秘を訴える65歳以上の人口比率:68.6%

  • 男性総計の便秘を訴える人口比率:25.4%

  • 男性総計の便秘を訴える65歳以上の人口比率:64.1%

  • 女性総計の便秘を訴える人口比率:43.7%

  • 女性総計の便秘を訴える65歳以上の人口比率:72.3%

これを見ると分かる通り、日本国民全体の1/3、65歳以上の2/3が便秘です。今や、便秘は全く珍しい状態ではありません。いたってありふれた状態です。また、男女で性差があります。男性全体の1/4が便秘であるのに対して、女性全体の1/3以上が便秘です。高齢化するとこの傾向は顕著であり、65歳以上の男性全体の約2/3が便秘、女性全体の約3/4が便秘になります。

高齢化することで、もはや便秘が多数派の状態になっているのが、現在の日本国の現状です。女性において便秘の割合が高い状況は、"The Lancet Gastroenterology & Hepatology"にも報告されています2)。

ビオフェルミン製薬の調査結果

続いて紹介する調査は、2019年にプロバイオティクス事業の国内大手であるビオフェルミン製薬株式会社が行った、20代-60代までの全国の一般男女1000人に対する、アンケートです3)。

本調査結果の一部を引用します。
(詳しくは、PR TIMESの調査結果ページを御覧ください)

調査によると。女性の約3割は日常的に腹部膨満感を感じ、約3割以上は便秘に悩んでいます。また、男性の16.8%は日常的に腹部膨満感を感じ、17%は便秘を感じていました。原因として感じているのは、第1位が生活習慣の変化で、女性では旅行、男性ではストレスでした。男女ともに、便秘の原因として感じていることは様々なようです。

国民の3割が便秘の今

ここまでの統計を振り返ると、便秘は珍しい状態ではないことが分かります。むしろ、年齢を経て普通になってきます。一方で、便秘のときに腸内では何が起こっているのか説明できる人は少ないと室長は考えています。

小さいけれど無視できない、便秘の悩みに今一度向き合い、理解を手助けするのが、便秘集中講義の目的です。次回は、便秘とはどのような状態なのかお話していきます!

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本日も一日、お疲れさまでした。

参考文献

1) 結果の概要、2019年 国民生活基礎調査の概況、厚生労働省、Access: 20230313, URL:

2) Barberio, Brigida et al. “Global prevalence of functional constipation according to the Rome criteria: a systematic review and meta-analysis.” The lancet. Gastroenterology & hepatology vol. 6,8 (2021): 638-648. doi:10.1016/S2468-1253(21)00111-4.

3) 全国の一般男女1,000人に聞いた「おなかケア」に関するアンケート調査を実施, PRTIMES, Access: 20230313.

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