読書メモ 『錯覚の科学』第二章 記憶の錯覚

クリストファー・チャブリス, ダニエル・シモンズ『錯覚の科学』文春文庫

二章 記憶の錯覚

• 私たちは記憶するときにデータ化せずに意味を引き出す。そして、それを自分が知っているものと関連付ける。それが記憶を取り出すときの検索の手がかりになる。そして、脳は正しく記憶しているものと、自らが作り上げたものを区別できない。

• 人は自分が予期したものを記憶してしまう。被験者に待合室で30秒ほど待たせてから、別室で待合室に何があったか答えさせた。デスク、椅子、本棚などのほかに、そこになかった本やファイル、キャビネットを見たと答えた。実際に記憶したものと記憶したいものが入り混じる。

• 変化の見落とし、目の前で人が入れ替わったり、映画プリティウーマンの中でジュリア・ロバーツが食べているクロワッサンが次のカットでパンケーキになっていても気づかない。しかし、多くの人は、そのような変化は気付けると信じている。

• 被験者に、子供の頃熱気球に載っている写真を合成し、熱気球に乗ったときのことを定期的にたずねた。何度も写真を見せられているうちに、個人的な記憶としてしまう人が現れた。

• 被験者に命に係わる状態になったときの延命治療について選択を頼み、一年後に再び同じ質問をした。23%が選択を変え、そのうち75%が変えたと思っていなかった。

• 学生にチャレンジャー号爆発事故をどのように知ったのかを事故直後にかいてもらい。2年半後に同様のアンケートをとったところ、学生たちの記憶は大幅に変わっていた。ありそうではあっても、実際にはなかったことが混じっていた。そして、記憶違いを認めるよりも、現在の記憶の方が正しいと言い張る学生のほうが多かった。

• 記憶に対する過信から、たんなる他人の記憶違いに意図を見出しやすい。

• 人は記憶の鮮明さと、それが感情に訴える力を記憶の正しさの指針にしてしまう

第三章 自信の錯覚へつづく

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