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【QA】テストの心理学

プロダクトを開発する活動の多くは人によって行われます。担当する役割や状況によって変化する人の心理が、ソフトウェアテストにも影響を及ぼします。ここでは、人の心理がソフトウェアテストにどのような影響を及ぼすのかをご紹介していきます。


人の心理とテスト

ソフトウェアを開発するさまざまな局面で「欠陥を指摘する」ことは、ソフトウェアの品質を向上させるための重要な活動です。しかし、開発担当者など指摘を受ける側からすると、欠陥の指摘は自分への批難と捉えてしまう場合があります。

それは、開発担当者が※確証バイアスの影響を受けやすくなるからです。開発担当者はソフトウェアの内部構造を熟知しており、「自分自身で何度も繰り返し確認して実装したコードは正しい」とか「テスト担当者よりソフトウェアの構造ををよく知っているはずだ」といった考えを持つかもしれません。

※確証バイアスとは
仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと

Wikipedia

したがって、テスト担当者やテストマネージャーは、開発担当者と信頼関係を築するために、次のようなコミュニケーション能力が求められます。

信頼関係を築するために必要なコミュニケーション能力

①対決ではなく、協調姿勢で開始する。全員のゴールは、高品質のシステムであることを再確認する

②テストの利点を強調する。欠陥をテストで検出して修正すると、時間と経費の節約になり、プロダクト品質の全体的なリスクも減る

③テスト結果や他の発見事項は、中立な立場で、事実に焦点を当てて伝え、欠陥を作り込んだ担当者を批難しないようにする。客観的かつ事実に基づいた欠陥レポートを書いたり、発見事項をレビューしたりする

④他人の気持ちや、他人が情報に対して否定的に反応した理由を理解するように努力する

⑤自分の言ったことを他人が理解し、他人の言ったことを自分が理解していることを確認する

テスト担当者と開発担当者のマインドセット

開発担当者とテスト担当者とでは、目的の違いによって活動内容が異なり、活動による経験やシステムへの考え方、アプローチが違います。そこで、各ポジションのマインドセットは、専門性があり相互に能力を発揮することで補完しあい、プロダクトの品質を良い高める効果があります。

テスト担当者のマインドセット

テスト担当者は、欠陥の検出や品質レベルの確認をするために、好奇心を高め様々な探求を行います。その中には、細部を見逃さないよう注意深く観察しようとする批判的な視点も含まれます。悲観的な考えを持ちながら、高い品質レベルという目標を達成するためには、ポジティブなモチベーションが必要です。

それが、開発担当者との良好な関係を維持することに繋がり、ポジティブなマインドセットは経験を重ねることでノウハウとして得られます。

開発担当者のマインドセット

開発担当者の関心事の中心は、顧客の課題に対するソリューションとなるソフトウェアを設計して構築することにあります。これらは確証バイアスの影響を受けることで、作業中に間違いがあっても発見しにくくしています。

開発担当者はプログラムコードの確認や開発成果物の読み返しをするなど、テストやレビューに参加するので、確証バイアスを取り除けるように、テスト担当者のマインドセットも持ち合わせる必要があります。

まとめ

テストと開発は、同じ高品質なプロダクトの開発を目的とするチームでありながら、それぞれの活動には異なるマインドセットが必要になります。チームの目標を達成するためには、お互いの立場を理解することが大切であります。

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