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よくわかる乳化【要領悪いアメリカ留学47】

僕はマヨネーズが苦手です。

僕の親は、食パンにマヨネーズで「Z」を書いて、焼いたトーストを毎朝のように食べていました。
その匂いすらも受け付けられない高校生の僕は、親が朝食を食べる毎朝7時前には学校に向かう生活を送っていました。
あれから15年余り、ハンバーガー屋さんでいちいちマヨネーズを抜いてもらわなくても食べれるくらいには慣れたけど、わざわざ自分では使わないので、家にご飯を食べに来る人に文句を言われたりしている。
僕とマヨネーズにはいまだに明確な壁が存在しています。

大学生の頃、ソナーポケットの「ホントお前で良かった。」という歌をカラオケで流していました。
今思うと失礼な話だが、当時の僕らは歌詞にゾワっとしてしまい、特に「マジ水と油」という部分のインパクトが強く残っています。

生まれた時から、愛知県、名古屋で育った僕は、
初めて神戸に移り住んだ時、(ちょうどコロナ禍が始まったこともあり)都市に馴染めている実感は持てませんでした。
2年過ごしましたが、神戸に友達と呼べるような存在もいなくて、
大学の友達が遊びに来てくれた時も、神戸のことは何もわからないから、住人ツラは全くできず、自分が神戸市民だった実感は皆無でした。
神戸という都市に自我が浮いているようで、夜な夜な川に浮かべてはセルフ灯籠流しを行っていたのでした。

毎晩のように都賀川を眺めていたのはなんだったのだろう

とはいえ、神戸は日本の都市です。
2年前、サンフランシスコに降り立った時、
切符の買い方も分からない、
嗅いだことのない匂いばかり、
スマホも繋がらない(通信規格の問題)、
完全に被害妄想だけど、なんだか、都市に歓迎されていない感じがしていました。
(↑この辺の要領の悪さは、弊シリーズの最初の方で紹介していますw)

マジ水と油
神戸以上に僕はこの街に溶け込めないのだろうか。
目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
を読んではっとしたことがありました。

境界を作っているのは自身であることに。

本書では障がい者と健常者を主軸にしているものの、様々な境界にアプローチしています。

障がい者と健常者、同じ人間。
日本人と外国人、同じ人間。

都市についても、ここは同じ地球上です。
拒まれているようなイメージを作り出してしまったのは、自分自身でした。

ペペロンチーノを作る基本の操作に「乳化」というものがあります。
簡単にいうと、水と油をうまく混ぜる現象です。
ニンニクや唐辛子で味をつけたオリーブオイルに対し、スパゲティの煮汁を加えると、煮汁中のでんぷんやグルテンが乳化を促進し(乳化剤)、オリーブオイルがパスタに馴染むドレッシングへと変化するのです。
乳化剤は煮汁じゃなくても、粉チーズとか卵とかでもOKです。
乳化剤は一つじゃありません。

気がつくと、サンフランシスコ来たばかりの人に対して、
先輩ヅラして、Japan townや中華街を案内している自分がいました。
サンフランシスコの街に僕は溶け込むこと、乳化できたということなのでしょうか?

思い当たる乳化剤があります。
それは「ご飯」です。

サンフランシスコに来て1週間も経たない頃、
スーパーで日清のカップヌードルを見つけてホテルで作ってみました。
知ってるメーカーのラーメンのはずなのに、はっきり言って知らない(美味しくない)味でした。
この時、ご飯に対して些末ながらも絶望感を抱いたと同時に、古くから知る友人に拒絶されたような孤独感に苛まれました(この直後にCOVID-19に苛まれるw)。
その後、家を確保して、日本式のカレーを作ってみました。
「やっと自分の知ってる味に戻ってこれた」
本当の意味で、サンフランシスコに自分のセーフハウスを構えることができたことを実感し、そこから異文化を受け入れる余裕が生まれ、このシリーズで書いて来たように色んな角度からサンフランシスコをじっとり見つめています。

↑なんでこの無茶苦茶なレシピが今でも読まれてるのかよく分からない by アクセス解析


ちょっと前にサンタローザ(サンフランシスコ北部の街)に行ったのが、2度目のゴールデンゲートブリッジ(サンフランシスコのシンボルのでっかい橋)の通過でした。

もっとゴールデンゲートブリッジ先輩ちっすちっすしないとダメかしら?という冗談を思うくらいには余裕が持てています。
きっとサンフランシスコの街に僕は乳化できているはず。

霧がかかりやすいので、はっきり見えない時もある恥ずかしがり屋さん❤️

ここまで、乳化を偉そうに語ってきたが、ミクロの目線で見た時、結局ミセルは分子の膜で区分されてるやないかい、という反論があります。

僕は自分の価値観をアメリカナイズしたいなんて全く思っていません。
同じ頃に働き始めたドイツ人の同僚は、最近、慣れたらアメリカの食事も悪くないと言います。
最初の頃は一緒にパンの不味さについて悪口言っていたのに。。。

当の僕は、パンもそうだし、悪口なんかたくさんある。
治安、物価、季節感のなさ、ご飯etc

そもそもマヨネーズだけでなく、コーラやパクチーが苦手な時点で、アメリカに向いていないのです。知ってましたw
今更、僕とアメリカとの間に存在する膜をどうかしたいなんて、全く望んでいません。

異文化交流に異文化に染まれなんて話はないのです。
別に仲の良い関係である必要はなくて、
でも悪口を言える近しい距離感でいようよ、
ラジオから流れてくる日本のファミレスを思い出しながら、
サンフランシスコにも同じことを思いました。

これが僕とサンフランシスコとの乳化な関係です。

もうすぐサンフランシスコで過ごす3回目の秋、
いいとこも悪いところも、もっと色んな側面を見つけて、このnoteやポッドキャストでリアルを届けられるといいですね。
この場合、嘘はとびきりの愛ではありません。

さて、この「要領の悪い」シリーズも50記事目をもうすぐ迎えますが、サンフランシスコ生活は続きそうです。
もう少しお付き合い頂けると嬉しいです。

僕も聖人になるために、名前を
DMEMちょ」に変えようかと思いました(バイオ系クラスタ爆笑ギャグ)
クソコラ作ってみたけど、似合うかもしれないw

※今回のタイトルの出典 みんな気付いた? 『【推しの子】』有馬かなが愛読する「よくわかる」シリーズが奇天烈すぎる

MEMちょリスペクトのファンアートさ

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