その本、危険ですよ
小説が面白すぎて8日間何も食べなかった男性、大家の通報受け救出―中国
(https://news.livedoor.com/article/detail/17654949/)
というニュースが、1月中頃にありまして。
件の男性は、小説を読み耽って寝食を忘れ、4日目にお腹が空いたことを思い出したときには、はもう立てなかったとのこと。
「で、そんなに夢中になってた本はなんなの!?」
というのがニュースを読んだ人の総意だと思いますが、ニュースでは本の題名は明かされていませんでした。
その! その本が! 知りたいんだってば!!
ニュースが仕事をしなかった(とてもどうでもいい)一例として、わたしの心に深く刻まれた事件でした。
さすがに寝食を忘れたことはありませんが、本を読んでいて電車を乗り過ごすのは、日常茶飯事です。
あと2駅だな、と思って次に顔を上げたときには、2駅先にいたとか。
その日は、お稽古に行くので普段とは違う電車に乗っていました。
新宿駅から、各駅で20分。
途中で大きな乗り換え駅があるので、そこで一回顔を上げて、「まだまだだな」と思ったところまでは覚えています。
運良く席に座れていたこととか、読んでいた本が初めて読む本で、物語にどっぷり浸かっていたとか、いろいろと要因はあります。
ぐいぐいとのめり込むように読んでいて、ふと、「そろそろ2つ手前くらいかな」と思って顔を上げると、ちょうどドアが閉まるところ。
過ぎゆくホームに掲げられた駅名は、見覚えがあるような、ないような、ないような。
おや、これは乗り過ごしたかな……まあ次で降りればいいや。
と思ったら、次の駅まで10分かかりました。
これだから東京の西のほうは。
やばいやばい、お稽古に遅れるわ。
「すみません、15分遅れます」とメールを打ちつつ、急いで反対側のホームに駆け上り、ちょうど着ていた電車に飛び乗って、
ふー……
さて、何駅かな、とドアの上の停車情報を見ると、
「準急」
……あれ?
わたしが降りる駅は、各停駅。
と、言うことは。
10分後、わたしの乗った電車は無情にも降りるべき駅を通り過ぎ、東へとむかったのでした。
ま、過ぎたことを悔やんでも仕方がないか。
仕方がないので、また本を開きました。
次は大きな停車駅です。
大丈夫に決まっています。
(※フラグです。)
一つ乗り過ごして、きっちりフラグ回収しました。
もう新宿に帰った方がいいんじゃないか……という気持ちに苛まれながら、今度こそ各停に乗りました。
三度目の正直、本は開きましたけども、駅に着くたびに顔を上げて、2つ前の駅から本を閉じたので大丈夫でした。
予定から遅れること40分。
わたしは目的の駅へと降り立ったのです。
(完全に遅刻です。)
いやあ、ひと駅ふた駅は日常茶飯事ですけど、こんな体験は初めてでした、さすがに。
そのとき読んでいた本は、というと。
覚えてないんですよねこれが。
どの本だったのか、まったく記憶にございません。
時間泥棒を告発できないことにより、みなさまの安全に貢献できず、誠に申し訳ありません。
でもどうか、電車の乗り過ごしは気をつけてください。
これが出勤時だったりしたら、もう仮病を使って休むしかありません。
冒頭のニュースの男性のように、いつ命の危険にさらされるか、わかったものではありません。
乗り過ごしはともかく、わたしは基本的に食欲と睡眠欲には忠実に生きているので、寝食を忘れたことは今まで一度もありません。
とはいえ、寝る間を惜しむことはよくあります。
特に10年前のあれ……
(10年前という事実に心臓を抉られています。)
その日はちょうど連休で、図書館でシリーズ4冊を読み切るつもりで借りてきていました。
夕方4時くらいから読みはじめ、途中で夜ご飯をはさみ、黙々と読みすすめること数時間。
1巻を読み終わってからお風呂に入り、いい加減寝るか……と布団に入り。
うっかり2巻を開いたのが、命とりでした。
「この章が終わったら寝よう」
「半分まで読もう」
「あと数ページ」
「残り少しじゃん、読み切っちゃおう」
「次の巻の最初だけ」
(無限ループ)
夜がふけ、時計の針がてっぺんを回り、次第に空が白み始めても、ページをめくる手が止まりません。
あとちょっと、あとちょっと、と眠たい体をごまかしながら、最後の巻の裏表紙を閉じたときには、朝の7時でした。
酷使した目に朝日が眩しいこと。
さすがにお腹が空いて、朝ごはんを食べて即おやすみなさい。
数時間の仮眠後、いそいそと本屋に行き、シリーズ4冊を文庫で購入し、ついでに別冊2冊もお買い上げしたのはわたしです。
その日のうちに、別冊2冊も読み終えました。
あれだけの量を24時間程度で読み切ったのは、後にも先にもこのときだけでした。
で、その本は何かって?
有川浩の『図書館戦争』シリーズです。
王道ラブコメ軍隊風味。
シリアスとコメディの緩急がクセになる、軽快なエンタメ小説です。
そんな中毒性のある有川ひろ(2018年からペンネームが変わったそう)の最新刊、『イマジン?』は今年1月に出たばかり。
先日ようやく届いたので、これから読みます。
次の日も仕事なので、夜更かしをしないことをここに誓います。
誓いますってば。
『図書館戦争』はAmazonでもhontoでも。hontoには電子版もあります。
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