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【レポートメモ】長野県千曲市ふろしきやワーケーションの取組み(田村さんver)

いろいろと全般動向とかマクロ目に見ている一方で、局地的な取組みとしてケースにしたいなと考えていた千曲市のワーケーション事例。キープレイヤーの「ふろしきや」田村さんと参加者の社会学者の伊藤さん(次記事予定)という方のレポートを2本読んだのでざっとメモしておきたい。

田村さんのレポート(都市とガバナンス)

田村英彦「現場から感じるワーケーションへの期待と拡がり」、『都市とガバナンス』Vol.36、2021年9月、日本都市センター

直リンはこちら↓

https://www.toshi.or.jp/app-def/wp/wp-content/uploads/2021/10/reportg36_3_4.pdf

印象に残ったところ

  • 様々な人がコワークすることの価値がある。

  • 仕事もプライベートも溶け合った環境によって「自然体での振る舞い」が現れる。そのことで、違う人同士への興味が芽生え、深く多面的なつながりが生まれる。→「ワーケーションまちづくり」の可能性。

  • 千曲市の実践。2019年に千曲市が主催後、2020年からは協力会社である「ふろしきや」の主催、行政がサポートという体制に変更。

  • 2019年時点では千曲市内にコワーキングスペースがなかった。まちなかを働く場所として位置づけて、滞在が快適な場所(棚田とかゲストハウスとか河原とか)を全てワークスペースとして活用。まちなか回遊式コンテンツとして昇華した。

  • ワーケーションがノマドワーカー的な自由な働き方という要素から→働き方が柔軟な企業の「テレワークエリアの拡大とスムーズな休暇への移行」という福利厚生的なもの→複業的な働き方での活用や、企業の生き残りをかけた新規事業創出やイノベーションを目的とした交流ニーズ、などなど展開してきている。そしてコロナ禍によってテレワーク促進が背景に。

  • 千曲市のワーケーション参加者も個人から中小、大企業の社員や経営者、そして新規取組みの視察も兼ねた公務員も入り、属性が多様化している。

※属性のデータ例として田村さんの別レポートのこちらがある。
http://furoshiki-ya.co.jp/projects/wp-content/uploads/2020/12/2233f51a6de8455f2934b640ef2a73cd.pdf

  • ワーケーションとはなにかという概念を超えて、非日常的な環境で働き、普段とは違う人や地域との出会いを味わう働き方自体の良さを体感し、新しい働き方のメリットが広がることとなる。

  • 普段自由な働き方に触れていない観光関係者や行政、農家の人たちが場所にとらわれず自律心を持って働くノマドワーカーの姿を見ることは刺激になり、自分自身の働き方を考えるきっかけになる。それが、相手の仕事内容や人間的な興味関心に繋がり、人が交流する原動力になっている。

  • ワーク+バケーションも紐解くと「ビジネスとプライベート」が混ざり合うことであり、社会人と一個人、仕事と趣味などの垣根を超えて、自然体で人が交流する舞台をつくりだしている。

  • ワーケーション受け入れ側が民間・行政と継続して協働し、来訪者側にもメリットある場をつくるポイントは「出会い」「学び」を中心にすることと考えている。

論文p50より


感想メモ、示唆

  • お試し移住という施策は以前からあったが、仕事に紐付いたワーケーションとすることで、間口が広がるのだろうなと感じた。

  • 前から感じていたが「学習」を介在することで、地域への理解促進や問題意識が湧いたりするという「意識化」が起こる点はプログラムデザインの妙なんだろうなと思った。田村さんは自覚的でやはりなと。

  • 千曲市の取組みは、一過性でなく常に可変的で進化している点が特徴的だと考えられる。ほかでもそういうことがあるかもしれないが、事業者側の資源推し(ゴルフだとか温泉だとか風光明媚さやアクティビティ「のみ」を売りにしているケース)ものに比べると、地方創生的であり、関係人口創出的である。だからこそ研究対象にしたいわけであるが。

関連リンク

次記事でまとめ予定:伊藤さんのレポート(自前メディアでのレポート)

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こちらのレポートは、参加体験レポートであり、アンケートで参加者の声も拾っている。意識調査や動向の統計はあるけど参加者の体験を量的にもとっているのは意外と少ないから貴重かと。




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