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【六寸刻文皿】の道行#12「百果」

こんにちは。上出惠悟です。

そして六寸刻文皿は焼き上がりました。難なく無事に。

じゃん

これまで道行の購読されている方以外には伏せていましたが、「六寸刻文皿」は「六寸百果刻文皿」のことで、既に販売している「八寸百果刻文皿」の二回り小さなお皿つくり(開発)の工程を約5ヶ月に渡ってお届けして来たのでした。

焼き上がりはなかなか良く、八寸同様レリーフが美しく浮かび上がっています。2枚を重ねてみますとこんな感じになります。六寸皿は使い勝手が良く、あれやこれやと、何を盛り付けようか楽しく想像を膨らませることができます。

果物というモチーフは、実がたわわに連なっていたり、落ちた実から新しい芽が出たりと生命や子孫繁栄の象徴的な文様として古来より多く描かれて来ました。その代表格が東洋では柘榴であると思います(世界でもそうかも)。

柘榴は石榴とも書きます

ご存知のように、赤い水晶のような実が硬い皮に守られるようにたくさん詰まっている柘榴。その様子から子宝の象徴になったのは想像に難くありません。柘榴には沢山の美しい生命が詰まっているようです。

そしてもう一つは桃。桃は邪気を払い、不老長寿の仙果として親しまれました。西遊記など多くの物語にも登場します。日本でも古事記で(自らの死体を見られて激昂した)イザナミに追われたイザナギが桃を投げてこれを退散させましたし、桃から生まれた桃太郎が鬼を退治するお話は誰もが知っています。この二つの物語は桃が邪気を払うと古くより信じられていたことを伝えています。

日本ではほとんど見ることはありませんが、絵柄として多く描かれている逆ハート型のイメージを採用

そして柘榴と桃と並んで陶磁器にも多く描かれているのが、葡萄です。

葡萄は柘榴同様にたくさんの実をつけ、更に蔦を広げるので子孫繁栄の象徴とされ、同じく子をたくさん産むリスと共に多くの文様として九谷焼にも描かれています。西洋では林檎が禁断の果実として神話にも登場するなど、やはり多くの国にとっても果物は特別なモチーフです。瑞々しさの象徴として私自身も果物は大好きで、ちょうえもん招猫の前掛けにも描いています。

六寸百果刻文皿に描いた果物を列記してみました。

八寸百果刻文皿から4種類の果物を減らしています。当ててみてください。

さて、ここまで読んでいただいた方に大切なお知らせがあります。

一つ目は、いよいよ開催直前の「第15回上出長右衛門窯 窯まつり」でこの六寸百果刻文皿を販売します!!

チケットはまだまだありますので是非皆様遊びに来てください。

今回はとりあえず現地だけのプレ販売となるので来られない方は済みませんが、もうしばらくお待ちください。

かっこよく撮ってみました(笑)。

さて、今回は特別に無料で読める範囲を広くしてお届けしましたが、ここまで読まれた方は如何でしたでしょうか?六寸百果刻文皿がどのような思いを元に生まれたのか、どのような開発工程を踏んで来たのか、気になった方は是非ご購読いただき第1話から読んでみてください。きっと九谷焼をもっと身近に感じてもらえると思います。

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