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若手コンサルは【手触り感】のある中堅・中小企業の改革事例をインプットするのがオススメって話

どうも、外資系うさぎのちょこさんです。

ちょこさんはよく、読んで特に感銘を受けた本を紹介したり、セール中のビジネス本などを絨毯爆撃かのごとく紹介したりしています。

その中で、特に一貫して発しているメッセージのひとつに、「若手コンサルは中堅・中小企業向けのコンサル事例本を読むのがいいよ」ってのがあります。

そのなかでも、中堅・中小企業向けの支援に強みをもつ船井総研さんの本を取り上げることが多い感じなんですよね。

こんな感じのやつです。

そうやってちょくちょく船井総研さんの本を紹介していたところ、船井総研の中の方から「新刊出ました!よかったら既刊と一緒に送るので読んで、どうぞ!」と本を4冊ほど寄贈いただいた次第でして。

せっかくなので、特に若手コンサル向けに、こういう本をどういう観点で読んでいくとよいのか、というのをこの頂いた本をベースに解説していこうと思います。

いやぁ、ちょこさんも長いことオンライン上でコンサル界隈のアレコレについて情報発信を続けているのですが、こうやって大手ファームの中の方から直接ご連絡いただけて、しかも本まで頂けてしまうとは、何というか本当に感慨深いですね…。

船井総研の御社、ありがとうございます!



(補足)船井総研ってどんなファーム?

念のため、船井総研ってどんなファームなのか補足説明を入れておきますね。

コンサル業界で働いている、コンサル業界を目指している各位にはご存じの方も多いと思いますが、船井総研は日本の中小企業の支援に特に強みを持つ独立系の上場コンサルファームで、年間5,000社以上の中小企業にコンサルティングサービスを提供しています。

中小企業は大企業と異なり、時間をかけて戦略策定や施策立案などを進めていく時間的余裕や金銭的余裕がないことがほとんどです。

商品開発や営業手法の改良と成長支援、人材開発や事務効率化などの組織/事務改革支援など、短期間で確実な効果が期待できるような施策を、限られたリソースのみで対応していく必要があります。

船井総研では、そのような中小企業を、特定業種の専門家である経営コンサルタントが定期的に訪問し、テーマを問わず長期的な課題解決を伴走するスタイルを取っています。

これは、プロジェクトごとにデリバリーチームを組成し、アサインされるコンサルタントもおのずと戦略立案、業務改革、コスト削減などの特定テーマへの専門性が強くなっていく、大企業をクライアントとする大手(特に総合系)のコンサルファームのそれとは対照的なものになります。

これはどちらが良い、どちらが優れている、というものではなく、長距離マラソンと短距離走の違いのように、似ているけど全然違う種類の競技である、と捉えるのがよいと思っています。

コンサルファームが出版/監修している本を読むときは、「どんな種目の競技を専門としているファームが出した本か」という背景情報にも着目し、出版に関わったコンサルタントたちの日々の仕事の仕方に思いを馳せてみると、また違った視点からの気づきを得られるんじゃないかと思います。

著者を理解すること、って大事ですからね。


◆ステマ規制に関する補足

本題入る前に大事なお話で、2023年10月より、新しくステルスマーケティング規制が施行されています。

特に宣伝を目的として提供いただいたサンプル品という位置づけではないので、受け取ったちょこさんが一方的に感想を公開する分にはセーフらしいのですが、「献本」という形で物品を頂いているので、そこは明記しておきたいと思います。

というわけで、今回は船井総研様のご厚意で寄贈いただきました書籍に対して、ちょこさんが一方的な書評をする、というテーマのnoteになります。

そのあたり、何卒ご了承してから読んでいただけると嬉しい感じです。



さて、本編入る前にいつものコピペです。
この記事も有料設定していますが、全文無料で読むことができます。もしいいねと思っていただけた場合は、ちょこさんの大好物のおいしいチョコレートを一粒調達するための費用としてカンパいただけると大変うれしいです。

では、本編をどうぞ。



◆なぜ、若手コンサルは「中堅・中小企業の事例」をインプットするとよいのか


- そもそも、どういうときにどういう本を読む?

ちょっと大きめの本屋さんに行くと、大企業/中堅・中小企業問わず、事例紹介本って本当にたくさん並んでてどの本から読み始めればよいかわかりづらいですよね。

流行りのテーマや、特に大きな効果を上げたソリューションの導入事例など、「事例そのものを知識としてインプットしたい」という時には日経系メディアが大手戦略系/総合系ファームの監修のもと出している特定テーマのムック本を読むのがちょうど良い感じです。

クライアントからいつどこで「最近どういう業界でどういうソリューションが流行ってるんですか?」なんて質問を受けるかわからないので、まずはこういう総論的な本で要点を抑えておくのがセオリーだったりします。

一方で、より解像度の高い、プロジェクトの現場がイメージできるようなインプットが欲しい場合は、特定企業の特定事例にフォーカスを当てた各論的な本を読むのが効果的です。

ただ闇雲にインプットしようとするのではなく、目的を踏まえた効果的な本を選択できるようになることを目指しましょう。


- 中堅・中小企業の事例は、組織や業務プロセスがシンプルで、若手コンサルでも具体的なイメージを持って読み進めやすい

今回のテーマの本質はここです。

何事も、最初から風呂敷を広げすぎないで、まずは自分の手に負えるサイズからスタートするのが鉄則です。

大企業の事例だと、組織が必要以上に大きかったり、出てくるシステムが複雑すぎたりで、具体的なイメージを持ちづらいというデメリットがあります。

それが中堅・中小企業の場合は、会社のサイズに比例したシンプルかつコンパクトな事例が中心で、理解のためのハードルが相対的に低くなるのです。

そのため、紹介されている企業が実際にどのような取り組みを、どのような体制で、どのように進めていたのか、をより高い解像度で理解できるようになります。

こういうのを、「手触り感や「現場感といった言葉で表現することがあります。

そうやって、プロジェクトの現場をイメージし「自分だったらどう動くか」と考え、追体験しながら事例をインプットすることで、経験不足を補う活きた知見を身に着けることができます。

似たような観点で、中堅・中小企業のバックオフィスBPRをテーマとした本なんかもおすすめですね。

そのような業務の実務経験を積めないコンサルタントにとって、いかに解像度の高い「手触り感」のある知見を得るか、がパフォーマンスを高めるためのキーとなります。

というわけで、今回いただいた船井総研さんの本、どういう読み方をしていくのが効果的なのか見ていきましょう。

◆このビジネスモデルがすごい!1/2

- どういう本?

「グレートカンパニー」という、船井総研が提唱する概念をもとに「日本の中小企業の経営者がこれからの時代、どのような経営を目指すべきか。このような時代に元気な経営を推進している企業にはどのような特徴と戦略、ビジネスモデルがあるのか、これらを解説する」ことを目的として、グレートカンパニーアワードを受賞した企業の取り組み事例(1巻:8企業、2巻:7企業)が詳細に紹介されています。

なお、グレートカンパニーに必要な条件は以下の5つであるとのことです。
・持続的成長企業であること
・熱狂的ファンを持つ、ロイヤルティの高い企業であること
・社員と、その家族が誇れる、社員満足度の高い企業であること
・自社らしさを大切にしていると思われる、個性的な企業であること
・地域や社会からなくてはならないと思われている、社会的貢献企業であること

取り上げられている企業を取り巻く業界全体の課題、理念やビジョン、ビジネスモデルなど詳細に語られているので、取り組みの背景や企業の思いなど、まさに「手触り感」を得ながら事例をインプットできるのが大きなメリットですね。


- ここが特に注目したいポイント

いきなり1巻目の最初の事例なのですが「北海道を拠点とする、農業分野の税務申告代行に特化した従業員130名ほどの企業が、自社開発の会計ソフトを活用し低単価x高収益のビジネスモデルを作り上げた」という事例です。業務改善系の書籍などではなかなか見ない、驚きのある組み合わせだと思います。

取り組み詳細についてはぜひ本書を読んで確かめてみていただきたいですが、自社クライアント(農業経営者)にどのような働きかけをし、どのような視点でクイックウィンなIT化を進めてきたか、ここまで書いていいんだ!というくらい、詳細に解説されています。

幅広い業種の企業が登場しているのも、知識の幅を広げるという観点でとてもありがたいことですね。
2冊合わせて計15企業になるのでなので、まずは一定量を手早くインプットして、俯瞰的な理解を形成するのにちょうどよい分量だと思います。

各事例の紹介が一貫して同じ構造でなされているので、体系的かつ容易に比較可能な形で読み進められるのもポイントですね。

ただし、これらの事例はかなり個別具体的なものので、ここで得た知見を即どこかに適用できる、というものではないことには注意が必要です。
とはいえ、着眼点や取り組みの進め方など、学べる点はとても多いと思います。

※1巻目は以前kindle版を購入していたのですが、その後改訂などもあったとのことで、お言葉に甘えて2冊目として一緒に送付いただきました。
KindeにはKindeの、紙には紙のよさがそれぞれありますからね。


◆90日で業績アップを実現する「ローコードDX」

- どういう本?

クラウド業務アプリケーションであるZohoを活用し「90日での業績アップを実現する」をテーマとした15の導入事例や、ローコード・ノーコード開発のガイドなどが解説されています。

冒頭で触れたように、中小企業の改革では、極力低コストで、確実な成果を、可能な限り早期に実現させることが必要です。

そのために、比較的安価なクラウドソリューションを、カスタマイズなしで、もしくは最小のカスタマイズで実装してくことが効果的です。

「特定製品推し」という印象を受けてしまうことは否めないのですが、中小企業支援に特化した再現性のあるソリューションを作ろうとしたときに、汎用的かつ低コストで導入できる製品があればその製品を主軸にしてしまう、というのも合理的なことではあるので、まぁそういうものか、という感じで読んでいくとよいと思います。

ちなみに、船井総研では約750名のコンサルタント全員にこのZohoのアカウントを付与し実際に運用しているそうです。
力の入れようが伝わってきますね。


- ここが特に注目したいポイント

一見すると、Zohoという製品のすばらしさ、というところに目がいきがちですが、ここもやはり相対的にシンプルな中小企業の業務プロセスを題材に、具体的な効率化の事例を理解しにいくというのがポイントですね。

例えば、売上を分解した案件数  x 受注率 x 平均単価、セールスプロセスを分解したステップ単位など、どの要素にどのようなソリューションを適用してどのような効果を狙っていったのか、という取り組みの詳細が解説されています。

全社レベルでのビジネスモデルの在り方、といったテーマと比べると、粒度が数段細かい話にになるので、「この領域の業務プロセスはこのような手法で効率化することが可能」という、類推的な横展開が可能な具体事例として頭の引き出しに入れながら読むのが良いですね。

ここまでくると「Zohoというソリューションがないと実現不可能」という話ではなくなります。

あくまでテーマとしてはZohoの活用事例となるのですが、そこから一段階抽象化して「個別具体的な業務の改善手法」として認識する、そういう本の読み方ができるとインプット効率が格段にあがります。

そして、その一段階抽象化した知見を、今度は一段階具体化しなおし、自分が担当する業務改善プロジェクトの仮説へと落とし込んでいけばよいわけです。

こういう考え方ができると、アウトプットの効率も上がります。

ぜひ試してみてください。




◆地域コングロマリット経営

- どういう本?

今回ご紹介する最後の1冊です。

先に紹介した3冊はかなり具体的な事例の紹介本だったのですが、この本はかなり抽象的な、船井総研が提唱する中小企業がとるべき戦略の構想解説本です。

コングロマリットとは、市場的、技術的に関連を持たない複数の事業を経営することを指します。
EC事業から始まり、銀行、保険、電力、スポーツ、モバイル通信など、既存事業と関連しないあらゆる事業に手を広げてきた楽天をイメージするのが分かりやすいと思います。

それを地域に根差した中小企業が目指し推し進めていくことで、持続可能な成長を達成しつつ地域活性化を実現し社会課題の解決に貢献する、といった非常に壮大なテーマです。

こういった壮大なテーマでも、例えば楽天にフォーカスをあてて解説してしまうと、その事業が大きすぎるせいで、どうしても理解のハードルが上がってしまうので、事業、組織、展開地域などが限定的な中小企業を題材とした解説を読むのが合理的だったりしますね。

もちろん、大企業の動向を俯瞰的大局的な観点からイメージできるようインプットする、という目的であれば別ですが、今回は若手コンサルが「手触り感」のあるインプットを増やすにはどういう本を読むとよいのかというテーマのnoteですからね。

何事も、目的によって手段を使い分けるのが大事ということですね。


- ここが特に注目したいポイント

ここからは視点を切り替えて読んでいきましょう。

先ほどまでは「取り上げられている企業が、どのような目的でどのような姿を目指しどのような取り組みを行ってきたか」つまり、明確なWhyやWhatが提示されている状態でHowを理解するという要素が強い事例解説本でした。
いわば、過去を追体験するように読む本ですね。

そして、戦略や構想を解説するような本では「どのような目的のためにどのような姿を目指すべきか、それを実現するにはどのような取り組みが必要と考えられるか」つまり、WhyやWhat自体を明確化しにいく、そのための必要なHowを考えていくという要素が強いものになります。
こちらは逆に、未来をイメージするように読む本と言えますね。


このnoteを読んでいるのは、おそらく大手の総合系ファームを目指している/すでに働いている方が多いのではないかと思います。

普段はあまり触れることのない中小企業を題材として物事を考えてみると、よりシンプルに、「本質とは何か」ということに深く向き合うことができるんじゃないかと思います。

いや、ほんとに、単に本を読むだけでなく何を目的としてどう読むとよいのかというところまで考えられる、渋いチョイスの良い本を送っていただいたんだな、と思いました。




◆今回のあとがき

と、いう感じで、なかなか濃いめの書評noteになりました!

本を読むのって単純に楽しくはあるんですけど、目的に応じて読み方や着眼点を変えることで、読んだ本から得られるものが全然変わってくるんですよね。

世の中、いろんな読書術やテクニックが紹介されているので、このnoteを読んでいただいたみなさんも、ぜひ「自分なりの本の読み方」はどんなものか考えて、それをアウトプットしてみるのはいかがでしょうか。

インプットとアウトプットは常にセットにしてサイクルを回していくのが大事ですからね。
読んだら何かしら動くと後できっといいことがあるはずです。


ご意見、ご要望、取り上げてほしいテーマのリクエストなどはこちらからどうぞ!


ではまた次回!

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