見出し画像

記録する36

すごくゾクゾクした。

今敏監督の作品である「PERFECT BLUE」を観た。ずっと鳥肌が立ちっぱなしだった。今敏監督の「パプリカ」と「千年女優」をミキサーでドロドロに混ぜたような作品だなと思いながら観ていた。

「パプリカ」は現実と夢との境界線が曖昧になるような話だった。「千年女優」は過去の出演作品と現実の境界が交わっていく作品だった。その両方を持っていたのが「PERFECT BLUE」だと感じた。

今が夢なのか現実なのか。演技なのか本物なのか。周りの意見なのか自分の意見なのか。様々な二項対立の存在があり、その境界が交わっていく。目まぐるしく場面転換もあり、その世界に鑑賞者も引き込むような演出が多かった。こういった没入感を生み出す作品は今敏監督の映画ではよくあり、そして上手くできている。

これは「エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス」の時も感じたゾクゾク感と似ている気がする。様々な場面転換の中で話が進んでいき、着々と現実が過ぎ去っていく。「エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス」は全ての世界がある意味で繋がっていた。「PERFECT BLUE」ではあくまで現実の世界とそうでない世界が繋がっている作品だった。

その違いはかなり大きいなと思う。全ては繋がってなさそうで、実は繋がっているのが最近の思想かもしれない。20年前はきっと繋がっているか繋がっていないかは不明瞭だったのだと思われる。

何をしているのか。なんのためになるのか。何が人なのか。何が現実なのか。合目的的とは一体なんなのか。そのあたりの明確な回答をしないのが今敏監督の作る作品のいいところでもある。

あらゆるカオスのなかで、問題は解決しないし、上手くいくわけでもないけれど、それでも生きていくような感じがする不思議が人生にはあるのかもしれない。

私が生きることができるようになります。