読書:瓶詰地獄

夢野久作の瓶詰地獄を読んだ。海洋研究所が拾った三つの瓶の中に入っている雑記帳の切れ端に書かれていた文章で構成された書簡体小説である。

文章の書かれた順番がどの順番なのかがわからないことでよく議論されているこの作品。夢野久作が好んだ書簡と地獄の組み合わせがさ夢野久作の瓶詰地獄を読んだ。海洋研究所が拾った三つの瓶の中に入っている雑記帳の切れ端のようなもので構成された書簡体小説である。

文章の書かれた順番がどの順番なのかがわからないことでよく議論されているこの作品。3つある瓶の内容をどの順番で読んでも矛盾が生じてしまうため順番を決定することができない。改訂を繰り返しているが矛盾した文章が書き換えられることはなかったため、意図して矛盾点を残しているのだろう。この文章を読む際は色々な順番で読んでみて、その際に出てくる矛盾点や不可解な点を探してみるとより楽しめるかもしれない。

また、この作品は旧約聖書のアダムとイブがモチーフであると考えられている。たとえば、太郎とアヤ子が聖書を焼いたことは、おそらくアダムとイブが禁断の果実を食べたことに当てはめることができる。聖書を焼いた結果、太郎とアヤ子は小舎を失ってしまう。これもまた失楽園と似ている。このように、登場人物の行為や登場してくる物がどのような意図で書かれているのかを考えながら読むのもこの作品の楽しみ方の一つであるだろう。

参考文献
大島梢. (2013). 聖書の役割から読み解く 「瓶詰地獄」. 立教大学日本文学, 110, 112-127.

私が生きることができるようになります。