少女地獄:火星の女

今回は少女地獄の「火星の女」についての感想を記す。少女地獄に入っている三編の中で個人的に一番好きであった。

概要
新聞記事の形式を用いて話は語られていく。冒頭は女性の焼死体が女学校から発見された記事から始まる。その後、事件の捜査が進むにつれて女学校関係者が怪奇な行動をしていき、その真相が最後の手紙で明かされるようなものとなっている。

感想
最後の手紙で真相が明かされる話の仕組みは、夏目漱石のこころに似ており、序盤で読んでいた謎が後に明かされる感覚はとてもよかった。少女の死因やなぜ死んでしまったのか、女学校職員の発狂とはなんの関係があるのかを考えながら読むと楽しいだろう。殺人リレーと同様にこの話でもある少女が嘘をつく。嘘をつくという行為は10代の女性が起こしやすく、その嘘によって破滅を生むのかもしれない。10代を過ぎても嘘をつき続けるとそれは癖となり、嘘の上に嘘をつくような虚構に満ちた世界を作り上げてしまうだろうが、それはまた別の話である。

私が生きることができるようになります。