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将棋AIは嫉妬するほどに完璧なコンサルタントである

藤井2冠が誕生して将棋界への注目が集まり、様々な関連記事が上がっています。3月のライオンからの業界知識しかない筆者も、様々な視点を知ることができ、楽しい限りです。

そんな中、将棋AIの進化に関して知れば知るほど、これは理想的なコンサルタントであると羨ましく思うわけで、今回はそんなお話。

コンサルタントの武器

コンサルタントの武器は2つで、1. 状況の整理能力と、2. 状況の伝達能力です。誰しもが理解に苦しむ不確実な状況を、本質を捉えつつ簡素化し、それを他の人が理解しやすい形で伝える能力が求められます。

フレームワークは状況の整理や伝達を助けるツールです。複雑な事象を特定の視点から枠にはめ込み、枠にはめ込んでいるからこそ分かりやすく多くの人に伝えることができるようになります。

また、誰かに伝える時には、客観的な数値に落とし込むことも必要です。質的な表現では様々な解釈を生んでしまう事象も、量的な表現をすることにより比較が可能になり、話の内容を適確に伝えることができるようになります。

コンサルタントの信頼

一方で、コンサルタントの見落としがちな事として人の心があります。最終的には、人に動いてもらうことがゴールなのですから、どんなに上手に整理と伝達を行なっても、人心を動かすことができなければ目的は達成できません。

人心を動かすためには信頼が必要です。それは圧倒的な実力に拠るものでも、コツコツと積み重ねたものでも構わないのですが、まずは「この人の言うことは聞く価値がある」と聞く人に思ってもらうことが前提となります。

信頼の醸成には、やはり実績です。しっかりと実績を上げている人の言うことは信頼されやすくなるわけで。ニワトリと卵ではありますが、小さな実績が信頼につながり、やがて大きな実績へとつながるというのは何においても同じです。

現在の将棋AIは武器と信頼を兼ね備えている

将棋AIに強烈な嫉妬を感じる理由は、このコンサルタントに必要な武器と信頼を完璧に兼ね備えていることにあります。

コンサルタント視点での将棋AIのアドバンテージは、今まで素人には全く理解ができなかった一手の価値を、客観的に説明できることです。

例えば、棋聖戦における「将棋AIが6億手を読んで出した最善手を23分で導出」というのは誰しもが非常に分かりやすい強力なメッセージです。

「6億手」は途方もない程の選択肢の中から選ばれた一手であることを、「23分」はその途方も知れない選択肢を極めて短時間に導き出していることを分からせてくれます。

このように、これまでは素人には全く理解することの出来なかった一手を、「深みと速さ」というフレームワークに落とし込むことで、圧倒的な伝達力を生み出していることが将棋AIのすごいところです。

もう一つの重要な要素は、将棋AIの持つ信頼です。先ほどの「6億手も読んだ」は、将棋AIの能力を皆が分かっているからこそ、成り立つステートメントです。

2016年辺りから将棋AIにはプロ棋士でも勝つことが難しくなってきていることは広く知れ渡っています。この「将棋AIは強い」という信頼が、「その将棋AIが6億手読んだ」という事実を、価値のあるものにしています。

長年を掛けて磨き上げられてきた品質と、その結果としての実績。それが将棋AIへの信頼となり、その判断の重みを増しているのです。

まとめ - 武器と信頼を磨くこと

このように、将棋AIはその問題整理の鋭さ•分かりやすさ、そして実績に基づく信頼の観点から、コンサルタントとしては憧れる程に圧倒的だと感じています。

その武器と信頼は長い時間を掛けて培われてきたものです。まさに、日々の積み重ねによって得た力というわけです。

自身も、少しでも武器と信頼を磨き、将棋AIのような成長を実現していきたいと改めて願うニュースでした。

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