目に見えているものが課題とは限らない
課題だらけの毎日です。
神よ。変えられないものを受け入れる力を、変えるべきものを変える勇気を、そして両者を区別する知恵を与えたまえ。
アメリカの神学者・ラインホールド・ニーバー
『ニーバーの祈り』とも呼ばれています。第二次世界大戦時にこの言葉の記されたカードが配られたエピソードで有名です。
この変えるべきもの、変えざるべきものを区別することは、まさに神に願いを請いたくなるような知恵です。
何を変えるべきか、変えざるべきか。その判断は、簡単なものではありません。
営業標準化のお話
「人によって営業スタイルが違い過ぎるため質にばらつきがあり、それを標準化によって底上げしたい」という課題のプロジェクトの話を昔聞きました。
ぱっと見ると営業改革のお話ですので、人によって何が違うのかを分析し、良い要因・良くない要因というもの洗い出すことが必要になりそうです。
また、そこから営業の標準化を実現するためのツールやシステムを導入して、営業の皆さんに使って頂くことがソリューションになりそうな課題です。
一方で、このプロジェクト、始まってすぐに、あまりに営業の方の個性にばらつきがありすぎる、と言うことが分かったそうなのです。
そして、営業の方の品質のばらつきの問題は、営業職の採用の段階からどのような人を採用するかの方針が決まってないことが分かったのです。
そこからさらに、その採用方針が決まっていないのは、実は会社としてのコーポレートアイデンティティーが定まっておらず、各部門の方針がバラバラだったということが分かったというお話です。
ツールを入れても焼け石に水であり、根本的な解決としては、コーポレートアイデンティティーの確立が必要だったのですね。
営業標準化のお話ではあったものの、それを解くためにはもっと大きな課題を解くことが必要だったというお話です。
ただ、その後どうしたんだろう…?
根の深い根本課題
このように、目に見えている課題に対して対応をすることが、実は何の対策になっていないということは往々にしてあるものです。
目に見えている課題は、もっと深い根本課題から出てきた課題であって、それを解かないと永遠に解決しないという種類の問題です。
例えば「noteを毎日書く」という目標を立てて、それに対する対策を考えるとします。
そのために、良いパソコンを買って、 文章の書き方を学んで、 早く書けるように音声入力まで取り入れる。とても素晴らしい事だと思います。
一方で、noteを毎日書くためには、以下の式から考えることが必要なのです。なお、アウトプットの質の議論は今回は除外。
書き上がる量 = 投下時間 ÷ 書くスピード
すると、書くスピードの向上を図っても、絶対的な投下時間が足りない場合には、書き上がる量は生まれてきません。
そして、この投下時間を増やすためには、noteを書くことの優先順位を上げる必要があります。
ただ、我々は既にnoteを毎日書かずに24時間過ごしているわけなので、何かを止めることが必要になるのですね。
そうするとそれは価値観の問題であり、何を止めて何を続けるかという意思決定の問題になります。
その中で、書くスピードだけを上げても片手落ちということです。
このようにnoteを毎日書くという簡単なお題でも、そのためには優先順位や価値観を変えるというような、根深い問題が出てくるものです。
課題を解くって本当に大変。
解ける課題認識にしか意味は無い
そして、ニーバーの祈りにもあったように、変えられないものを受け入れる力も必要です。
結局、解ける課題の認識にしか意味がないのです。 文化や、社会や、組織全体を課題と認識しても、それは自分としては解決することができません。
そのため何を「環境=変えられないもの」として、何を「手段=変えられるもの」として、認識するかというのも実はとても大切なことなのです。
一方で諦めるのはまだ早いもの。この環境というのは、自分の成長にしたがって次第に手段なっていくのです。
自分が成長することによって、それまで変えることができなかった環境が手段になり、自分の解決可能な課題の範囲が大きくなる。
それが成長であり、社会的な成長という意味では出世です。
自分がやりたいこと、守りたいものがあるならば、やっぱり成長して、強くなることが必要なのです。
出世と言うと毛嫌いされがちな言葉ではありますが、そんな考えを持って出世を目指しても、また良いのではないでしょうか。
正しいことをしたければ、偉くなれ
踊る大捜査線・和久さん
ではでは。
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課題の発見から意思決定までの過程を、技術的に説明してくれる入門書であり到達点でもあるような本です。定番のMECE思考、ロジックツリーといった思考法から、ゼロベース思考といったマインドセットも具体例と共に教えてくれます。課題解決は、やっぱり難しいけれども面白いものです。
<このnoteを書いたしょこらはこんな人です>
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