恋愛経済学 - 想いはすぐには忘れない
何故か分からないのですが、恋愛の女神が月一で降りてきます。
昔付き合った人との想い出が忘れられない、そんなことありますよね。日常でふと思い浮かんでしまったり、いけないと思いつつも比べてしまったり。
こんなところにいるはずもないのに。向かいのホーム、路地裏の窓、交差点でも、夢の中でも。どこかにその姿を視てしまうわけです。
少し美化された想い出と共に、その人との顔を思い浮かべる。淡い気持ちと記憶として。
こんな気持ち、経済学が分かってくれるはずがない。そう思いませんか。
いえいえ。今回もご用意して御座います。その素敵な気持ちを理解してくれる経済学の理論を。
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恋愛は気持ちを多く使うものです。頭の中の気持ちを有限と考えることが若干無粋ですが、まぁ説明のため一旦頭の中で100考えられるとしましょう。
付き合っているうちには、その大半を使ってしまうのではないでしょうか。仕事なんて手に付かない。もう頭の中はその人と過ごす事で一杯です。
100あるうち、80ぐらいはその人のことを考えています。あとの20はもうオマケ状態です。最低限。ミニマム。
連絡が来るだけで嬉しくなったり。次に会う時には何を着ようか考えたり。季節が変わる毎に、どこに行こうか考えたり。忙しすぎます。
自分でも、こんなに色々と考えられるものなのだと驚きますよね。その人のことだったら、いくらでも考えられるわけです。
ただ、現実は厳しいもの。二人の仲を裂こうとする要因は、今の世の中あまりに多すぎます。
自分の人生とその人。どちらを優先するのかの選択を迫られたり。理不尽な理由で会えなくなったり。お互いの夢を優先したり。
諸行無常。そして別れの時がやってきます。永遠に続くと思っていた関係も、実は時間制限付きの、儚いものだったのだと気付くのです。
そしてやっと理解します。一緒にいられた時間がどれだけ大切なものだったのかに。何故あの時に、あの言葉を言ってしまったのか。言えなかったのか。
「もしも」があるなら、もう一度あの時に。そんな風に思うわけです。
この状態では、何も考えることはできません。前にあれだけいくらでも考えられたのが嘘であるかのように、頭が働かなくなってしまうのです。
楽しいときにはあれだけ働いていた頭が、半分ぐらいしか動いてくれないのです。
ただ気持ちは残っています。もう他に何も考えられないぐらいに、その人のことをぼぉっと考えてしまうのです…
※※※
ここで、恋愛中と恋愛後の後の頭の中を見てみると、以下の図のようになります。
考えられることは半減です。ただ、気持ちは4割ぐらいしか減りません。気持ちはそんなに急に減らないのです。
すると、なんということでしょう!恋愛に使っている割合を示す恋愛性向は、むしろ恋愛後の方が上がっているのです。
前は8割方で済んでいたのに、今はむしろ、ほとんどその人のことで頭が一杯になってしまっているのです。
これは、頭の中で考えられる量の減り方と、気持ちの減り方が比例しないことから起こる現象です。
これを経済学では『ラチェット効果』と呼んでいます。ラチェットとは『歯止め』を意味します。行動経済学の一理論です。
本来は、ラチェット効果は「人は消費をすぐには変えられない。そのため、所得額が減るとむしろ一時的に消費の割合が高まる」という説明です。
人の消費活動には過去の経験に基づく「歯止め」が掛かるということですね。これはこれで結構エグみのある理論です。
不況になると、所得における消費の割合は高まると言われます。それはこのラチェット効果のせいでして、所得が下がっても、人はすぐには生活水準を変えられないのです。
解決策は時間です。
すぐには変えられなかった行動も、時間を掛けてゆっくりと変えることはできるのです。
恋愛も同じ。失恋の後の何もできない状況も、時間が癒してくれるものです。そして、次の何かを見つける。そうして人は成長していきます。
ただ、ふとしたときに、その人の顔を思い浮かべることはありますよね。明け方の街、桜木町で。
ですが、その時に想い出と共に少し笑えたならば、それはもう一歩前に進んでいるのです。
皆さまに、恋愛の女神のご加護があらんことを。
ではでは。
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行動経済学は本当に面白い分野です。人はランダムに動いていそうですが、実は結構同じように反応するということですよね。各国の中央銀行が経済をコントロールできるのも、人は同じように動くからだったりします。個性も多数集まると平準化されるのです。本当に面白いお話です。
<このnoteを書いたしょこらはこんな人です>
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