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【Sマナ03】どうすればユニークな発信になるのか(1/2)

SNSで学ぶ経営理論も3回目になりました。始めて分かったのが、このシリーズ、書くのに結構時間が掛かるのです。連発は難しいかもしれません。

普段思っていることや日常から感じたことを、1,500文字程度にまとめる書き方には、この9ヶ月間でだいぶ慣れたように思えます。

一方で、テクニカルなことを噛み砕いて書くことは、また別の書き方なのだなと感じました。本当に、書くことって奥が深いですね。

完全競争から離れるために

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初回と第2回目で、完全競争から逃れることの大切さと、そのための方法として、発信を似せない=ユニークであることの大切さを学びました。

そして、そのためには話題選びと、発信のスタイル選びが大切だと分かりました。​​ではどうやって話題とスタイルは選んでいけば良いのでしょうか。

ユニークであることを軸に考えると、その方法としては大きく二つの考え方があります。

一つ目は他の人から考える方法です。これは、​​前回にも出てきた、経営理論の花形、マイケル・ポーター先生が主張した「ポジショニング理論」です。

もう一つは自分の中から考える方法です。​​こちらも有名な、ポーター先生の永遠のライバル、バーニー先生を筆頭とする「資源ベース理論」です。

真逆の視点の2つの考え方。そこで、今回は「ポジショニング理論」からユニークな発信とする方法を考えていきたいと思います。

他の人は何を発信しているか

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ポーター先生の考え方は、徹底して市場から考えるというものです。SNSで言えば、他の人が何を発信しているかを基に考えるという考え方。

その考え方には大きく三つの枠組みがあります。

1.「ファイブ・フォース」: 産業の特性 = 話題の選び方
2. 「戦略グループ」: 企業グループの戦略 = 発信スタイルの選び方
3. 「ジェネリック戦略」: コストリーダーシップと差別化 = 量と質の選び方

以下で、ひとつずつ見ていきましょう。

1. ファイブ・フォース

これはポーター先生の中でも、一番有名なフレームワークですね。産業の競争の激しさを、以下の五つの力で考えるものです。

1. 新規参入
2. 顧客
3. 売り手
4. 代替品
5. 同業他社

ここで、SNSで考えると産業とは話題です。つまり、ファイブ・フォースはSNSでは話題選びのフレームワークと言えます。

そして、その考え方は以下のような図で表せます。5つの観点から、話題の競争の激しさを検討するのです。

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話題が競争的なほど、読まれる可能性は低くなってしまいます。話題選びには、他の人のことを考えることも必要です。

ぜひ、ご自身の発信の分野の競争度を考えてみて下さい。​​もしかすると、競争が激しすぎ、意識的に話題を変えた方が良い場合もあるかもしれません

2. 戦略グループ

これは前回の企業グループと同じ考え方です。「移動障壁」が存在するため、​​​​発信者は発信スタイルによってグループ分けされます。

SNSで発信の中身を別とすれば、全員が共通して考えるべきスタイルには、以下の図ように発信頻度やフォロワーの方との関わり方などがあります。

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このSNSのスタイルも、読者に対するメッセージです。​​そのため一貫した方針を貫く方が、メッセージがより強く読者に伝わります。

3. ジェネリック戦略

こちらも非常に有名な、「​​コストリーダーシップ戦略」と「差別化戦略」のお話です。ポーター先生は、本当に戦略の祖ですね。

コストリーダーシップとは量を目指す戦略です。多く作って多く売る。すると​​​​、より安く作れるようになり、もっと売れるようになるという作戦。

一方、差別化戦略とは、他の人とは違う物を作ることによって、量よりも質で戦う作戦です。

差別化と聞くとつい2つ目の質を想像してしまうのですが、圧倒的な物量も十分差別化の要因になります。ユニークであることが大切なのです。

そして、普通は質を目指すと量が作れないので、この二つの戦略は同時には取れません。では、SNSではどちらが有効なのでしょうか。

量と質のどちらを取るか

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量と質のどちらが大切かを​​考えるときに重要な考え方が「規模の経済」です。「規模の経済」とは量を作ることが良い方向に働くことです。

多く作ることによって、​​良い設備を導入できたり、作り慣れたりするため、より効率よく作ることができるというような良い循環が起こることです。

この規模の経済がSNSでも働くならば、量を目指した方が良いのです。逆に​​働かなければ、差別化を目指した方が良いのです。

そして、これは私の考えですが、SNSでは「基本的に」規模の経済が働くと考えています。それは以下の三つの理由からです。

1. 作者に経験値が溜まる
2. 読者のコンテンツ内回遊が発生する
3. フォロワー数の増加で声が大きくなる

一つ目の経験値に関しては皆さんもご経験があるのではないでしょうか。最初の頃は、やはり書けば書くほど上手くなるものです。

これを経営理論では「経験曲線」と呼んでおり、習熟することによって効率的になるという考え方です。これはSNSにも該当すると考えます。

二つ目のコンテンツ内回遊の発生は、一度来ていただいた読者により読んで頂くために大切なことです。それには一定量のコンテンツが必要です。

読者の方に選択肢を渡すため、ある程度の量を用意することが、コンテンツ内での回遊アップのためには必要なのだと感じています。

そして、三つめにフォロワー数が増えることで発信の声が大きくなります。声が大きくなるというのは、発信の影響力が高まるということです。

フォロワー数はシンプルに声の大きさです。​​そして、声の大きさは、次のフォロワーの方を獲得するチャンスの大きさになります。

これらの理由から、SNSでは「基本的に規模の経済が働くと考えており、私も毎日書いているのです。​​

ただし、規模の経済の効果は、最初は大きく働くものの、コンテンツの​​​​量が増えるにつれて、その効果は徐々に減っていくとも考えています。

書く上達度は次第に逓減します。コンテンツ内回遊もそこまで読者は多くを読めません。​​フォロワー数が増えれば発信内容を厳しく見られます。

そのため、次第に規模の経済の効果は減っていくのです。効果の上がり方が減っていくと言う方が正確ですね。

​​なので「基本的に」と考えています。ただ、その域に達するまでには相当時間がかかるので、やはり量は有効な作戦だと考えています。

他の人との違いを考える

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ちょっと長くなってしまいましたが、​​ユニークな発信にするために、他の人から考えてみようというポーター先生の考え方でSNSを見てみました。

今回の学びは以下の3点です。

1. 話題選びには競争の激しさも考える
(ファイブ・フォース)
2. 発信のスタイルを一貫性をもって定める
(戦略グループ)
3. 発信の質と量どちらを目指すかを定める
(ジェネリック戦略)

このように、徹底して理屈から考える考え方が、ポジショニング理論の良いところだと感じています。まさに戦略的という感じですよね。

天の時と地の利を得て戦う者は、つねに不敗である。

孫子さんの言葉です。がむしゃらに走ることも大切なのですが、勝ちを目指すならば、戦略を練って天と地を味方につけることも大切です。

一方で、「やった方が良いこと」と「実際にできること」はまた別なのですよね。​​それが、次回の「資源ベース理論」の考え方です。

ぜひ次回もご一緒下さいませ。

ではでは。


<過去のシリーズはこちらから>


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