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麗しの万年筆が来たれり

万年筆がついに来た。

昨日Amazonで万年筆を買った。
今日届くはずと思って朝の4時からワクワクしていたのに、来たのは18時だった。

待ってたこの14時間を、わたしはどうしたらいいのですか?

14時間どころか、万年筆が欲しいという気持ちは8年くらい持ち続けている。

かつて中学生の頃、漫画用製図ペン、つまりGペンを万年筆代わりに使ったことがあった。

ずっと万年筆に対して、恋情にも似た憧れを持っていたのだから、そうした真似っこも仕方ない。
かっこいいんだ、万年筆。

しかし形が似ているからといって使えたものではなかった。書けば書くほど引っかかり、インクは滲み、かすれ、読めない字が完成した。

本来の万年筆とは使い心地が天と地ほど離れていたのだ。

今、水のように滑らかな書き心地を知って、それに気付いた。
素晴らしすぎるよ万年筆。

以下、万年筆礼賛ポエム

颯爽と紙の上を走る万年筆を、横目で見やる。
ああ、なんて涼しげに走るんだろうか。
その足音すら、天上に響く音楽のよう。

一体誰が、
こんな素晴らしいものを造りたもうたのか。
私は世界の奇跡の前に平伏した。
もう祈るしかない。
奇しくもこの存在が永続すると。

この世には幾千もの万年筆があるが、
とりわけ黒色を身に纏うと、
えもいわれぬ気高さを持つ。
凡百な文具とは一線を画す、
たぐいまれなその綺麗さ。

爪先まで美しい。
そこに彫られた模様には、
もはや既視感さえ覚える。
生まれる前に見た、
楽園にでもあったのだろうか。

しかし時折、魔が差してしまう。
より富を積めば、
より美しい万年筆を手に取れるやも、
という疑惑。
悪魔的な魅惑を具えるこの者の前には、
財布の紐や、金額などは、
欲の監獄にはなり得ない。

今は何とか耐えているが、
人は運命には逆らえない。
花はいつか枯れるし、
鳥もいずれ死ぬし、
風も季節を跨げばどこかに行くし、
月は遠い未来で消えて無くなる。

この欲が風化する事はあるのだろうか。
むしろ、来年になれば社会人となって、
花開く予感しかない。
そのとき私の財布に雪が吹き荒ぶのは、
運の尽きか、突き進むべき定めか。

今わたしの手にある、
このささやかな極楽を、
どこまでも連れ歩きたい。
たとえ火の中水の中、
光のない場所であっても。

おまけ

いつもの殴り書きノートに書いた感想。
ややきたないし、誤字もひどい

購入した万年筆はこれ。

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